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岩手県の葬儀における作法としきたり

岩手県

本州で面積がもっとも広い岩手県は、江戸時代末期まで仙台藩と盛岡藩に分かれていたため、県内でも北部と南部で文化習俗が異なります。
県全体としては東北文化圏に含まれますが、特に冠婚葬祭に関するしきたりについては地域差が顕著です。

そこで今回は岩手県の葬送習慣について、詳しく紹介します。
地元葬儀社様にとっては精通すべき内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

岩手県における葬儀の特徴

岩手県の内陸部は山岳地帯が多く、冬季は深い雪に覆われる日本海気候に属するため、かつては集落間の往来も困難でした。
また沿岸部も寒流の影響で寒さが厳しく、冷害の発生しやすい土地柄です。

こういった事情から葬儀にまつわるしきたりも、故人だけでなく遺族や参列者にも配慮が感じられます。

頭陀袋(ずだぶくろ)にさまざまなものを入れる

六文銭

仏教の世界において、亡くなった方は浄土に向けた49日間の旅に出ると考えられています。
そのため納棺の際には、故人に手甲(てっこう)脚絆(きゃはん)頭陀袋(ずだぶくろ)の旅支度を身につけさせるのが通例です。

頭陀袋には「三途(さんず)の川の渡し賃」として六文銭を入れるのが一般的ですが、岩手県では少し趣(おもむき)が異なります。
「三途の川の渡し賃」だけでなく、あの世での生活に困らないよう「百万円」「1億円」と書いた紙を入れるケースが多いようです。

また食べるものに困らないように大豆・蕎麦(そば)・稗(ひえ)・粟(あわ)などの雑穀を入れる地域もあるようです。
同様の理由から、納棺の際に米を入れる風習は他の地域でも見られますが、雑穀を入れるのは岩手県独特の葬送習慣です。

かつて岩手県沿岸部はヤマセ(春から秋にかけて吹き付ける冷たい北東よりの風)による稲の不作が多く、冷害に強い粟や稗などを主食にしていた時期がありました。
このような歴史から、米ではなく雑穀を入れる風習が広まったものと考えられます。

前火葬

岩手県も東北地方の他県と同様に、葬儀前に火葬を行う「前火葬(まえかそう)」が主流の地域です。
東北地方や北陸地方などの豪雪地帯では、葬儀の参列者が揃うまでに時間がかかったため、遺体の腐敗を防ぐために火葬後に葬儀を行う習慣が広まったとされています。

「前火葬」は地元の方にとっては理にかなった葬送習慣ですが、全国的な認知度は決して高くありません。
「前火葬」の地域では、葬儀から参列した方は顔を拝んでのお別れはできないので、他地域からの参列者には事前に周知しておく必要があります。

逝去から葬儀までの期間が長い

全国的には亡くなってから葬儀まで2~3日が一般的ですが、岩手県では4日ほど間を空けるのが通例となっています。
その間に何度も通夜を行い通夜振る舞いも複数回になるため、通夜に招待された方は香典以外に3,000円ほどの「御夜食料」または「御手伝い」を渡すのが作法です。

また沿岸部や県央部では、通夜→火葬→お逮夜(おたいや)→葬儀の順に葬送儀式が進みます。
お逮夜の「逮」とは「及ぶ」という意味をもつ漢字で、逮夜は「夜が明けるまで」といった意味合いです。
本来のお逮夜は火葬後に一晩中念仏を唱えて、葬儀まで供養を続ける葬送儀礼ですが、近年では形式だけのケースも少なくないようです。

通夜は招待された人だけ

通夜

岩手県では遺族と親族、招待された知人のみが通夜に参列し、一般弔問客の参列は控えるのがマナーとされています。
葬儀前に荼毘(だび)に付す「前火葬」の習慣がある地域において、通夜は遺族が故人と顔を合わせて過ごす大切な時間です。

