葬祭ディレクターが取るべき資格7選|資格概要や取得メリットを解説
葬儀社様におかれましては、他社との差別化や新規サービスなどを検討する際にアピールポイントをどこに置くべきか悩む葬儀社も多いでしょう。
葬祭ディレクター1級・2級は一般的ですが、すでに多くの葬儀社で有資格者が在籍しているため、差別化には限界があります。
また葬祭事業に従事される方が、将来的にキャリアアップするうえでも、次につながる資格の取得は優位に働く可能性が高いでしょう。
現在では、葬儀業界における代表的な資格「葬祭ディレクター」以外にも、他社との差別化に貢献する資格がいくつか存在します。
そこで今回は、葬祭ディレクターが取得することで将来に役立つ資格を厳選して7種類ご紹介いたします。
葬儀業界に従事する従業員の専門知識を高めるだけでなく、自社の信頼性を向上させるためにも、資格取得を考えるヒントとしてご活用いただければ幸いです。
もくじ
葬祭ディレクターが複数資格を保有するメリット
葬儀業界における資格のほとんどは民間資格です。そのため葬儀業界において資格は不可欠ではありません。
一方で、葬儀社社員が資格を取得する事で得られる付加価値は、年々高まっています。
葬祭関連の資格取得済みの葬祭ディレクターが従業員がいることで、主に以下3つのメリットがあります。
- 知識の向上
- 信頼性の増大
- 他社との差別化が可能
それぞれについて考えてみましょう。
知識の向上
葬祭ディレクターが新たに資格を取得することにより、葬祭関連知識の向上につながります。
自ら学び、葬祭に関する専門性を高めれば、業務においても幅広いスキルを磨くチャンスとなるでしょう。
特に専門性が高く人手不足な資格は個人の価値を高めるだけでなく、従業員の自信を養うことにもつながります。
また資格取得のために学んだ内容を日々の業務で実践することで、時代の変化に合わせた葬儀施行にも寄与し、自身の仕事に深みを加えられるでしょう。
知見が高まると従業員のキャリアアップにつながる
知識の獲得は、従業員のキャリアアップに大いに貢献します。
この記事をご覧頂いている葬儀関連会社に勤務されている従業員の方々にとっても、資格取得は収入や就労条件の向上の可能性アップにつながるでしょう。
一部の企業では取得資格に対して特別手当を提供しているようです。これは、従業員のモチベーションアップに貢献しているといえます。
また特定の資格を取得を取得したり、葬祭ディレクターと併せた2つ目の資格取得を目指したりするなどにより、採用先企業からの信頼性も高まり、業界内でのポジションアップを目指すことも可能です。
信頼性が向上する
葬祭ディレクターが複数の資格を取得していることで、葬儀業界関係者の方々やご遺族などの客観的な信頼性の向上にもつながるでしょう。
多くの葬祭関連資格では、資格取得後にカード発行やポスターの配布などを積極的に行っている四角団体も見受けられます。
資格団体からの配布物効果も相まって信頼度が高まるだけでなく、客観的に見ても専門知識を持つ従業員を有することが証明可能です。
たとえば「仏事コーディネーター」資格は仏事や仏具に関する正確な知識を持つことを証明するため、お客様に安心感を提供できます。
また超高齢化社会に突入している日本では、これまで民間資格だったものがある日、国家資格に昇格する可能性も想定できます。
特に「遺体衛生保全士・エンバーマー認定」は今後、国家資格化の可能性がある資格だといえます。
他社との差別化につながる
葬祭ディレクター+αの資格を保有する従業員を在籍させることは、他社との差別化につながります。
現在では、多くの葬儀社様が葬祭ディレクター有資格者を配置している状況ですので、葬祭ディレクター資格単体では差をつけにくくなっています。
しかし、複数資格を併せ持った葬祭ディレクターは、仏事や葬祭のエキスパートとしての活躍の場を広げられます。
