仏壇屋さんでYoutube活用に成功している会社をまとめてみました|実例を参考に具体的な活用方法を解説
インターネットが普及し、SNSが全盛の昨今、企業によるYouTubeを活用した集客は当たり前となりましたが、仏壇業界の場合はどうでしょうか?
葬儀屋.jpでは、YouTubeに取り組む仏壇店をくまなく調べてみました。その中で、特に成功している上位5社を独自分析しながら、仏壇店がYouTube配信に取り組むメリットと課題について考えてみたいと思います。
「YouTubeに取り組むことでどんなメリットがあるの?」
「YouTubeを始めてみたいけど勇気が出ない」
「そもそも何を配信したらいいの?」
などとお考えの方は、ぜひともご一読下さい。
※この記事は、2023年12月29日時点の情報に基づいて書かれています。
もくじ
YouTubeを始める前に考えたいこと
YouTubeに取り組む上で最も大切なことは、次のふたつのことをしっかりと決めているかどうかです。
- 何のためにYouTubeを行うのか。
- 誰に向けてYouTubeを行うのか。
まずはこのふたつについてじっくりと考えてみましょう。
【何のために?】YouTube配信の目的
まずはじめに考えるべきことは、何のためにYouTubeに取り組むのか、その目的です。
ここがはっきりしていないと、モチベーションはすぐに減退し、長続きしないでしょう。
実際にYouTubeを配信するとなると、企画、撮影、編集、配信などと、相当なリソースを注がなければなりません。
実際に配信をしてみた人の多くが「思っていたよりも大変」と感じています。
しかも、配信を始めていきなり再生数やチャンネル登録者数が伸びるわけではありません。
一定の成果を出すためには地道な努力が必要となりますが、成果が出る前に頓挫してしまうケースも少なくありません。
だからこそ、自分たちは「何のためにYouTubeに取り組むのか」という目的が大切になってきます。
何十万、何百万もの再生数やチャンネル登録者数を獲得しているYouTubeの多くは、エンタメ、ゲーム、音楽、ニュース、ビジネス、教養、趣味などをテーマにした動画です。
「仏壇」というきわめてニッチなテーマにした動画で、銀の盾(チャンネル登録者数10万人)や金の盾(チャンネル登録者数100万人)を手にすることなど、夢のまた夢です。
だからこそ、YouTube配信の目的を「再生数」や「チャンネル登録」などと漠然としたものではなく、「会社の認知度向上」「お仏壇の分かりやすい解説ツール」「既存顧客との接続ポイント」などと具体的に決めることで、無理のない配信を地道に継続できるようになるでしょう。
【誰に向けて】YouTube配信のターゲット
配信の目的が決まったら、次は「誰に向けて」動画を届けるのか、そのターゲットを決めましょう。
インターネットはグローバルに広がるメディアですから、可能性そのものは無限大です。
しかし、実際に何人の人があなたの営む仏壇店の動画を見に来るかと言うと、ごく一部の人に限られるというのが現実です。
だからこそ、配信のターゲットをしっかりと決めておきましょう。
具体的には次のような相手をターゲットにするのが現実的でしょう。
- 実際に自社に足を運んで仏壇の購入を検討している人
- 既に自社で商品を購入した既存顧客
- 日本文化や伝統工芸に興味を持っている人
- 仏事や供養について悩んでいる人
特に上のふたつは、エリアも明確に限定されます。なぜなら自社の顧客のほとんどは、自社の近隣に住んでいる人たちだからです。
そうすると、再生数が何十万、何百万と伸びる可能性はきわめて少ないものの、きちんとエリアの顧客に対して訴求できているのであれば、何ら問題ない、という判断ができるのです。
ここまで、仏壇店がYouTubeに取り組む上で考えておくべきことについてお伝えしました。
ではここからは、仏壇に特化したYouTubeチャンネルのうち、登録者数トップ5について、独自分析をしていきたいと思います。
第1位:株式会社滝本仏光堂お仏壇ちゃんねる
https://www.youtube.com/@obutsudan-channel
- チャンネル登録者数 1.42万人
- 861 本の動画
- 5,373,268 回視聴
- 2014/08/01 に登録
仏壇系YouTubeで独走しているのが滝本仏光堂(大阪府守口市)様です。
滝本仏光堂様の動画を見ていますと、とても緻密な戦略をとっていることが分かります。
2014年のチャンネル開設以来、まずはお仏壇に関するノウハウ、知識、意味などを解説する動画や、仏壇店の裏側の仕事の動画など、いわば一般ユーザー向けの動画をコンスタントに配信してきました。
このあたり、コバヤシさん、タンさん、エノモトさんの3人によるトークで進められるのですが、さすが大阪人ということもあり、とにかく喋りが上手で、おもしろく、分かりやすい。しかも手作り感をあえて残しているところが、親しみを感じさせてくれます。
一般ユーザー向けのテーマがひと段落したあとは、寺院向けの動画、そして寺院と一般ユーザーをつなぐ動画へとシフトしている印象を受けます。
このあたりから、代表取締役の滝本佳之さんがMCとなっているのも印象的です。
こうしたターゲットの選別は、滝本仏光堂様が、一般ユーザー向けの仏壇と、寺院向けの仏具の両方を事業の軸にしている点、さらに仏壇仏具店が一般ユーザーと寺院の間に立つことで成り立つビジネスに起因しているからだと思われます。
