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広島県の葬儀における作法としきたり

広島県の葬儀しきたり

かつての広島県は、西側半分が「安芸(あき)」東側半分が「備後(びご)」の二つの国に分かれていました。
さらに古い時代には、広島県東部の「備後」と、隣接する岡山県の「備前(びぜん)」「備中」「美作(みまさか)」で吉備国(きびのくに)を成していたため、広島県東部の文化は岡山県に近いとされています。

こういった事情から、県東部と西部では文化習俗に違いが多く、葬儀におけるしきたりも異なります。
そこで本記事では、広島県の各地域に残る葬送習慣について、詳しく紹介します。

合理的な広島県の葬送習慣

広島県は安芸門徒(あきもんと)と呼ばれる浄土真宗の信徒が多い地域で、県民の過半数が浄土真宗門徒といわれています。
浄土真宗の生活信条には、俗信・迷信や占いに頼らないという特徴があるため、物事の捉え方が合理的です。

こういった事情からか、広島県の葬儀における作法やしきたりには、合理的なものが少なくありません。

受付で香典の金額を確認する

香典

広島県の葬儀では、受付で香典を開封し金額を確認するケースが多いようです。
一般的には失礼とされる行為のため、他の地域から参列された方は驚かれることでしょう。
しかし広島県の方にとっては、のちのちのトラブルを防ぐために必要な習慣で、むしろ当然の行いと考えられているようです。

受付係が受け取った香典を開封して、中袋に氏名や住所連絡先が記載されていることを確認し、もし記載漏れがあれば記入を依頼します。
その後、記載された金額と中身が一致していることを、香典を出した本人とともに確認してから会葬返礼品を渡すという流れとなっているようです。

一見すると奇妙な習慣に思えますが、こうすることで香典帳と実際に集まった金額の不一致といった金銭トラブルを防止しています。
お金の問題は人間関係に大きく影響しますので、トラブル防止という意味では非常に合理的な葬送習慣といえるかもしれません。

友引でも火葬場が稼働

全国的には「友引」の葬儀を忌避する傾向が強く、火葬場も休みを取る地域が少なくありません。
しかし広島県の火葬場は年始に数日休む以外は稼働しており、特に「友引」だからといって休むことはないようです。

そもそも「友引」は日の吉凶を占う六曜の考えに由来するもので、仏教とは全く関係ありません。
本来の表記も「共引」で、日の吉凶を占ううえでも「何事も勝負のつかない日」とされ、特に縁起の悪い日でもありませんでした。

しかし「ともびき」という読みの音をもとに「友引」と書かれるようになったことから、故人が友人を連れていくという迷信が生まれたようです。
「友引」の葬儀は縁起が悪いという迷信に左右されない点は、安芸門徒らしいといえるかもしれません。

お浄め(おきよめ)を行わない

お浄め塩

全国的には、通夜・葬儀に参列してから帰宅するまでの間に、身体に塩をかけて「お浄め(おきよめ)をするのが通例となっています。
しかし広島県西部の浄土真宗門徒が多い地域では、葬儀参列後の「お浄め」を行わないケースが多いようです。

そもそも「お浄め」は死を穢れ(けがれ)として忌み嫌う神道由来の習慣で、仏教では死を穢れとして捉える考えはありません。
しかし神仏習合の過程で、葬儀後の「お浄め」が習慣化されたという説もあり、葬送習慣の一つとして定着したようです。

前述したように浄土真宗では縁起を担ぐことをよしとせず、俗信・迷信にもとづく風習を排除しているため、他宗派から「門徒もの知らず」と揶揄されたといわれています。
こういった事情を考慮すると、広島県西部で「お浄め」が行われないのは、当然といえるかもしれません。

地域で大きく異なる広島県の葬儀

広島県は全般的に浄土真宗門徒の多い地域ですが、県東部の備後地方や沿岸部では真言宗・天台宗の密教系や、曹洞宗・臨済宗の禅宗系の信仰も盛んです。
さらに地域によっては古くからの葬送習慣も残されており、地域と宗派による違いが大きいという特徴があります。

焼香銭(しょうこうせん)

広島県西部の安芸地方における葬儀では、弔問客がお焼香を行う際に小銭を納める「焼香銭(しょうこうせん)」という習慣があります。

かつては線香も高価だったため、葬儀に参列する際には自分で線香を持参するのが通例となっていました。
そのため線香を持参しなかった方は、お焼香の際に線香の代金を納めるようになったようです。

「焼香銭」の習慣は、浄土真宗門徒が多い北陸地方でもみられ、集められた小銭は寺院に納められるのが一般的といわれています。
現在では葬儀社の斎場を利用する方も多く、線香も葬儀社が用意するため「焼香銭」は不要となっていますが、伝統的な葬儀のしきたりとして続けられているようです。

聖域である宮島

厳島神社

世界文化遺産「厳島神社(いつくしまじんじゃ)」が鎮座されている宮島は島全体が聖域となっているため、島内で葬儀が行われることはほとんどありません。

島内には墓地も火葬施設もないため、島民が亡くなった場合の葬儀は本土で行われるケースが多いとされています。
また故人の遺骨も対岸の宮島口周辺に納められるため、島民のお墓参りにはフェリーが不可欠となっているようです。