こういった背景から、一般弔問客は遺族の別れの時間を邪魔しないよう、参列を控える習わしとなっているようです。

葬儀場への入場は弔問客が先

葬儀の際は、遺族や親族が前もって式場に入り弔問客を迎えるのが一般的ですが、岩手県では弔問客→遺族・親族→僧侶の順に入場するという特徴があります。

葬儀当日に納骨

全国的には四十九日の法要後に納骨するのが通例ですが、岩手県では葬儀当日に納骨するケースが多いようです。

豪雪地帯では雪が積もると納骨が困難になるため、葬儀当日に納骨するしきたりが根付いたとされています。
また土葬が主流だった頃のしきたりが、今に残されているという説もあるようです。

繰り下げ初七日(くりさげしょなのか)

現在では葬儀当日に初七日の法要まで済ます「繰り上げ初七日(くりあげしょなのか)」が行われるケースも少なくありません。
しかし岩手県では逆に、四十九日の法要に合わせて初七日の法要を行う「繰り下げ初七日(くりさげしょなのか)」が一般的です。

冬に深い雪に覆われる岩手県では、たびたび親族に集まってもらうのは困難だったため、葬儀から一定期間開けた四十九日の法要にまとめたと考えられます。

地域に残る独特な風習

遠野曲がり屋

岩手県は約300年にわたって県南部を伊達氏が、県北部を南部氏が治めていたため、文化に違いがみられます。
家の建て方も、県北部では厩と母屋がつながった「曲がり屋(まがりや)」が代表的でしたが、県南部では標準的な「直屋(すごや)」が多かったようです。

また生活環境が異なるため内陸部と沿岸部でも方言が異なり、岩手弁の中でも県北部の「南部弁」、沿岸部の「宮古弁」、県南部の「伊達弁(仙台弁)」に分かれます。
こういった背景から、地域独特の葬送習慣が受け継がれているようです。

寺院葬が多い(盛岡市)

菩提寺

岩手県全体としては自宅や斎場での葬儀が多いですが、盛岡市周辺では菩提寺での葬儀が多いという特徴があります。
火葬前の遺体は「ナマボトケ」と呼ばれ、寺院で受け入れてもらえないケースもありますが、岩手県では葬儀前に火葬を行う「骨葬(こつそう)」のため問題ありません。

通夜には僧侶が同席しない(釜石市)

一般的な通夜式では僧侶が供養の読経を行いますが、釜石市周辺では通夜に僧侶が呼ばれることはありません。
また通夜自体には開始時刻や終了時刻が設けられず、弔問が途切れるまで続けられます。

落着き(おちつき:陸前高田市周辺)

落ち着き

陸前高田市や大船渡市周辺では、葬儀の参列者にうどんや蕎麦と餅を振る舞う「落ち着き(おちつき)」と呼ばれる習慣があります。
かつて集落間の往来も困難だった頃から続くしきたりで、駆けつけてくれた参列者を労う(ねぎらう)ための習慣のようです。

一般参列者も火葬に同行(盛岡市)

火葬場には遺族や親族のみが同行するのが一般的ですが、盛岡市周辺では一般参列者も火葬場に同行するケースが多いようです。
そのため火葬場にも受付を設け、火葬を待つ間の飲食や引き出物の準備も、参列者全員分が必要となります。

葬列が回る(釜石市・北上市など)

葬列

釜石市や北上市周辺では納骨のために墓地に向かう際に、骨壷をもった遺族を先頭にして、円を描くように葬列が3周するという作法があります。
地域によっては遺族が白い布をかぶったり、葬列に加わる方同士を白い布で結んだりするケースもあるようです。

仏式の葬儀において「回る」という風習は他の地域にもみられ、九州などでは出棺の際に棺を3回まわす風習が残されています。
「回る」こと自体に意味があるとされており、お遍路さんの聖地巡礼(せいちじゅんれい)や輪廻転生(りんねてんせい・りんねてんしょう)につながる風習という説もあるようです。

また3という数字は、過去・現在・未来を象徴するともいわれています。

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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