葬儀業界におけるDXとは?具体的な事例とメリット・デメリットについて解説

近年では、企業がDX化を加速させつつあり、葬儀業界においても例外ではなくなっています。
しかし、葬儀業界においてDXといっても、具体的なイメージが浮かばず、導入すべきか迷っている葬儀社も多いでしょう。
そこで本記事では、葬儀業界で実際に導入されているDXの事例や、メリット・デメリットについて解説します。
もくじ
DX(デジタルトラスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術を活用してビジネスや生活に変革をもたらすことを指します。
コロナ禍を経て、ビジネス環境は大きく変化しました。
激しい変化の波に対応し、お客様のニーズに対応した製品やサービスの創出、業務や経営を合理化するためには、もはやDX化を避けて通れないというのが現状です。
経済産業省が発表したDXレポート『ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』によると、日本企業がデジタル化に取り組まない場合、2025年から2030年にかけて年間12兆円もの経済的損失を被ると予測しています。
そのため現在、国はデジタル改革を強くすすめています。その状況に乗り遅れないことは、重要なのです。
葬儀社も他人事ではなく、時代に合った技術を用いて経営の効率化を図っていかなくてはなりません。
デジタルシフトとは
これまでアナログで行っていた業務やサービスをデジタル化することをデジタルシフトと言います。
具体的には、オンライン上で契約書を交わしたり請求書を発行する、これまで実店舗のみで行っていた商品の販売にネット通販を取り入れる、顧客管理を台帳からデータ管理に移行するなどもデジタルシフトの一環です。
デジタルシフトとDXは、ほぼ同じ意味として使われていますが、正確には、デジタルシフトは、アナログからデジタルに移行する手段や取り組み、結果を意味します。
デジタル技術を活用した結果、ビジネスに大きな変革をもたらすことをDXと定義することが多いようです。
葬儀社様におけるDX導入・デジタルシフトの目的と課題整理
なぜ、DX化やデジタルシフトが必要なのでしょうか。
DX導入・デジタルシフトの目的
葬儀社様に導入が考えられるDXには、大きく分けて2種類があります。
- 葬儀社様向けの業務効率化を促すDX
- お客様向けのサービスであるDX
DX導入をすすめるべき理由として、まず葬儀社様の業務の軽減や合理化があげられます。
人材不足に悩む葬儀社様は多いと耳にしますが、デジタルシフトを推進することにより、人の手を介さずに済む業務が増えます。
供花や弔電の受発注にDXサービスを取り入れるだけで自動化されるだけでなく、ヒューマンエラー(人間が原因となるミス)も防ぐことにつながります。
また、デジタルシフトの取り組みにより、時代に合ったお客様に葬儀における新たな提案を行うことにつながります。
たとえば祭壇の飾りつけで映像システムを利用すると、費用を抑えながらも質素にすることなく葬儀を執り行うことが可能となります。DXを取り入れることで、費用を抑えた葬儀=質素な葬儀ではなくなるのです。
また、SNSを使った訃報配信サービスなど、お客様の利便性に沿ったサービスも生まれています。
DX導入・デジタルシフトにおける2つの課題
葬儀社様がDX導入やデジタルシフトに二の足を踏む理由として考えられるのが2つの課題です。
- 初期費用の負担
- DXに詳しい人材の確保
DX導入により経費の節減につながることが見込まれますが、一方で初期費用の負担が課題となるケースもあります。導入するサービスによっては、機材や設備費、運用費用などある程度まとまった初期費用が必要になるでしょう。
また、なかなかDX導入やデジタルシフトに踏み切れない理由として、スタッフに詳しい人がいないことをあげる葬儀社様は多いようです。
葬儀社におけるDX導入・デジタルシフト導入事例
葬儀社にもDXを導入すべきといえど、具体的にどのような活用方法があるのか、よくわからない方も多いでしょう。
そこで次に、葬儀におけるDXの事例をいくつかご紹介していきます。
現在の葬儀業界では、どのようなDX化が進められているのか、ご参考にしてください。
リモート葬儀・オンライン葬儀
葬儀業界におけるDX事例には、リモート葬儀・オンライン葬儀があります。
リモート葬儀・オンライン葬とは、インターネットを使い葬儀の様子をライブ配信するサービスです。コロナ禍により、大きく前進したサービスのひとつといえるでしょう。
これにより、遠隔地に住んでいたり、高齢であったり体調の問題で葬儀に参列することが難しい人でも、最期のお別れができます。。
また、リアルタイムの葬儀以外にも、オンライン上に葬儀場を設置し、一定期間お悔みの場を設けるサービスもあります。
リモート葬儀・オンライン葬儀のサービスの例としては、株式会社マイクロウェーブ様の「@葬儀」があげられます。
@葬儀は、葬儀のライブ配信のほか、思い出の写真を共有したり、オンライン決済でお香典を送ることも可能です。
社名 | 株式会社マイクロウェーブ |
創業 | 2000年4月 |
所在地 | 東京都渋谷区渋谷1-15-21 ポーラ渋谷ビル4F |
事業内容 | Webコンサルティング事業 システム開発事業 インキュベーション事業 |
公式サイト | https://at-sougi.com/ |
香典・供花などのキャッシュレス決済
香典・供花などのキャッシュレス決済(クレジット決済など)もDX化の1つです。
コロナ禍を経て、今やキャッシュレスが当たり前のものとなりました。しかし、支払いを現金や銀行振込しか受け付けていない葬儀社様も少なくないようです。
そこで、オンライン上で香典・供花の注文・決済を行えるシステムを導入することで、より便利でスムーズな取引が可能となります。
