葬儀社でLINE公式アカウントを活用している会社をまとめてみました|運用目的や登録促進方法を解説
LINE公式アカウントは日常的に使われるLINEアプリのビジネス版であり、日常的なコミュニケーションツールとして広く利用されています。
メールアドレスを持たない葬儀者様のスタッフや、シニア層のお客様でも、電話番号と紐づくLINEアカウントは保持していることが多くあるほどです。
コミュニケーションツールとして、日本全国での利用者数の増加や即時性が見込める点から、うまく活用すれば葬儀社様にとっても非常に有用なツールとなり得ます。
そこで本記事では、LINE公式アカウントを効果的に活用している9社の葬儀社様をご紹介いたします。
実際にどのように運用し、LINE公式アカウントへの登録促進を図っているかも併せてご紹介しいたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
一般的なLINE公式ページの構成
一般的なLINE公式アカウントは、LINE利用者との直接コミュニケーションを可能にする「チャット画面」を基盤に構築されています。
葬儀社様などの企業は、友だち登録したLINE利用者に対して、メールマガジンのように自社情報を利用者のスマ―トフォンに直接送ることができます。
さらに「リッチメッセージ」や「リッチメニュー」を活用することで、テキストだけでなく画像や動画を用いた豊かな視覚表現が実現可能です。
「リッチメッセージ」は画像やテキスト、動画を組み合わせて、一目で伝えたい内容を把握できるように設計された機能です。
視覚的な情報を直接相手に伝えられるため、登録者の注意も引きやすく、効果的なコミュニケーションを実現できます。
一方の「リッチメニュー」はトーク画面下に配置されており、バナー画像やメニューを表示することで友だち登録者が欲しい情報へ素早くアクセスできるようにします。
その他の一般的なLINE公式アカウントの機能詳細については、別記事『葬儀社における LINE公式 ページ制作サービスと活用方法について』でご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
LINE公式ページ活用方法における葬儀ポータルと専門葬儀社の違い
葬儀ポータルと専門葬儀社では、LINE公式アカウント運用の目的や活用方法に大きな違いがあります。
葬儀ポータルは主にインターネットを活用して葬儀に関する情報提供や仲介サービスを行うため、LINE公式アカウントを活用している企業はわずかです。
葬儀ポータルにおけるLINE公式アカウントの目標は、オンライン上でのアクションや電話番号をタップする「コールクリック」による顧客誘導です。
たとえば「小さなお葬式」を運営する株式会社ユニクエスト様のLINE公式アカウントは、葬儀の知識やトレンドを含むコラム記事を検索できるよう設計されています。
また友だちに対するアンケートを通じて情報を収集し、登録者の求める情報(既にコラム記事として執筆された自社コンテンツ等)を余すことなく提供しています。
これに対し、専門葬儀社のLINE公式ページは自社が運営する会館への来館促進や、会館がある地域・地元住民とのつながりを重視する傾向があります。
実際の葬儀連絡や地域イベントの紹介など、より具体的で直接的なコミュニケーションを図っているケースが多いようです。
このように葬儀ポータルと専門葬儀社では、それぞれのビジネスモデルに適した手法で、LINE公式アカウントの運用を行っていることがわかります。
LINE友だち登録数1,000を超える葬儀社様9社
LINE公式アカウントを持つ葬儀社の中で友だち登録数1,000名を超える企業は、その数だけ見込み客(友だち)との接点を持っています。
ここでは、広範なネットワークを築きLINEを通じての効果的なコミュニケーションや情報配信を実践している9社の葬儀社様を厳選してご紹介いたします。
1. 株式会社ティア様
名古屋、愛知、東京、大阪で葬儀・葬式サービスを展開している株式会社ティア様のLINE公式アカウント友だち数は、実に11,097人に上ります(2023年12月27日時点)。
株式会社ティア様では、地域密着型のコミュニケーションを推進しているようで、本社と各葬儀会館で、それぞれ個別のLINEアカウントを運用しています。
特に喪主世代を主なターゲットとしているようで「ティアの会」会員に向けた会誌『TEAR CLUB』をデジタル版で提供するなど、LINEを通じた独自のコンテンツを提供しながら、顧客との関係を深めているようです。
2.株式会社 清月記様
宮城県仙台市を拠点とする株式会社清月記様は、2019年11月にLINE公式アカウントを開設しており、友だち数2,273人です。(2023年12月27日時点)