たとえば「遺体衛生保全士」などのような希少の高い資格は、自社にとってアピールポイントとなります。
また、お墓関連のサービスを提供する葬儀社様では「お墓ディレクター」有資格者を配置することで、業界内ので優位性を高めやすくできるでしょう。
葬儀社で働く葬祭ディレクターが取っておいた方が良い資格7選
ここからは、儀社で働く葬祭ディレクターが取っておいた方が良い資格を厳選して7種類ご紹介いたします。
それぞれの資格の特徴や役割を簡単にご紹介いたしますので、各資格の概要が分かります。
気になる資格があれば、リンクをクリックいただけると詳しい内容をお届けしております。
1.葬祭ディレクター1級・2級
「葬祭ディレクター」は葬儀業界で勤務するにあたり、広く取得が推奨されている代表的な資格です。
葬祭ディレクターには1級と2級があり、葬儀に関する幅広い知識や技能、そして実務経験が求められます。
葬祭ディレクターが担う主な役割は、故人様を偲ぶ特別な空間を構築し、最後のセレモニーを滞りなく進行することです。
葬祭ディレクター資格は、葬儀業界で働くうえで不可欠ともいえる資格となっているようで、全従業員が取得している葬儀社様も少なくありません。
葬祭ディレクター資格については、以下の記事より詳しくご覧いただけます。
>>>葬儀社の資格「 葬祭ディレクター 」の資格取得方法やメリット・年収を解説
2.納棺師認定試験
「納棺師認定試験」は一般財団法人日本納棺士技能協会によって主宰されている民間資格です。
特に映画「おくりびと®」の公開以降、納棺師になりたいという志を抱く人が増えています。
納棺士(納棺師)の主な業務は、ご遺族様が故人様と穏やかな別れのときを迎えられるよう、身支度を整えて納棺することです。
具体的には、故人様の身体を洗い清める「湯灌(ゆかん)」や、死装束の着付け、元気だった頃のお姿に近づけるために髪を整えて化粧を施す「死化粧」などをおこないます。
「納棺の儀」は、故人様とご遺族様にとって非常に大切な儀式となるため、それを担う人物が一定水準以上の技量を持ち合わせていることを証明する資格を取得することは、大きな意味を持ちます。
納棺士(納棺師)について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
>>>葬儀業界における納棺士認定試験とは?|納棺士の業務内容や資格取得メリットについて解説
3.遺体衛生保全士
「遺体衛生保全士」は、海外への遺体移動の増加も見込まれる昨今、葬儀業界においては、ますます需要が高まる資格といえるでしょう。
エンバーマーとも呼ばれる「遺体衛生保全士」は、遺体の腐敗を防ぐ技術を習得するほか、生前の故人にできるだけ近づけるため、遺族からの要望に応じたり、故人の人となりを理解したりする役割を果たします。
一方で日本でのエンバーミングは阪神淡路大震災以降注目を集めていますが、現在でも有資格者の数は非常に限られており人手不足が深刻です。
「遺体衛生保全士」は、一般社団法人日本遺体衛生安全保全協会(IFSA)の認定校で取得可能です。
詳細は以下の記事よりご確認ください。
>>>【葬祭関連資格】 エンバーマー資格 の取得方法やメリット・年収について解説
>>>葬儀業界での需要が高まる遺体衛生保全士|葬祭事業における資格取得の重要性について解説
4.仏事コーディネーター
「仏事コーディネーター」資格は2004年から開始された新しい葬祭関連資格です。
主宰である仏事コーディネーター資格審査協会が仏壇・仏具や仏事に関する知識に基づいて、実務経験者を対象に講習と試験を通じて審査・証明します。
仏事コーディネーターは利用者様の仏事や仏壇・仏具に関する悩みを解決し、サポートするのが主な役割です。
通常、仏壇販売店様や仏具店様で活躍することが多いですが、葬儀社様でも葬儀のアフターフォロー担当者として勤務する場合もあります。