香典や供花、供物などのWEB注文受付などを可能としているのが株式会社 itowa様が提供している「itowa」です。
itowaで受け付けたお香典は直接、葬家様へのお渡しになるので、葬儀社様がお預かりする必要はありません。
そのほか、葬儀社様の負担を軽減するさまざまなサービスを提供しています。
社名 | 株式会社 itowa |
設立日/創業 | 2020年1月1日 |
所在地 | 愛知県名古屋市中村区平池町4-60-12 グローバルゲート 11F |
事業内容 | ウェブおよびデジタルプラットフォームの提供 |
公式サイト | https://itowa71.com/ |
顧客管理システム
顧客管理システムの導入は、葬儀業界では、非常に利便性が高いDX化といえるでしょう。
顧客・会員の情報を一元管理できるようなシステムがあれば、業務効率化だけでなく顧客満足度の上昇にも期待できます。
LDT株式会社様が提供している「スマート葬儀」が良い例でしょう。
スマート葬儀では、顧客・会員情報や請求書・領収書などの請求管理、発注・在庫管理などの日常の業務のほか、経営において必要な業務を一元管理できるシステムになっています。
社名 | LDT株式会社 |
設立 | 2019年9月20日 |
所在地 | 東京都港区新橋5丁目23-10片山ビル6階 |
事業内容 | AgeTech(エイジテック)プラットフォーム事業 AgeTech(エイジテック)関連のソフトウェア開発・提供事業 AgeTech(エイジテック)関連のコンサルティング事業 |
公式サイト | https://smartsougi.jp/ |
行政が進めているDX化の事例
現在、行政は積極的にDXを推進しています。
特にデジタル弱者になりがちな高齢者に対しては、取り組みやすいサービスを提供しているようです。
葬儀社様のお客様(喪主様・ご遺族様)には、比較的高齢者層が多くなります。DXを取り入れている自治体の例は参考になるかもしれません。
習慣化アプリ「みんチャレ」を活用したフレイル予防事業(東京都府中市)
「みんチャレ」は、健康や生活習慣の改善のためのアプリです。5人1組のチームで励まし合いながら散歩や体操などの習慣化につなげます。
健康サポートアプリ「みっきぃ☆健康アプリ」の導入(兵庫県三木市)
健康サポートアプリ「みっきぃ☆健康アプリ(アスリブ®)」をダウンロードし、健康活動を行うことでポイントを付与されます。ポイントは電子マネーに交換が可能です。
高齢者デジタルサポーター事業(愛知県)
愛知県では、高齢者がデジタルに不慣れな高齢者を支援する「高齢者デジタルサポーター」を育成しています。
葬儀社におけるDX導入・デジタルシフトのメリット
葬儀社様がDXを導入することで得られるメリットにはどのようなことがあるでしょうか。
手続き・手配が楽になる
DX化により、これまでスタッフが手作業で行ってきたことが自動化されます。
例としては、供花や供物の注文・手配があげられます。
供花や供物をお客様から電話で受注し、電話、もしくはFAXで生花店などに発注している葬儀社様は少なくないでしょう。
これらがDX化することで、WEBサイトでお客様が入力した情報から自動的に生花店などに発注されるようになります。
葬儀社様は介在しないため、受発注の手間がなくなるほか、キャッシュレス決済であれば、請求書の作成や集金などの手間がありません。また、ヒューマンエラーも起こりにくくなります。
顧客情報の一元管理ができる
過去に葬儀を行ったお客様(喪主様・ご遺族様)のほか、会員制度を取り入れている葬儀社様であれば、会員情報の管理をすることで、お名前や住所ばかりでなく、過去のやり取りなども管理できるようになります。
トラブルを防げるほか、細やかな気配りをすることにもつながります。その結果、顧客満足度の向上にもつながるのではないでしょうか。
売上の上昇
葬儀規模の縮小や簡素化が進んでいます。
DX化により、お客様(喪主様・ご遺族様)にこれまでにはない新たな葬儀の提案ができれば、売上の上昇にもつながります。
人員不足を補える
人員不足は葬儀業界の課題のひとつです。
DX化により、業務を効率化することで、これまでよりも少ない人数で対応できるようになります。
デジタルで可能な部分はデジタルに任せることで、人手が必要な業務にスタッフを集中させることができます。
葬儀社におけるDX導入・デジタルシフトのデメリット
DX導入・デジタルシフトは便利ではありますが、デメリットもあります。
ここでは、具体的なデメリットを見ていきましょう。
デジタル技術に詳しくない方は操作・参画が難しい可能性がある
葬儀業界は、全体的にDX化が遅れている傾向があるため、そもそもデジタルが苦手という方も多いようです。
DXを導入した場合、スタッフにデジタルに関する教育が必要なほか、慣れるまでに時間がかかると考えたほうがいいでしょう。
導入までに手間や時間がかかる
顧客管理システムなどは、データの移行が必要です。
DX化がスタートするまでには、時間と労力が求められる可能性があります。
費用がかかる
利用するサービスにもよりますが、DXを導入するにあたり、パソコンやタブレットなどの機材や設備を整える必要があるかもしれません。
また、外部サービスを利用する場合は、サービス利用料が必要です。
まとめ
今回は葬儀業界におけるDXについて、具体的な事例とメリット・デメリットについて解説しました。
DX化をすると業務効率化・顧客満足度の向上に期待ができるため、率先して導入すべきでしょう。
一方、デメリットもあるため、常に顧客や参列者の利便性に添えているかを意識しながら進めることが大切となります。
本記事で紹介したメリット・デメリットをよく理解して、正しく効果的な導入法を考えていきましょう。
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