LINE公式アカウントの登録者に対して、清月記グループの最新情報を迅速に届けています。
清月記様では「LINE VOOM(LINE公式アカウントのタイムライン)」を活用しており、自社のフォロワーがアイコンをクリックするだけで、プロフィールや投稿したコンテンツを簡単に閲覧できるようにしています。
さらに株式会社清月記様は、創立36周年を記念してLINE友だち限定の楽天イーグルス観戦チケットプレゼントなどの特別企画も実施しており、見込み客とのより強固な関係性の構築を目指しているようです。
また株式会社清月記様はLINEとメールマガジンを併用して、顧客への直接的な接触を図っています。
3.家族葬のメモリア様
家族葬のメモリア様は、岐阜市や大垣市・西濃地区で家族葬や一般葬を手掛ける葬儀社で、LINE公式アカウントの友だち数は4,343人以上です。(2023年12月27日時点)
家族葬のメモリア様のLINE公式アカウントでは、LINEを通じて自社オペレーターとの直接相談が可能で、利用者にとって手軽かつ迅速な葬祭サポート体制を整えています。
さらに自社主催のさまざまなイベント情報を友だち登録者向けに配信したり、LINE VOOMを利用して毎月行われる豪華賞品が当たる抽選会などの情報をタイムリーに共有したりして、友だち登録者へのイベント参加を促しています。
4.株式会社コープ葬祭様
株式会社コープ葬祭様は萩や山口・防府・長門を中心に事業を展開する葬儀社様で、LINE公式アカウントの友だち数は2,015名にのぼります(2023年12月27日時点)。
株式会社コープ葬祭様のLINE公式アカウントでも「LINE VOOM」を活用しており、喪主世代を中心に積極的にアプローチを図りながら、葬儀に関する情報提供やコミュニケーションを行っています。
後述しますが、コープ葬祭様ではLINEを人材採用のためのツールとしても取り入れているようです。
5.セレモニーきうち様
セレモニーきうち様は、LINE公式アカウントの友だち数を2,033名(2023年12月27日時点)にまで伸ばしています。
セレモニーきうち様のLINE公式アカウントでは、友だち限定のクーポン配布や豪華賞品が当たる抽選会を実施することで、見込み客の関心を高めているようです。
また「LINE VOOM」の活用による情報共有や問い合わせ対応、SNSへのリンク設置、感染症対策の詳細情報提供など、ホームページにも劣らない充実した内容でLINE公式アカウントを構築しています。
6.めもりあるグループ様
創立87年の歴史を持つめもりあるグループ様は苫小牧と室蘭で葬儀・家族葬サービスを展開しており、LINE公式アカウントの友だち数は1,332名です。(2023年12月27日時点)
めもりあるグループ様のLINE公式アカウント施策として、リアルイベントとを巧みに連携させている点が特徴的です。
めもりあるグループ様では、過去には人形供養や遺影写真撮影会を行ったそうですが、併設する抽選会への参加条件として、LINE公式アカウントへの登録を設けました。
このユニークな取り組みにより、葬祭関連イベント参加への敷居を下げるだけでなく、より多くの人々に自社を知ってもらえるよう、LINE公式アカウントへの登録を促しています。
より親しみやすいブランドイメージを築くきっかけにもなるので、効果的ですね。
7.総合葬祭あおき様
総合葬祭あおき様は、明治29年創業の白河市に位置する歴史ある葬儀社です。なんと同社のLINE公式アカウントの友だち数は3,465名(2023年12月27日時点)。
総合葬祭あおき様のLINE公式アカウントでは、主にホームページ更新のお知らせやイベント案内を発信していますが、友だち登録者との1対1のトーク機能を通じて、気軽に直接チャットで問い合わせも可能であることをホームページで発信しています。
またコロナ禍中にはLINE公式アカウントへの友だち登録イベントとして「マスクプレゼント」企画を実施。
イベントを通じて実際の斎苑見学へとつなげるなど、見込み客との関わりを深める効果を生み出しています。
8.のうひ葬祭様
岐阜県可児加茂地区に位置する地域密着型の葬儀社様である、のうひ葬祭様のLINE公式アカウント友だち数は1,407名です。(2023年12月27日時点)
のうひ葬祭様のLINE公式アカウントでは、お得な情報発信や友だち限定のイベント開催連絡を通じて、地域住民とのつながりを深めています。
特に「終活てらすdeモーニング☕️」や「のうひマルシェ」などのリアルイベントは、地域の方々が気軽に参加できる形式で開催されている点が特徴的です。
さらに上記のイベントの詳細情報は、LINE公式アカウントで友だち登録した人にのみ配信する形態をとっています。
自社とLINE公式アカウント登録者との間の絆を強化するだけでなく、地域コミュニティの形成にも役立っているようです。
