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福島県の葬儀における作法としきたり

福島

福島県は東北地方の最南端に位置し、関東地方と接しているため、県内でも東北文化と関東文化が混在しています。
また江戸時代までは最大で13藩に分かれており、会津藩など幕府直轄領も存在したことも影響しているようです。

県内でも新潟県と接する会津地方・沿岸部の浜通り・内陸部の中通りでは、主たる産業や生活環境が異なるため、葬送習慣にも違いがみられます。

そこで今回は、福島県の葬儀にまつわる文化習俗やしきたりについて紹介します。
同じ地域内でも葬儀のしきたりが異なるケースがありますので、葬儀社様の参考にしていただければ幸いです。

地域コミュニティの絆を感じる葬送習慣

現代の日本では、核家族化などの影響から地域コミュニティの希薄化が問題になっていますが、福島県では近隣住民による助け合いが機能しているようです。
葬儀において重要な役割を果たすことも多く、近隣住民が遺族を手助けしています。

告人(つげと)・角折(かくせつ)・わざふ

告げ人

福島県では、男性が2人1組になって訃報を近隣に伝えてまわる風習があり、地域によって「告人(つげと)」・「角折(かくせつ)」・「わざふ」などと呼び分けられているようです。

通信手段が今ほど発達していなかった時代は、喪家(もけ:不幸があった家)の近隣住民が訃報(ふほう)を伝えて歩く習慣が全国的に行われていました。
こういった習わしは、他にも「二人使い(ふたりづかい)」「告げ人(つげにん)」などさまざまな名称でよばれていますが、ほとんど同じ役割です。

どの地方でも共通するのは2人1組で行う点で、穢れ(けがれ)や魔から身を守るためなど諸説ありますが、理由は定かではありません。

隣組(となりぐみ)・念仏講(ねんぶつこう)

福島県では「隣組(となりぐみ)」・「組内(くみうち)」・「念仏講(ねんぶつこう)」などと呼ばれる近隣住民の相互扶助組織が存在します。
もともと「講(こう)」とは、同じ信仰をもつ方の集まりでしたが、現在では地域コミュニティの名称としても使用されています。

葬儀の際は、さまざまな対応に忙殺される遺族に代わり、近隣住民が弔問客の接待などを担当してくれる地域もあるようです。
また葬儀当日に納骨を行う地域では、葬儀だけでなく納棺にも「隣組」が同行するケースも少なくないようです。

かつては同様の組織が全国に存在し、冠婚葬祭などの行事の際は互いに助け合うのが普通と考えられていました。
しかし近年では近所づきあいも少なくなり、特に都市部ではその傾向が顕著となっていますが、単身高齢者の孤独死など弊害も少なくありません。

核家族化や少子高齢化が深刻な日本こそ、地域コミュニティの再構築が必要なのかもしれません。

通夜見舞い(つやみまい)

福島県では、通夜式に参加するのは遺族や親族が中心で、一般弔問客は葬儀・告別式に参列するのが一般的です。
そのため通夜式では受付が設けられないケースも多いですが、福島県北部では参列する親族は遺族のための軽食やお菓子を差し入れる習わしがあります。

こういった習慣は「通夜見舞い(つやみまい)」と呼ばれ、東北地方だけでなく関東や東海九州地方でもみられ「夜伽見舞い(よとぎみまい)」と呼ぶ地域もあります。
夜を徹して故人に付き添う遺族を思いやる風習で、遺族は差し入れをつまみながら夜通し語り合うようです。

地域によって異なる葬儀のしきたり

福島エリア

総面積13,783平方キロを誇る福島県は、北海道・岩手県に次いで県域が広く、地域によって地形もさまざまです。
また明治時代に入るまでは小藩が多数存在したため、それぞれの地域で文化や生活習慣にも違いがみられます。

火葬のタイミング

福島県では、地域によって火葬のタイミングが葬儀前と葬儀後に分かれます。
関東地方以南の方にとっては、通夜→葬儀・告別式→火葬の流れが一般的ですが、東北地方では葬儀前に火葬を行う「前火葬(まえかそう)」の地域が多くなっています。

福島県でも阿武隈(あぶくま)高地と奥羽(おうう)山脈に挟まれた中通り地方は「前火葬」が広く行われているようです。
一方、会津若松市など江戸幕府と縁の深い地域や、関東地方に接しているいわき市などでは、関東地方と同様に葬儀後に火葬を行う「後火葬(あとかそう)」が多くなっています。

しかし、中通り地方に属する郡山市周辺地域では「前火葬」が多いものの、半数近くが「後火葬」で行われるなど、葬送習慣が地域で明確に分かれているわけではないようです。

「前火葬」の場合、葬儀は祭壇に遺骨を安置して行う「骨葬(こつそう)」になりますので、葬儀から参加した場合は顔を合わせてのお別れはできません。
そのため、福島県の葬儀に参列する際は、事前に火葬のタイミングを確認しておく必要があります。

白ふかし

福島県では葬儀の定番料理として、白いんげん豆を入れたおこわ「白ふかし」が振舞われるケースが多いようです。
「白ふかし」は東北地方の太平洋沿岸地域で広く食べられており、お隣の宮城県ではもち米にササゲ豆を入れて作られます。

ところが福島県では「白ふかし」に使う豆が地域によって異なるようで、浜通り地方では白いんげん豆が主流ですが、地域によっては小豆や黒豆を使うこともあるようです。

葬儀で紅白餅(こうはくもち)?

