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静岡県の葬儀における作法としきたり

静岡県 葬儀 しきたり

生まれ育った地元で長く暮らす方でも、地域の葬送習慣に詳しい方は少なくなっています。
また現在では菩提寺を持たない方も増えているため、相談できる方がいないケースも少なくありません。

こういった事情から、今まで以上に葬儀社様の役割も重要になるでしょう。
地域に根差して活動する葬儀社様は、地域の葬送習慣についてもしっかりと把握しておく必要があります。

そこで今回は、静岡県の葬儀の特徴について詳しく紹介します。
葬儀社様のホームページなどでの情報発信の際に、参考にしていただければ幸いです。

通夜・葬儀・葬儀後の流れも地域ごとに異なる

静岡県 俯瞰

静岡県は東西155km南北118kmと広い県域をもちますが、天竜川・大井川の2大河川に分断されています。
また沿岸部から山岳部まで地域ごとに地形も異なるため、主要産業や言葉・習慣にも細かな違いが多くみられるのが特徴です。
こういった傾向は葬送習慣についても同様で、通夜・葬儀の流れや食事まで地域ごとに違いがみられます。

通夜の特徴

通夜式の流れも浜松市を中心とした県西部と、静岡市を中心とした県中部・東部ではしきたりが異なります。
特に県西部における通夜の参列方法は独特です。

流れ通夜

焼香

浜松市を中心とした県西部の遠州地方では、一般弔問客が通夜当日の18時~21時頃の都合の良い時間に式場を訪れる「流れ通夜(ながれつや)」という習慣があります。
通夜式の読経は遺族や親族のみが参加して通夜開始時間前に行われ、通夜開始時刻になると遺族は入り口に立って弔問客を迎えます。
一般弔問客は席にはつかず、焼香を済ませてそのまま帰宅するのが一般的です。

通夜祓い(つやばらい)

関東地方などでは通夜式終了後に、遺族が僧侶や参列いただいた方々と食事を共にする「通夜振る舞い(つやぶるまい)」が行われますが、前述したように県西部では「流れ通夜」のため遺族は入り口に立ったままなので、参列者と食事ができません。
そのため、通夜式で参列者に食事を用意する場合も「通夜振る舞い」ではなく「通夜祓い(つやばらい)」と呼ばれているようです。

同じ静岡県でも、中部・東部では一般参列者も通夜式の席に着くようですが、通夜式後の食事には参加せずに帰られる方が少なくありません。
関東地方では「通夜振る舞い」に招かれた方は一口だけでも箸をつけるのがマナーとされていますが、静岡県ではもともと「通夜振る舞い」に一般参列者が参加する習慣なかったため、特に高齢の方は遠慮される方も多いようです。

葬儀・葬儀後の特徴

静岡県では葬儀に参列する際も地域ごとの葬送習慣が異なるため、同じ県内でも他地域から参列する場合は注意が必要です。
また他県では見られない習慣も多々あるため、他県から参列する際に驚かれるかもしれません。

受付で引換券

県西部では葬儀の受付で香典を渡すと、精進落としの食事券や引出物の引換券が渡されます。
精進落としに参加するのは、親族や火葬場まで同行するごく親しい知人のみで、基本的に一般参列者は葬儀終了時点で帰宅します。

仮門(かりもん)を通って出棺

出棺

静岡県の中部・東部では、出棺の際に「仮門(かりもん)」を通るしきたりがあります。
簡易的なアーチ状の「仮門」の素材は、青竹や藁(わら)・葦(あし)・茅(かや)など地域によって異なりますが、出棺後すぐに壊される点は共通です。

出棺の際に通った「仮門」をすぐに壊すことで、故人の魂は帰る場所が分からなくなると考えられています。
この風習には「故人の魂が迷わず成仏できますように」といった、遺族の願いが込められているようです。

宝冠(ほうかん)

静岡県の沿岸部など一部地域では、火葬された遺骨を葬儀当日に納骨する習慣が残されており、墓地に向かう遺族が額に三角形の白い布や紙を付ける風習があります。
この三角形の布は「宝冠(ほうかん)」と呼ばれるもので、故人が身につける死装束(しにしょうぞく)の一部です。

仏経では白は浄土につながる色とされ、本来は死者が身につける死装束の一部を墓地に向かう遺族が身につけることで、故人の魂を「あの世との境まで見送る」という意味があるとされています。
同時に「そこから先は一人で行ってください」という願いも込められた風習のようです。

沿岸部では前火葬(まえかそう)