9.なすの斎場グループ様
栃木県北部で8会館を運営するなすの斎場グループ様は、友だち数1,729名(2023年12月27日時点)を持つLINE公式アカウントを運用しています。
なすの斎場グループ様のLINE公式アカウントは、自社の葬祭セット紹介や求人募集、ショップカード利用の案内など幅広い情報を提供することで、既存の利用者だけでなく友だち未登録者の興味も引く構造となっています。
また喪主を務めることが多いシニア世代にも使いやすいよう工夫されており、葬儀の打ち合わせなどでもLINEを活用しているそうです。
さらに注目したいのが、NTTドコモ社様の協力のもと開催された「スマホ勉強会」。
高齢者やITリテラシーの低い方に対して画像を用いながら、わかりやすく丁寧にLINEの使い方を教えるなど、すべての世代がこのツールを使いこなせるよう影ながらサポートしています。
LINE公式ページが葬儀社業務にもたらすメリット
LINEを駆使する葬儀社各社は、それぞれ独自の目的でこのツールを活用しています。
ここでは、ご紹介した9つの葬儀社様も実践しているLINE公式アカウントの活用目的について、事例を交えながら解説いたします。
1.人材の採用
葬儀社がLINEを活用する重要な側面の1つとして、人材採用が挙げられます。
たとえば、事例4でご紹介したコープ葬祭様のリクルートサイトを見てみると、応募者がLINE IDを入力する欄を設けていることがわかります。
これにより応募者とのやりとりは、メールではなくLINEを介したリアルタイムで直接的なコミュニケーションとなるでしょう。
また事例9でご紹介したなすの葬祭グループ様の場合は、LINE公式アカウントのトップページを整備し、自社の求人情報が求人サイト「Indeed」にある旨を掲載しています。
この方法により、LINE未登録者や検索エンジン未使用者、Indeed未登録者も含めた幅広い層の求職者に採用情報が届きやすくなります。
2.自社への集客
LINE公式アカウントは葬儀社様にとっても優れた集客ツールです。
葬儀は日常的なものではないため、葬儀社訪問に敷居の高さを感じる人も多いですが、LINE公式アカウントを通じてなら、登録者も気軽に情報を入手できます。
またLINE自体も、ほかのSNSと比較しても50代~70代の高い利用率を誇ります。
NTTドコモ モバイル社会研究所様が実施した調査によれば、LINEの利用率は60 代で80.1%、70 代で72.7%と高い水準です。
日本では、普段から家族や友人とのコミュニケーションにもLINEを使用することが増えたことから、LINEを介すことで相談がしやすくなります。
そのため、葬儀に関する連絡手段としての利用や、イベント情報・他サービスの告知などにも適したツールといえるでしょう。
さらに総合葬祭あおき様のように、リアルイベントと連動したLINEの活用が複数の葬儀社様でも見受けられます。
イベント開催時にLINE公式アカウントに登録した方は、少なくとも葬儀に関心を持っている可能性が高いため、将来的な顧客獲得につながることが期待できます。
集客にLINE公式アカウントを活用したほうがよい理由については、記事『葬儀社がLINE集客を実施すべき5つの理由〜乗り遅れていませんか? 』も参考になるかと存じますので、併せてご覧ください。
3.アップセル
「アップセル」は消費者が選んだ基本サービスに加えて、より高単価の商品やサービスを推薦するというビジネス手法です。
葬祭業界では、基本プランにお花や祭壇などのオプションを追加することが一般的で、総費用が100万円を超えることも珍しくありません。
たとえば家族葬のメモリア様では、LINE公式アカウントトップページで「スタンダードプラン」を紹介し、興味を持った利用者を自社ホームページに誘導する導線を取っています。
ホームページに遷移すると、詳細な料金や会員割引、オプションサービスの情報が確認できるため、顧客はより豊富な選択肢から理想の葬儀プランを選ぶことも可能です。
この方法は消費者のニーズに応じて柔軟にサービスを提案し、最終的な申し込みにつなげる前段階として、非常に効果的といえるでしょう。
4.顧客満足度向上
LINE公式アカウントは、活用方法次第で、葬儀社様の顧客満足度向上に大きく貢献する可能性もあります。
たとえば葬祭に役立つ情報のメッセージ配信やチャットでの丁寧な質問応答を通じて、顧客との信頼関係を構築し、ファンやリピーター獲得につなげることも可能です。
事例9でご紹介したなすの葬祭グループ様は、顧客の葬祭に関する不安や疑問について、葬儀当日までのやり取りLINEで直接相談できる環境を整えており、その結果として満足度の高い葬儀を施行できているようです。
またLINE公式アカウントには満足度調査機能が備わっており、お友だちに対してアンケートを通じてお客様の声も収集できるため、自社サービスの改善にも活かせます。
