葬儀専門のホームページ制作・ネット集客は葬儀屋.jp

ホーム > 最新記事 > 葬儀における作法としきたり【地域別】 > 富山県の葬儀における作法としきたり

富山県の葬儀における作法としきたり

富山葬儀しきたり

日本国内には地域ごとに独自の慣習やしきたりがありますが、葬送習慣もその一つです。
葬儀にまつわる伝統は地域に暮らす方々の生活から生まれたものも多く、大切に受け継がれてきたものですので、葬儀社様も詳しく知っておくべきでしょう。

今回は富山県の葬送習慣や特徴、作法などについて紹介いたします。
自社ホームページにおける情報発信の一環としても、参考にしていただければ幸いです。

富山県における葬儀の傾向

全国的には都市部を中心に伝統的な葬送習慣も薄れつつありますが、富山県では古くからの慣習が受け継がれています。
また厳しい気候風土の富山県では近隣住民の相互扶助意識が残され、信仰による結びつきが強いのが特徴です。

富山県の地域特性

富山葬儀地域特性

富山県内では呉羽山を境に呉東(ごとう)、呉西(ごせい)と呼び分けられており、食文化や信仰する宗派にも若干の違いがみられます。
呉東にくらべ呉西は関西地方の文化的な影響が強いとされていますが、もともと同じ加賀藩(富山市の一部は加賀藩の支藩・富山藩)だったこともあり、顕著な違いは少ないようです。

日本海に接する県北部・西部の平野を、東部・南部の山岳地帯が囲む劇場のような地形のため、日本有数の豪雪地帯となっています。
こういった気候風土から、地域住民による助け合いの精神が現在まで受け継がれているようです。

葬儀費用は全国1位

経済産業省が行った「平成30年特定サービス産業実態調査」によると葬儀費用の全国平均125万円に対し、富山県では174万円と日本全国でもっとも高額となっています。

現在では都市部を中心に葬儀の簡素化が進み、参列者が遺族や近親者のみの家族葬を選択される方も少なくありません。
しかし地域の結びつきが強い富山県では、葬儀の際に近隣住民が喪家に協力することもあり、多くの方が弔問に訪れます。
こういった事情から、他の地域にくらべ葬儀費用が高くなっているようです。

浄土真宗信徒が9割

富山浄土真宗

日本における仏教宗派の中でもっとも信者の多い浄土真宗ですが、富山県を含む北陸地方は真宗王国と呼ばれるほど熱心な信者が多い地域です。
県内仏教信者の9割前後が浄土真宗門徒ともいわれ、寺院数も本願寺派・大谷派合わせて1,000以上存在しています。

本願寺派・大谷派の分布

県全体では本願寺派の寺院がやや多くなっていますが、氷見市では両派の寺院数が拮抗しています。
また、県東部の黒部市・魚津市・入善町・朝日町や、県南西部の南砺市・砺波市・小矢部市などでは大谷派の寺院が多く、地域による偏りがみられます。

かつては政治的な理由から反目しあっていた両派ですが、根本的な教義はほとんど変わらないため、現在では共同歩調をとることも多いようです。
そのため、今では派閥の違いによる地域の対立などもなく、交流も盛んに行われています。

しかし仏壇・仏具や葬儀の流れは本願寺派と大谷派で異なるため、葬儀社様は両者の違いをしっかりと理解しておく必要があります。

浄土真宗と富山の薬売りの関係

富山県と聞くと「越中富山の置き薬」をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
実はこの「越中富山の置き薬」と浄土真宗には、密接な関係があります。

浄土真宗の特徴的な物事の捉え方として、方向や日の吉凶などの迷信を一切気にしないという点があげられます。
そのため浄土真宗では病気快癒のための加持祈祷を行わず、病気の者は祈るのではなく医薬に頼るべきと考えられてきました。
こういった事情から、浄土真宗の門徒は加持祈祷に代わって病を癒すものとして、薬品の製法を維持し常用していたとされています。

富山県に伝わる反魂丹(はんごんたん)もその一つですが、富山藩2代藩主・前田正甫(まさとし)公考案の配置薬という画期的な手法と相まって、富山県の製薬産業の礎を築きました。
全国を徒歩で回った富山の薬売りの苦労は尋常ではありませんでしたが、浄土真宗門徒の薬売りは仏像を懐に「仏様が見ていてくださる」と念じながら、商売を成功に導いたそうです。

浄土真宗の合理的な思考は、葬儀の慣習にも見て取れます。
他の仏教宗派の葬儀と異なり、魔除けの守り刀や浄め塩の習慣はありません。

芳名帳がない

一般的に通夜・葬儀に参列した際には受付で芳名帳に記帳しますが、こういった光景を富山県ではほとんど見かけません。
また富山県では後日に半返しといった香典返しの習慣がなく、受付で香典を渡すと、引き換えに香典返しとしての会葬返礼品が渡されます。

受付係は受け取った香典袋の端に穴を開け、20ほどをひもでまとめて管理します。
集められた香典は遺族によって一両日中に開かれますが、県西部ではパソコンでデータ管理する地域もあるようです。

