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千葉県の葬儀における作法としきたり

千葉県の葬儀しきたり

県域の3方を海に囲まれた千葉県は、外房地域では漁業が中心産業ですが、東京湾側の京葉臨海地域は石油・鉄鋼関連のコンビナートが形成されています。
また千葉県は、47都道府県の中で海抜500mを超える山地が存在しない唯一の県で、平坦地が多い内陸部では農業も盛んです。

こういった事情から地域ごとに生活環境が異なるうえ、もともと安房(あわ)・上総(かずさ)・下総(しもうさ)に分かれていたことから、葬送習慣にも地域ごとの特徴があります。

そこで今回は、千葉県の葬儀における慣習について紹介いたします。

千葉県独自の特殊な葬送習慣

千葉県内でも東京都に近い地域では、古くからの葬送習慣も少なくなっていますが、農村部や沿岸部では古くからのしきたりが今に伝えられています。
そういった慣習の中には、他の地域ではみられないような独自の風習や、一般的な葬送習慣をアレンジしたようなしきたりも存在します。

通夜の晩にこより作り

千葉県の成田市周辺地域では、通夜の晩に遺族が半紙を裂いてこよりを作る風習があります。
こよりには5つの結び目をつくり、出棺前に副葬品として棺に入れるしきたりになっているようです。

結び目の数は地域によって若干の違いがあるようですが、あまり他の地域では見かけない葬送習慣です。

振り返ってはダメ

振り返らない

 

千葉県の中でも市川市や船橋市は神道の影響が強い地域とされ、神社の氏子でもあり、寺院の檀家でもある家が少なくないようです。
仏式の葬儀では、基本的に日本酒やビールなどアルコール類のお供えは避けるべきとされていますが、神道では神饌としてお酒を供えるのはよいこととされています。

こういった事情からか、葬儀の祭壇に米やお酒をお供えする習慣があり、葬儀後にはお礼として寺院に届ける風習があります。

このお礼参りには日没前に済ませるという約束事があり、寺院を後にしてから家に着くまで振り返ってはならないとされています。
たとえ道中に知り合いから声を掛けられても、返事をしてはいけないようです。

軒下に青竹

縁側

 

葬儀における「逆さ事(さかさごと)」として、出棺の際に玄関を使用せずに縁側などから棺を運び出す習慣は全国各地に散在していますが、匝瑳市(そうさし)周辺地域では縁側の軒下に青竹を吊るし、その下をくぐるしきたりがあります。

「逆さ事」とは、死の穢れ(けがれ)を日常から切り離すことを目的として、通常とは違った方法を取る風習です。
「屏風を逆さに立てる」「着物を左前に合わせる」など、日本各地にはさまざまな「逆さ事」が存在します。

また「故人の魂が迷うことなく成仏して欲しい」という遺族の願いを込めた、出棺時の「仮門(かりもん)」と呼ばれる習慣に通じるという説もあるようです。

関東では珍しい部分収骨

収骨

 

関東地方では、火葬後にすべての焼骨(しょうこつ:火葬後の遺骨)を骨壷に納める「全収骨(ぜんしゅうこつ)」が通例となっていますが、千葉県内でも千葉市など一部地域では「部分収骨(ぶぶんしゅうこつ)」が主流です。
焼骨の主な部分だけを骨壷に納める「部分収骨」は、西日本では一般的な収骨方法ですが、東日本で見かけることは少ないしきたりとなっています。

こういった事情から、千葉市の「千葉市斎場 指定管理者管理運営の基準」では、部分収骨の希望の有無を確認するよう規定されています。

香典返しが現金

近年では葬儀に際に引き出物を渡し、香典返しの代わりとする「即日返し」も珍しくありませんが、千葉県の銚子市を中心とした東総地域では香典の「即日返し」を現金で行うしきたりがあります。

通常の香典返しはお菓子やお茶などの品を利用するのが一般的で、現金はもちろん金額が分かる商品券も失礼とされている地域が少なくありません。
しかし東総地域では、香典返しだけでなく会葬返礼品も、「志(こころざし)」と表書きした不祝儀袋に入れられた現金が渡されます。

非常に合理的な慣習ではありますが、こういったしきたりは全国的にも極めて稀(まれ)です。

地域によって異なる火葬のタイミング

関東地方では、葬儀・告別式後に火葬を行うのが一般的ですが、千葉県では地域によって火葬のタイミングが異なります。
そのため千葉県の葬儀に参列する際には、あらかじめ火葬のタイミングを確認しておいた方が無難です。

前火葬(通夜式前)

骨葬

 

東総の銚子市・旭市・匝瑳市周辺地域では、通夜当日の朝に火葬が行われるケースが多くなっています。
そのため、葬儀はもちろん通夜式も祭壇に遺骨を安置して行う「骨葬(こつそう)」になるため、駆けつけるタイミングによっては故人と顔を合わせてのお別れができません。