葬祭ディレクターが仏事に対する正確な知識を持つことで、仏事のプロとして利用者疑問を解決し、信頼を築けるようになるでしょう。
仏事コーディネーター資格の詳細は以下よりご覧いただけます。
>>>仏壇の不明点を解決!『仏事コーディネーター』の資格取得方法やメリットについて解説
5.お墓ディレクター
「お墓ディレクター」とは、お墓の建立を検討している方に対し、お墓づくりの専門家としてサポートを提供する仕事です。
お墓ディレクターはお墓に関する相談受付や石材のアドバイス、お墓の手配、アフターフォローなど、お墓作りに関するあらゆることに対応します。
お墓ディレクターも希少性が非常に高く、2023年時点で全国でわずか4,415人しか存在しません。
お墓ディレクターが在籍している事業所は、「お墓ディレクターのマーク」を表示できるため、専門家が在籍していることを証明できます。
お墓ディレクター資格を得ることで、葬儀ディレクターはお墓作りにおける客観的で高い信頼性と専門性をアピールできます。
お墓ディレクター資格の詳細は以下よりご覧ください。
>>>葬儀業界におけるお墓ディレクターとは?|業務内容や資格取得メリットについて解説
6.仏教葬祭アドバイザー
「仏教葬祭アドバイザー」資格は、伝統的な日本仏教の理解と実務に関する知識を持つ葬儀ディレクターという位置づけを確立するのに役立つでしょう。
仏教葬祭アドバイザーは、通夜葬儀からなる仏教葬儀の基本的な決まり事や作法、葬儀の手順などを正しく理解し、ご葬家様に適切な提案を行えることを証明するための資格です。
特に地方都市などで旧家の伝統が根付いている地域では、その土地に根差す仏教葬儀に関する的確なアドバイスが欠かせません。
仏教葬祭アドバイザー資格を持つことで、地域ごとのしきたりや伝統を把握出来ていると証明しやすいため葬家との信頼関係を築きやすく、業界内での知識と専門性を高められるでしょう。
詳しくは以下の記事より確認できます。
>>>【葬祭関連資格】仏教葬祭アドバイザー資格の取得方法やメリットについて解説
7.葬送儀礼マナー検定
「葬送儀礼マナー検定」は一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会が主宰する民間資格です。
葬儀やお墓、供養など葬送儀礼に関するマナーや作法を学び、葬送儀礼の本来の意味を理解していることを証明します。
インターネットなどで学ぶ葬祭マナーとは異なり、葬送儀礼マナー検定では葬送儀礼の本来の意味やあり方を理解し、後世に伝えることに重きを置いています。
また葬送儀礼は家族や遺族にとって感情的に難しい瞬間であり、どうすれば良いのか迷うことが多くあるものです。
葬送儀礼マナー検定に合格することで、葬祭ディレクターは憔悴しきっているご遺族に対して適切なマナーや作法のアドバイスやサポートを提供し、不安を和らげられるでしょう。
葬送儀礼マナー検定受験は葬儀社様のほか、仏壇店様や石材店様、墓石販売店様などにもおすすめです。
>>>知っておきたい葬送儀礼のマナー!「葬送儀礼マナー検定」について解説
まとめ
今回の記事では、葬儀社で働く葬祭ディレクターが次にとるべき資格を7つ厳選してご紹介いたしました。
今回ご紹介した7つの資格は、葬儀の簡素化や規模の縮小による葬儀単価の下落が課題となる葬儀社様にとって、需要の高まりが期待できるサービスといえるでしょう。
所属する葬祭ディレクターが取得することで業務の幅が広がり、知識と専門性の向上が期待できます。
さらに葬儀社様にとっては、お客様からの信頼を得るための大きなアピールポイントとなるでしょう。
特に、葬送儀礼マナー検定のような資格は、感情的に難しい葬儀の瞬間において、ご遺族に寄り添うという大切な役目を果たします。
葬儀業界は変化の時を迎えており、需要の高まりが期待できる一方、競争も厳しいのが現実です。
今回ご紹介した資格の取得は、他社との差別化と自社の信頼性向上につながるでしょう。