紅白餅

福島県では、80歳以上の方の葬儀で「紅白餅(こうはくもち)」を配る風習が残されています。
「紅白餅」は祝いの席で配られるイメージが強いですが、昔の方にとって80歳を超える長寿は大変めでたいことでした。

今では平均寿命が男女ともに80歳を超えている日本ですが、かつて80歳以上の長寿を全うする方は非常に稀(まれ)だったため、葬儀でも祝いの行事が各地で行われてきました。
歳の数だけ小銭を撒く「撒き銭(まきせん)」や、紅白のポチ袋に入れた小銭を参列者に配る「長寿銭(ちょうじゅせん)」は、その代表といえるでしょう。

「撒き銭」「長寿銭」を持ち帰ることで故人の長寿にあやかり、長生きできるといわれています。
福島県の葬儀で配られる「紅白餅」も、持ち帰って食べると長寿にあやかれるといわれており、かたちは違えども同様の意味をもつ風習です。

喪主は麻の裃(かみしも)

裃

福島県北部の福島市周辺地域では、喪主や親族の男性が麻の裃(かみしも)を着用するしきたりがあります。
現在では喪服といえば黒のイメージですが、明治時代までの喪服は白が一般的で、武家の喪服も白の裃でした。

福島市の葬儀で裃が着用される理由は定かではありませんが、福島市は江戸時代を通して本田・堀田・板倉と譜代大名が納めた地であることも関係しているのかもしれません。

お斉(とき)・夕食使い・三日七日(みっかなのか)

精進落とし

福島県では、葬儀後に行われる会食を「お斎(おとき)」「夕食使い(ゆうしょくつかい)」「三日七日(みっかなのか)」などと呼んでいるようです。

葬儀・告別式の後に行われる会食は、一般的に「精進落とし(しょうじんおとし)」と呼ばれます。
しかし地域によっては、「精進祓い(しょうじんばらい)」「精進あげ」「忌中祓い(きちゅうばらい)」と呼ぶこともあるようです。

本来の「精進落とし」は、四十九日の法要後に行われる会食を指す言葉でした。
かつて身内を亡くした遺族は、忌が明けるまでは門を閉ざし酒肉を断って精進潔斎(しょうじんけっさい)する必要がありました。

その後、四十九日の法要を済ませて忌が明けると、精進料理を食べて過ごしていた遺族も通常の食事に戻りました。
この通常の食事に戻す行事が、もともとの「精進落とし」の意味とされています。

俗説や民話にまつわる風習

全国各地に残されている葬送習慣には、仏教由来のしきたりではなく、いわば迷信や俗説にもとづいた風習が少なくありません。
こういった状況は福島県でも同様で、仏教とは関係のない葬送習慣が今も見受けられます。

棺に刃物を入れる

刃物

福島県では刃物を棺に入れてから出棺する風習があり、故人が男性の場合は剃刀(かみそり)を、女性の場合はハサミを入れます。
このしきたりは、湯灌の際に男性は髭(ひげ)を剃り、女性は髪を切り落とす作法にもとづいた習慣といわれています。

しかし、実は魔物から遺体を守るための葬送習慣という説もあるようです。

火車日本には、墓場から遺体を奪う「火車(かしゃ)」と呼ばれる妖怪の伝承が各地に残されており、遺体を守るために妖怪が嫌う刃物を副葬品にする風習が受け継がれています。
「火車」の正体は、齢(よわい)を重ねた化け猫や猫又(ねこまた)という説もあるため、葬儀の際に猫を近づけないよう対策する地域もあります。

仮門(かりもん)から出棺

出棺

福島県では自宅から出棺する際に、玄関付近に用意された「仮門(かりもん)」をくぐる習慣があります。
竹や茅(かや)などで作られた「仮門」は、出棺後に「門火(かどび)」として燃やすのが通例です。

出棺後に「仮門」を燃やしてしまうことで、故人の霊は家を見失って戻れなくなると考えられているようです。
この葬送習慣は「故人の霊が迷って家に戻ることなく、無事に成仏して欲しい」という遺族の願いが込められた風習といわれています。

納棺時に荒縄を身につける

福島県のいわき市周辺では、納棺の際に魔除けとして荒縄を腰に結んだり、耳に掛けたりするようです。
また出棺の際には、柩(ひつぎ:遺体を納めた棺)を運ぶ遺族が、豆腐や塩など白いものを口にするしきたりがあります。

1種のお清めにあたる習慣ですが、仏教では死を穢れとして捉えることはないため、こういった風習は神道由来と考えられます。

福島県には神社が非常に多く、神棚が祀られている家も少なくありません。
特にいわき市周辺は廃仏毀釈(はいぶつきしゃく:明治時代に行われた仏教排斥運動)で、寺院がゼロになったこともあるため、神道の影響が大きいのも理解できます。

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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