また「前火葬」の地域では、葬儀当日に納骨を行うケースも多く、土葬時代の名残を感じさせます。

前火葬(葬儀当日)

同じ外房でも九十九里町から館山市にかけては、葬儀当日の朝に火葬を行うことが多いようです。

葬儀前に火葬を行う「前火葬(まえかそう)」の習慣は、山間地や豪雪地帯などの地理的要因により、訃報を受け取った親族がすぐに駆け付けられない地域で多くみられます。
「前火葬」は、遺体の保存技術が未熟だった時代に、遺体が傷むのを防ぐために広まった習慣です。

沿岸部の漁業中心の地域でも、一度漁に出るとすぐには戻れないため、「前火葬」を取り入れている地域が少なくありません。
外房地域で「前火葬」が主流になっている主な理由も、このあたりにありそうです。

後火葬

外房の一部を除いて、千葉県は全般的に葬儀・告別式後に火葬を行う「後火葬(あとかそう)」の地域です。
特に都市部では葬儀の標準化が進んでおり、地域独特の葬送習慣を見かけることも少なくなっています。

地域住民の結びつきが強い千葉県

千葉県内でも、農村部や沿岸部では地域コミュニティの結びつきが健在で、葬儀の際に地域住民による相互扶助がみられます。
今でも通夜・葬儀の受付や、菩提寺との連絡役などの役割を担っているようです。

葬式組(そうしきぐみ)

葬式組

 

千葉県の郊外では、近隣の家に不幸があると「葬式組(そうしきぐみ)」や「班」と呼ばれる人々が葬儀を手伝う習慣が残されています。

かつて土葬が主流だった時代において、葬儀は集落の人々が力を合わせて行うものでした。
そのため近年まで、地域ごとに「隣組(となりぐみ)」や「「隣保班(りんぽはん)」などと呼ばれる相互扶助組織が、全国各地に存在していました。

しかし最近では、核家族化の影響などにより地域コミュニティの交流が希薄化し、こういった活動は減少傾向にあります。
こういった傾向は、首都圏に位置する千葉県にも及んでいますが、今のところは都市部だけにとどまっているようです。

年寄講(としよりこう)

千葉県農村部の葬儀では、「葬式組」内の高齢者で組織された「年寄講(としよりこう)」が太鼓などの鳴り物を鳴らし、僧侶と遺族が念仏を唱える風習があります。
その際に「志」と表書きされた小銭入りの封筒が配られますが、この小銭を持っていると長生きできるといわれているようです。

夜伽見舞い(よとぎみまい)

夜伽

 

最近では通夜式も含めて2時間ほどの半通夜(はんつや)も少なくありませんが、千葉県の成田市周辺地域では、遺族が文字通り夜通し故人に付き添う「夜伽(よとぎ)」の習慣が残されています。
そのため通夜式の参列者は「夜伽見舞い(よとぎみまい)」として、お香典とは別に軽食やお菓子などを遺族の夜食として差し入れるのが習わしです。

同様の習慣は九州地方や東海地方にも残されており、九州では「通夜見舞い(つやみまい)」、東海地方では「お淋し見舞い(おさびしみまい)」などと呼ばれています。

しかし葬儀の小規模化・簡素化に伴い、安置中の故人との面会不可といった葬儀社も増えているため、徐々に消えつつある風習です。

別れの盃(さかずき)

千葉県の松戸市周辺地域では、お焼香の際にお酒の入ったお猪口(おちょこ)や盃(さかずき)を親族で回し飲みする「別れの盃」または「盃の儀」が行われることがあります。

ただし、お酒の弱い方や車で来場された方は、口をつける真似だけでも問題ありません。

四本旗・四本幡(しほんばた)

千葉県の一部地域では、土葬時代の名残(なごり)として「四本旗・四本幡(しほんばた)」を立てる習慣があります。
「四本幡」とは竹竿の先に細長い紙を付けたもので、4本1組で用いられる葬具の1種です。

4本の幡にはそれぞれ違った文言が書かれており

  • 諸行無常(しょぎょうむじょう)…この世のすべてのものは移り変わる
  • 是生滅法(ぜしょうめっぽう)…この世に生を受けたものは必ず滅びる
  • 生滅滅已(しょうめつめつい)…生死にとらわれることなく涅槃に至ること
  • 寂滅為楽(じゃくめついらく)…煩悩から解放され安楽の境地に至ること

の4種が一般的ですが、地域や宗派により異なるケースもあります。
「四本幡」を棺や埋葬地の4隅に立てることで、魔除けになると信じられていたようです。

土葬が行われていた頃は葬列を組んで棺を埋葬地まで運ぶのが一般的で、葬列の参加者は「野道具(のどうぐ)」と呼ばれる葬具を持って歩を進めました。
一部地域で葬儀の際に用いられる、下図左端のような「死華花・四華花(しかばな)」も、土葬が行われていた時代から続く葬具の1つです。

死華花

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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