一部地域に残る伝統的なしきたり

浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに阿弥陀如来の力で浄土に生まれ変わるとされており、他の仏教宗派のように「故人の魂が浄土に向けて49日間の旅に出る」という考えはありません。
しかし県東部の備後地方では他宗派の信者も多く、伝統的な葬送習慣も残されています。

茶碗割

茶碗割

出棺時に故人愛用の茶碗を割る風習は、西日本を中心とした地域で古くから行われてきましたが、広島県東部の備後地方でも行われることがあります。
故人の茶碗を割ることで「あなたの食事はもうありません」という意思表示を行い、現世への未練を断ち切るための風習といわれています。

少し冷たい印象を受けるかもしれませんが、このしきたりの根底にも「故人の魂が迷わず成仏できるように」という、遺族の切なる願いが込められています。

棺回し(ひつぎまわし)

広島県の農村部など一部地域では、出棺の際に柩(ひつぎ:故人が収められた棺)を時計回りに3度回す「棺回し(ひつぎまわし)」が行われます。

浄土真宗を除く在来仏教宗派の多くでは、人は亡くなると浄土に向けた49日間の旅に出ると考えられているようです。
このことから、故人の魂が現世への執着を捨てて迷わず浄土に到達できるよう、全国j各地にさまざまな葬送習慣が残されています。

「棺回し」もそういった習慣の1つで、出棺時に柩を回すことで故人の方向感覚を失わせ、家に戻れないようにするための風習といわれています。
他地域の方から見ると不思議に感じるような風習ですが、遺族の「迷わず成仏して欲しい」という願いが込められたしきたりです。

また「回す」という行為そのものに、仏教的な意味があるともいわれています。
「回る」=「巡る(めぐる)」と捉えて、柩を回すことで四国八十八カ所巡礼などと同様の功徳を積めると信じられているようです。
遺族が故人のために功徳を積む「追善供養(ついぜんくよう)」の一環として、「棺回し」を行っている地域もあるといわれています。

お鉢さん

仏飯器

浄土真宗では「往生即成仏」の考えから、茶碗にご飯を山盛りにした「一膳飯」や「枕団子」といったお供えをする習慣はありません。
しかし仏飯(ぶっぱん)をお供えする習慣はあり、広島県の安芸門徒の方は、このお供えを「お鉢さん」と呼んでいるようです。

「お鉢さん」には、茶碗ではなく仏飯器(ぶっぱんき:仏様にご飯をお供えする器)を使用するのが一般的とされています。
もともとは浄土真宗の葬送習慣ですが、広島県では他宗派の葬儀でも「お鉢さん」を使用するケースが多いようです。

広島県に古くから残る葬送習慣

広島県には、他地域ではあまり見かけることのない葬送習慣が、いくつか残されています。
また岡山県と文化的なつながりが強い備後地方では、岡山県の葬儀でみられる習慣が、今も続けられているようです。

酉の日の葬儀を避ける

酉の日

広島県の農村部などでは、葬儀を営むうえで「酉の日(とりのひ)」を避ける傾向があるようです。

かつて日本各地には、特定の日に種まきや植え付けを行うと実りが悪い「不熟日(ふじゅくにち)」という俗信がありました。
東日本では、1月は子(ね)の日、2月は午(うま)の日、3月は酉(とり)の日が「不熟日」とされ、4月以降もこの順番で巡るとされています。

広島県では「酉の日」に田植えを行うと「実りが悪い」「人死にが出る」といった俗信があったことから、葬儀も避けるようになったといわれています。
また「酉の日」→「取りの日」→「命取りの日」という連想から、「酉の日」の葬儀を避ける習慣が広まったという説もあるようです。

葬儀では位牌に白い布を掛ける

白木の位牌

備後地方の曹洞宗や臨済宗を信仰する家では、白木の位牌に白い布をかけて、四十九日忌まで徐々にずり上げらるという珍しいしきたりがあります。
ただ残念ながら、この風習の由来ははっきりしていません。

白木の位牌を布で覆う習慣としては、位牌に魂を留めるために被せる「わんぷ」や「覆絹(ふっけん)」などがありますが、基本的には四十九日の法要まで被せたままです。

祝儀袋と不祝儀袋のセット

広島県の葬儀では、会葬返礼品として「祝儀袋と不祝儀袋のセット」を贈る習慣があります。
不祝儀袋は「今回頂いた香典袋の分を返す」、祝儀袋は「お祝い事が続くよう願う」という意味で行われているようです。

広島県で長く受け継がれてきた習慣ですが、徐々に忘れられつつあるようで、特に都市部では見かけることも少なくなっています。

立ち飯(たちは)

土葬が主流だった頃は棺を運ぶのも人力だったため、出棺前に力をつけるための食事を摂る習慣が各地に残されていますが、備後地方の「立ち飯(たちは)」もその一つといわれています。
こういった習慣は地域によって「出で立ちの膳(いでたちのぜん)」などと呼ばれていますが、岡山県と広島県東部では「立ち飯」の呼び名が一般的です。

岡山県の備中地方と広島県の備後地方のあいだには、境目となる山や川などが存在しないため、広島県の福山市を中心とした文化圏が形成されています。
こういった事情から、葬送習慣にも共通点があるものと考えられます。

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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