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大分県の葬儀における作法としきたり

大分県の葬儀しきたり

別府湯布院など日本最多の源泉数を誇る大分県ですが、県域は全般的に山がちな地形で平野部は北部の中津平野、中部の大分平野、南部の佐伯平野と分散して存在しています。
また江戸時代には中津・杵築・日出・府内・臼杵・佐伯・岡・森の8藩に分かれていたこともあり、地域ごとに発展してきました。

こういった事情から文化習俗や方言も各地域で異なり、葬送習慣にも違いがみられます。
そこで本記事では、大分県に残る葬送儀礼や風習について詳しく紹介します。

大分県の各地域における葬儀のしきたり

大分県における葬儀の流れは西日本のしきたりに近いものの、小都市が分散して存在しているため、地域ごとの習慣には細かな違いがあるようです。
また大分県は、九州の他県と同様に浄土真宗門徒が多い地域ですが、禅宗(曹洞宗・臨済宗)寺院も一定の勢力を保っており、伝統的な仏式の葬送儀礼も残されています。

前火葬(まえかそう)

骨葬

大分県は全般的に葬儀後に火葬を行う「後火葬(あとかそう)」が主流ですが、県南部の佐伯市周辺の沿岸部では、葬儀前に荼毘に付す「前火葬(まえかそう)」が行われています。

「前火葬」が行われる理由の一つは、親族が集まるまでに時間がかかるため、遺体が傷んでしまうことといわれています。
一度漁に出るとすぐには戻れない漁師町も条件に当てはまるため、沿岸部では「前火葬」の習慣がある地域が少なくありません。

豊後水道に面する佐伯市周辺の沿岸部では、船曳網・はえ縄による漁業が盛んですので、遺体の腐敗を防ぐための「前火葬」が選ばれても不思議ではないでしょう。

「前火葬」の場合、祭壇に遺骨を安置して行う「骨葬(こつそう)」になり、葬儀から参列された方は故人の顔を拝めませんので、あらかじめ周知しておく必要があります。

淋し見舞い(さびしみまい)

大分市周辺地域では、通夜に参列する親族がお香典とは別に「淋し見舞い(さびしみまい)」を持ち寄る習慣があります。
「淋し見舞い」は、故人に夜通し寄り添う遺族に対する差し入れで、お菓子や缶詰など簡単に食べられるものが多いようです。

同様の習慣を「通夜見舞い」や「夜伽見舞い(よとぎみまい)」と呼ぶ地域もあり、由布市では食べ物ではなく1,000円ほどを包んで「通夜見舞い」とすることもあるようです。

料理は葬式組が行う

葬式組

大分県では、10軒ほどを1組とした「葬式組合」「無常組」などと呼ばれる集まりがあり、組内で不幸があった場合は遺族を支えます。
地域によっては手伝いレベルにとどまらず、葬儀全般を取り仕切ることもあるようです。

国東市を中心とした県東北部エリアでは、葬儀中の料理は全て「葬式組」が用意し、遺族はもとより親族さえも調理を行わないというケースもあるとのこと。

八幡信仰の総本宮である宇佐神宮がある国東半島周辺には、神仏習合の文化が受け継がれており、神道の影響が強い地域とされています。
そのため、身内に不幸があった遺族や近親者は死の穢れがあるとして、台所に入ることを許されなかったようです。

葬儀前にいただくお斎(おとき)

葬儀後の会食「精進落とし(しょうじんおとし)」を、西日本では「お斎(おとき)」と呼ぶことがありますが、大分県では葬儀前にいただく地域があります。
そのため「お斎」に参加する方は、葬儀開始時間の2時間前に集まるのが通例となっているようです。

仏事に会食を行う理由

精進落とし

葬儀や法事に付きものの会食ですが、ただの食事会ではなく追善供養の儀式としての性質をもちます。
縁ある人々が故人を偲び、思い出を語り合うのも供養ですし、食事を共にするのも飲食供養(おんじきくよう)とされているようです。

そもそも「お斎」とは?

「お斎」とは、僧侶が午前中に摂る食事を指す「斎食(さいじき)」が語源とされています。
仏教では過食を戒めているため、かつての僧侶は一日一食で、正午から翌朝の日の出までは食事をとってはいけない「非時(ひじ)」とされていたようです。

この「斎食」が、いつの頃からか仏事での会食を指す言葉「お斎」として、広く使用されるようになったようです。
ちなみに三重県の亀山市周辺地域では、葬儀後の会食を「非持」と呼びますし、兵庫県では訃報通知のことを「非持」と呼んでいます。

出棺時に焚く門火(かどび)

西日本を中心とした地域では、出棺の際に「棺回し」や「茶碗割」といった葬送習慣が広く行われています。
こういった習慣は大分県でも行われていますが、さらに「門火(かどび)」を焚く地域もあるようです。

他県でも「門火」を焚く習慣はありますが、故人の魂が迷って戻ることのないように、出棺後すぐに火を消し煙を覆い隠すのが一般的です。
しかし大分県の「門火」は、死の穢れを浄化するための儀式とされているため、煙を覆い隠すことはありません。