富山県の葬送習慣

富山県における葬儀のしきたりは、古くから続く伝統的な葬送習慣と、浄土真宗の迷信を排除した合理性が入り混じっています。
また県内でも限られた地域だけで行われている習慣もあるため、他地域からの参列者に驚かれることもあるようです。

北枕とは限らない

頭北面西右脇臥

亡くなった方を安置する際には、お釈迦様の入滅の姿勢「頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが」にならい北枕にするのが一般的です。
しかし富山県の水橋地域では北枕とは限らず、仏壇に故人の足を向けないように安置するのが作法とされています。

友引人形を入れる

全国的には友引に葬儀を行うのは縁起が悪いとされ、友引は全ての火葬場が休みという地域も少なくありません。
しかし富山県では友引にも葬儀を行うことがあり、滑川市斎場で火葬を行います。
その際には、故人が周囲の方を連れていかれないように「友引人形」を棺に入れるのが通例です。

もともと六曜における「友引」は「共引」と書かれ、勝負がつかない日という意味でしたが、いつの間にか「共」と「友」が入れ替わり、亡くなった方が友人を連れていくという印象を与えるようになりました。
こういった迷信が、浄土真宗門徒の多い富山県で重視されないのは当然かもしれません。

喪主・遺族は白装束

富山県の呉西地域では、火葬場に向かう際に喪主や遺族が白装束を身につける習慣があります。
他地域の方には奇異に映るしきたりかもしれませんが、実は庶民の喪服は長いあいだ白が主流でした。

喪服として黒を着用する習慣は比較的新しいもので、西洋文化が持ち込まれた明治時代に上流階級を中心に広まり、庶民のあいだに一般化したのは第二次大戦後です。
しかし現在の日本では、白い喪服を身につける習慣も富山県や石川県など一部地域に残るのみとなっています。

焼香銭を置く

焼香銭

富山県の葬儀では参列者がお焼香をする際に、焼香台に用意された入れ物に100円ほどの小銭を入れるのが一般的です。
かつては線香も高価だったため、葬儀に参列する際は線香を持参する習慣があり、線香を持たずに参列した方が線香代として置いたのが始まりといわれています。

現在では焼香用の抹香が葬儀社によって用意されていますが、焼香銭の習慣は残っているようです。
焼香銭の習慣は富山県以外にも、愛知県や広島県・長崎県などに残っています。

善の綱を引く

富山県の一部地域では、棺に結び付けた白いさらし状の布を遺族が引っ張る「善の綱」という習慣があります。
この葬送習慣は、藤原道長の「御堂関白記」に記載された「来迎仏(らいごぶつ)の手から5色の糸が垂れ、道長の手に結ばれる」という文言が由来とされています。

かつては野辺の送りの際に行われていたようですが、火葬率が99%以上となった現在では形式だけの習慣になりつつあるようです。

死華花

富山県の葬儀では、木の棒に細かく切れ目を入れた紙を巻き付けた「死華花(しかばな・四華花とも書く)」を祭壇に飾るしきたりがあります。
使用される紙の色は地域によって異なり、呉東では白・黒、呉西では白・緑が一般的です。

仏式の葬儀では供養のための重要な道具とされる「死華花」ですが、浄土真宗では「四華(しか)」と呼ばれており、地域によっては生花の代わりに花立に立てて祭壇に飾られることもあるようです。

お墓も骨壷も大きい

故人を荼毘に付したのちの焼骨は骨壷に納めますが、東日本と西日本では収骨のしきたりが異なります。
東日本では遺骨の全てを骨壷に納める「全部収骨」が主流のため、骨壷も大きめの7~8寸が一般的ですが、遺骨の一部のみを納める「部分収骨」の習慣がある西日本では、骨壷も小さめの5寸が主流です。

富山県では「全部収骨」が一般的ですが、9寸から1尺の大きな骨壷を用いるという特徴があります。
これは富山県のお墓が他地域に比べ大きく、構造も異なることが理由のようです。
一般的なお墓ではカロート(納骨室)は地下に設けられるケースが多いですが、富山県のお墓の多くは地上部分に大きなカロートをもちます。
こういった事情から、他地域より大きな骨壷を利用する習慣が根付いたようです。

また富山県では遺族が火葬場で収骨するケースは少なく、火葬場職員が桐箱に焼骨を並べたものを葬儀社スタッフが葬儀式場に持ち帰って、遺族が式場で骨壷に収骨するパターンが増えています。
富山県では大正時代に火葬が普及したため古い火葬場も多く、火葬室や遺族の待合室などの設備も狭いため、こういった形式をとっているようです。

式場での収骨は近年になって生まれた習慣ですが、遺族は火葬場で長時間待たされることもなく、式場に戻ってゆっくりと会食しながら待つことができます。

まとめ

葬儀社さんのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

ホームページ制作をおこなった後はお問合せをおこなっていただくべく、集客をおこないますが、このような記事・コラムをきっかけにご連絡をいただくこともあるかもしれません。

葬儀屋jpではコラム・記事制作も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

全国対応をおこなう葬儀屋jp

全国の葬儀社さんのホームページ制作・集客のご対応をおこなっております。
遠方の場合はまずはオンライン会議をおこなわせていただきます。