双方にとって、有益な配信をしているということですね。
第2位:【仏壇・墓石】一休さんのはなおかチャンネル
https://www.youtube.com/@193hanaoka
- チャンネル登録者数 2850人
- 296 本の動画
- 868,834 回視聴
- 2021/01/26 に登録
仏壇業界でチャンネル登録者数が2番目に多いのが、一休さんのはなおか(長野県長野市)様です。
長野店の田村店長と卯之原さんによる掛け合いをもとに、仏壇、お墓、仏事に関するさまざまな知識を網羅的に学べます。
チャンネル開設からわずか2年弱で着実に登録者数を伸ばしているのにはいくつかの理由が考えられます。
まずは定期的に配信を続けていること。だいたい1週間に1本、1か月に4~5本のペースを変えずに配信し続けています。
次に、仏壇、お墓、宗派、仏事マナーなど、ユーザーが求める知識を浅く広く取り上げている点も注目です。
ユーザーが疑問に思うことを網羅的に分かりやすく解説することへのこだわりが感じられます。
そして何と言っても、聞き役となる卯之原さん、そしてそれに応える田村店長。ふたりのトークがとにかく上手で聞きやすいため、ストレスなく仏壇や供養の知識を得られます。
サムネイル画像も編集も秀逸で、これからさらに着実に登録者数を伸ばすものだと思われます。
第3位:輪島漆器仏壇店くまモン仏壇永田幸喜
https://www.youtube.com/@user-nw9si2wm2x/videos
- チャンネル登録者数 1550人
- 17,933 本の動画
- 730,728 回視聴
- 2015/01/27 に登録
社長自ら顔を出す元気いっぱいの配信を続けるのが輪島漆器仏壇店(熊本県熊本市)様です。
このチャンネルの一番の特徴は、永田幸喜代表自らが顔を出して元気あふれる配信を継続していること、そしてその「継続」力。
配信数は圧倒的で、YouTube開設から約9年で動画本数は1万8千にもなろうとしています。単純計算で1日5.4本の動画配信は驚異的です。
手作りによるサムネイル画像やテロップ編集、ホワイトボードに書き込まれた手書きの文字、金仏壇が並ぶ背景、そして永田社長の強烈なキャラクターなど、画面の中の情報量が濃すぎることもあり、動画一つひとつを見てみると、ユーザーが求めているものを配信できているとは言い切れないかもしれません。
しかし大事なのは、記事の冒頭でも触れたように、YouTubeの目的とターゲットです。
同社の場合、とにかく自社の情報発信、社長の顔を前面に出して認知してもらうことを目的にしているものだと思われますし、ターゲットは自社の商圏、つまり熊本県に在住している人に絞っています。
そして何より永田社長が動画配信を楽しくやっている点がポイントです。
完全手作りで、限られたリソースの中でも、これだけの熱量を持って取り組むと、業界3位のチャンネル登録者数を獲得できるということです。
メディアへの出演実績などを見ると、熊本県内では一定数の人から認知されていることがうかがい知れます。
であるならば、永田社長の戦略勝ちと言わざるを得ません。
第4位:メモリアル仏壇チャンネル
https://www.youtube.com/@user-mt5ny8ue3k/videos
- チャンネル登録者数 1310人
- 87 本の動画
- 537,587 回視聴
- 2019/04/18 に登録
全国に急拡大している金宝堂(千葉県野田市)様によるYouTubeチャンネルが『メモリアル仏壇チャンネル』です。
同社のブランド「メモリアル仏壇」をチャンネル名に冠しています。
これまで紹介してきた上位3つのチャンネルと異なり、無駄な情報を省き、必要な情報だけをナビゲーターに語らせるスタイルをとっています。
仏具の祀り方や使い方を分かりやすく解説してくれるので、必要な情報をすぐに得られます。上品な音楽ときれいな編集で見やすい動画となっています。
10万回再生を超える動画が2本あるにも関わらず、2022年8月5日を最後に配信を停止しています。さらなる更新を期待します。
第5位:大野屋ちゃんねる
https://www.youtube.com/@ohnoyacojp
- チャンネル登録者数 1240人
- 196 本の動画
- 875,551 回視聴
- 2006/11/20 に登録
メモリアルアートの大野屋(東京都立川市)様は、2006年というYouTube黎明期にチャンネルを開設。
はじめはTVCMを配信していましたが、そこから、自社霊園、自社商品の紹介などを手がけ、2021年あたりから本格的に仏事や供養の解説動画を配信し始めました。
特に、テレホンセンターの川島さんによる解説動画は、長年たくさんの相談を受けてきた実績に基づいているからこそ、安心して観ることができます。
終わりに
本記事では、Youtube活用に成功している仏壇店を取り上げてみました。
滝本仏光堂様や一休さんのはなおか様のような地域密着型の仏壇店や、マンパワーで押し切る輪島漆器仏壇店様が、金宝堂様や大野屋様のような大手仏壇店をしのいでいる点が注目に値します。
また、YouTubeの目的は、決して登録者数や再生数ではないということです。
認知拡大や集客など、目的は企業によってさまざまです。
YouTube配信をお考えの方は、何のために、そして誰に向かって情報を届けるのかをしっかりと考えましょう。
そして楽しく配信し続けること。それが上位3チャンネルに共通していることだと思います。