棺回し

出棺

出棺時に柩(故人が納められた棺)を3周回す、あるいは柩の周りを参列者が回る「棺回し」は西日本で広く行われている葬送習慣です。

棺を回すことで故人の方向感覚を狂わせ、戻る家を見失わせるのが目的とされており、成仏を促すための風習といわれています。
棺を回す方向は時計回りの地域が多いですが、大分県では反時計回りにすることもあるようです。

茶碗割

故人が生前に使用していた茶碗を出棺時に割る儀式は、西日本を中心とした地域でよくみられます。
故人に対して「あなたの食事はありません」と宣言することで、現世への未練を断ち切るための風習といわれています。

一見すると冷たく感じるかもしれませんが、遺族の「迷わず成仏して欲しい」という願いが込められたしきたりです。

古くから伝わる大分県の葬送習慣

大分県の葬儀は、おおむね西日本の葬送習慣に沿って行われているようですが、地域に古くから伝わるしきたりも残されています。
土葬が行われていた頃の名残(なごり)が感じられるしきたりも、いくつか受け継がれているようです。

敷米料(しきまいりょう)

米俵

大分県の葬儀では、祭壇に「敷米料〇万円」と書かれた紙が貼られている光景を目にすることがあります。
かつての大分県ではお香典をお米で納める習慣があり、多く納めることで家の威信を示していたようです。

筵の上に積み上げられた米俵の上に柩を安置して、お米を納めた方の氏名が書かれた紙を貼っていたといわれています。
集められたお米の何割かは、菩提寺に納められていました。

現在では米俵を積み上げることはありませんが、祭壇に貼られた「敷米料〇万円」の分が菩提寺に寄進されているようです。

野辺位牌(のべいはい)

大分市の一部地域では、葬儀の際に大小2つの白木位牌を用意することがあります。
大きい方の位牌は祭壇に飾られ、葬儀後は自宅の飾り祭壇に安置されますが、小さい方の位牌は副葬品とされるケースが多いようです。

小さい方の位牌は「野辺位牌(のべいはい)」と呼ばれるもので、土葬が行われていた頃は埋葬地の上に置かれるのが通例となっていました。
墓石代わりに置かれた「野辺位牌」は回収されることはなく、そのまま朽ち果てて土に還っていたようです。

99.9%以上の方が火葬される現在では必要のない「野辺位牌」ですが、弔いの形式だけが今に残されています。

三日の供養

三日参り

当日納骨を行う習慣のある地域では、葬儀翌日に三日(開蓮忌)の供養として、お墓参りを行う習慣があるようです。
煎った玄米に味噌を添えたものや浄水を墓前に供え、遺族や親族が故人の冥福を祈るのが一般的な流れとされています。

開蓮忌の法要は亡くなってから三日後に行われる忌日法要ですが、現在では死後2~3日経過してから葬儀が行われることが多いため、省略されることも多くなっています。
しかし一部地域とはいうものの、大分県では古くからのしきたりが残されているようです。

大分県の葬儀にまつわる食文化

葬儀や法事などの仏事には会食がつきものですが、地域ごとに習慣は異なります。
大分県にも葬儀と食にまつわる独特の習慣があり、県内でも地域によって違いがみられるようです。

別れの膳

九州地方では全般的に、遺族と親族のみで通夜を静かに過ごす地域が多く、大分県もその一つです。
遺族と親族、葬儀を手伝う近隣住民だけが「通夜振る舞い(つやぶるまい)」に参加するのが一般的で、県南部では「通夜振る舞い」を行わない地域もあります。

しかし大分市の一部地域では、一般参列者にも「別れの膳」として食事を振る舞うこともあるようです。
招待された場合は遠慮なく参加して、一口だけで箸を付けるようにしましょう。

出棺前に団子を配る

枕飾り

故人の枕元に設けられる枕飾りには「枕団子」が供えられますが、大分県の葬儀では出棺前に団子が配られます。
かつて土葬が行われていた頃の葬儀において、出棺は重労働だったことから、力を付けるために始まったしきたりといわれています。

また他県で行われている「出で立ち膳」や「立ち飯」と同様に、故人と共にする最後の食事として「食い別れ」の意味があるという説もあるようです。

大分県の特徴的なお盆

お盆

大分県では初盆を盛大に行う地域が多く、親族だけでなく近隣住民が次々に弔問に訪れることも少なくありません。
自宅に設置された祭壇の周りには盆提灯や鬼灯(ほおずき)などが飾られ、多くのお供え物が並ぶのが通例となっているようです。

籠盛(かごもり)

大分県における初盆のお供えといえば、高さ1~2mほどもある「籠盛(かごもり)」を思い浮かべる方も多いといわれています。
「籠盛」は花輪の中に缶詰やお菓子などが詰められたもので、大分県のデパート「トキワ」で売り出されたのが始まりとされています。

決して古くからのしきたりという訳ではない「籠盛」ですが、今では大分県におけるお盆の風物詩として浸透しているようです。

お盆の食文化

お盆の定番となる食事は全国各地に存在しますが、大分県でも地域ごとにさまざまなものが食べられています。
「酒まんじゅう」や、きな粉をまぶした小麦粉の練り物「やせうま」は、県内全域で食べられているようです。

日田市周辺で食べられている「たらおさ(タラのエラと内蔵の煮物)」や、宇佐市の「みとり炊きおこわ(ササゲ豆の1種をつかったおこわ)」など、地域独特の食習慣も残されています。

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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