5.業務効率
LINE公式アカウントの活用は、葬儀社様の業務効率化にも大いに寄与する可能性があります。
特に「ステップ配信機能」を用いることで、スケジュール化されたメッセージを定期的に顧客に送れるため、葬儀が終わった既存顧客に対しても継続的な関係構築が期待できます。
また配信内容に対するお問い合わせがリアルタイムでスムーズに行えるため、メールよりも親密なコミュニケーションによる既存顧客との関係強化に効果的と考えられます。
加えて配信効果の計測が可能ですので、具体的な数値を通じて配信したメッセージの成果を視覚化しやすくなり、戦略の見直しや改善に活かせる点も大きな利点といえるでしょう。
詳細については『葬儀社における LINE公式 ページ制作サービスと活用方法について 』もご覧頂けると、より理解が深まります。
葬儀社様が行うべきLINE公式アカウントの登録促進方法おすすめ4選
葬儀社様が顧客に対してLINE公式アカウントへの登録を促進するには、どのような方法があるのでしょうか。
自社のLINE公式アカウントの友だち登録者数を増やし、情報発信の幅を広げるためのおすすめの戦略を4つご紹介いたします。
1.会館や店舗、イベントで告知する
葬儀社スタッフによる直接的な声かけや店頭POP、掲示物を使って、会館やイベントで自社のLINE公式アカウントを積極的に告知しましょう。
この際、店頭POPや掲示物を用いた告知や、友だち追加用QRコードを印刷したポスターの掲示がおすすめです。
さらにLINE公式アカウントの紹介チラシやパンフレットを用意し、来店した顧客に対してスタッフが直接声をかけて登録を促すのも効果が期待できます。
掲示物の設置場所やユーザーへの案内タイミングを工夫すれば、より多くの登録を期待できるでしょう。
2.いろんな場所にQRコードを設置する
さまざまな場所に、自社のLINE公式アカウントのQRコードを設置する方法も有効です。
会館や店舗内の目立つ場所はもちろん、ホームページ上にも友だち追加用のQRコードや追加ボタンを掲載しましょう。
これにより、顧客が来館時やホームページ閲覧時に、簡単にLINE公式アカウントを友だちに追加できるようになります。
QRコードを多く設置すれば、訪問者は気軽にQRコードを読み取りやすくなるため、より多くの友だち登録が期待できます。
3.リアルイベントで登録してもらう
リアルイベントを開催したうえで、来場者にLINE公式アカウントに登録してもらう方法もあります。
直接体験するイベントの興奮と楽しみを結びつけることで、LINE公式アカウントへの登録意欲を高める効果が期待できます。
マスクの配布を通じて、参加者に登録のメリットを明確に示した総合葬祭あおき様のように、LINE公式アカウントへの登録を目的としたイベントを開催するのもおすすめです。
また、めもりあるグループ様のように、抽選会などのイベントを定期的に開催して、LINE公式アカウントの登録者のみが参加できるようにする方法もあります。
4.SNSでも告知する
LINE公式アカウントの友だちを増やすには、YouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、 Facebook、TikTokといったSNSを活用することも忘れてはいけません。
他のSNSと連携して運用することで、異なる集客媒体を通じて潜在的な顧客層にアプローチし、LINE友だちの数を増やしやすくなります。
特にYouTubeやX(旧Twitter)は大きな拡散・影響力を持っています。
これらのプラットフォームで有益なコンテンツを提供してフォロワーを増やすことで、LINE公式アカウントへの誘導を図りやすくなります。
葬儀社様がSNSを使ったほうがよい理由については、記事『葬儀社がSNSを活用すべき3つの理由|おすすめの媒体や集客するコツも解説 』にて詳しくご紹介しております。
まとめ
この記事では、葬儀社様がLINE公式アカウントを最大限に活用するための方法について、実際の運用事例を交えながらご紹介しました。
LINE公式アカウントは作ってみたものの、まだ効果的な使い方が確立出来ていないという葬儀社様も多いようです。
一方で、LINE公式アカウントの活用で成果をあげている葬儀社様では、リアルイベントやオンラインとの連動など工夫やアイディアを凝らして、見込み客を集めていました。
LINE公式アカウントを活用する場合は、リアルやオンライン、SNSとの連携が欠かせません。
『葬儀屋.jp』では、これからも葬儀社様の集客に関する情報を掲載していきます。
この記事を通じて、葬儀社様が実際の事例をもとにLINE公式アカウントを使いこなし、ビジネスだけでなく顧客・見込み客へのコミュニケーションの質を高めるためのヒントとなれば幸いです。