静岡県では葬儀・告別式の後に火葬を行う「後火葬(あとかそう)」がほとんどですが、沿岸部など一部地域では葬儀の前に火葬する「前火葬(まえかそう)」の習慣があります。
ただし同じ地域内であっても「前火葬」と「後火葬」が混在しているため、注意が必要です。

「前火葬」の場合は、祭壇に遺骨を安置して行う「骨葬(こつそう)」となります。
そのため葬儀から参列する方は、お顔を合わせてのお別れができません。
静岡県の葬儀に参列される場合は、事前に葬儀の流れを確認しておいたほうがよいでしょう。

三日の法要

葬儀の次に行われる追善供養は初七日が一般的ですが、静岡県西部地域では、「三日の法要」も行われます。
現在では全国的に「初七日の法要」を葬儀当日に「式中初七日」というかたちで繰り上げられることも多いため、同地域でも「三日七日の繰り上げ法要」として葬儀当日に行われるケースも少なくありません。
そのため葬儀に参列する際は、葬儀のお香典とは別に「三日の法要」用として1,000~3,000円ほどのお香典を用意します。

初盆(はつぼん)まで白木の位牌

白木の位牌

一般的には、四十九日の法要の際に白木の位牌から、塗りの本位牌に切り替わります。
しかし静岡県西部地域では、初盆(はつぼん:亡くなって初めて迎えるお盆)まで白木の位牌のままというケースも少なくありません。

県西部の遠州地方では初盆を盛大に行う「盆義理(ぼんぎり)」という習慣があり、葬儀に参列した方や近隣住民の多くが喪服を着用して喪家(もけ)を訪問します。
「盆義理」には華やかな花祭壇などに白木の位牌が安置され、多くのお供え物が飾られるケースが多いようです。

食事にまつわる習慣

地域ごとに葬送習慣が異なる静岡県では、葬儀にまつわる食事の習慣もさまざまです。
周辺の他県から影響を受けた習慣もあれば、地域独自の食習慣もみられます。

祓い膳(はらいぜん)・忌中祓い(きちゅうばらい)

葬儀終了後に喪家から僧侶や参列者に振る舞われる食事を「精進落とし」といいますが、静岡県の中部地域では「祓い膳(はらいぜん)」や「忌中祓い(きちゅうばらい)」と呼びます。

本来の「精進落とし」は、四十九日の法要を済ませた忌明け(きあけ)に食べるものでしたので、他県でも地域によっては「忌中祓い」とも呼ばれるようです。
しかし現在では、葬儀を執り行ってくれた僧侶や参列いただいた方々へのお礼として、葬儀当日に振る舞われるケースがほとんどとなっています。

お淋し(さびし)

御前崎市(おまえざきし)周辺では「精進落とし」の際に、料理とは別に「お淋し(おさびし)」と呼ばれる黒豆の入ったおこわが振る舞われます。
なぜ黒豆のおこわを食べる習慣が根付いたのかは定かではありませんが、お祝いの赤飯に対する「逆さごと(さかさごと)」という説もあり、北海道の一部地域でも同様の習慣があるようです。

力餅(ちからもち)

牧之原市周辺では、葬儀の際にあんこや飴をまぶした「力餅(ちからもち)」が配られます。
かつて土葬が主流だった頃には、墓穴掘りや野辺の送り(棺を担いで墓地まで運ぶ葬列)など力仕事が多かったため、力をつけるために食べたようです。

縁切り餅(えんきりもち)

縁切り餅

同じ餅でも、静岡県東部では一口大にちぎった「縁切り餅(えんきりもち)」が参列者に配られます。
死者との永遠の別れを象徴する「食い別れ」の儀式とされ、山梨県南東部でも同様の習慣がみられます。

浜降り(はまおり)

沼津市では葬儀後に納骨を済ませた後、親族が海岸や河原にお酒やつまみを持ち寄り、位牌を囲んで食事をする「浜降り(はまおり)」という儀式が行われます。
「浜降り」終了後は位牌を海や川に流すのが通例でしたが、現在では環境に配慮してすべて持ち帰っているようです。

別れの盃(さかずき)

盃

浜松市の三ケ日地域では、盃(さかずき)に注いだお酒を葬儀の際に親族が回し飲みする「別れの盃」という儀式が行われます。
原則として親族全員が参加するようですが、子供やお酒を飲めない方は形式として口を付けるだけで問題ないようです。

おわりに

葬儀社さんのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主さん・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

ホームページ制作をおこなった後はお問合せをおこなっていただくべく、集客をおこないますが、このような記事・コラムをきっかけにご連絡をいただくこともあるかもしれません。
葬儀屋jpではコラム・記事制作も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

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