葬儀社におけるオウンドメディア運営まとめ|実例や運営手法・有用性を解説
葬儀業界でもネットを活用した集客に取り組む企業が増えつつありますが、その一環として公式サイトとは別にオウンドメディアを運営するケースも出始めているようです。
近年のネットビジネスにおいて、オウンドメディアの運用は集客やブランド構築の重要な一翼を担うツールとなっています。
しかし「葬儀社がメディアを運用する必要性は?」「どうやってオウンドメディア運用すればいいのか?」といった疑問を抱く葬儀社様も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、オウンドメディアの概要や異業種および葬儀業界における実例まで、わかりやすくご紹介いたします。
本記事でオウンドメディアについて理解し、葬儀業界内での競争力を高めるための参考にしていただければ幸いです。
もくじ
オウンドメディアとは
オウンドメディアは、企業が自社で所有し、運営するメディアの総称です。
英語の「owned(所有する)」と「media(媒体)」からきており、企業が所有するさまざまなサービスサイトやブログを包括的(ほうかつてき)に表します。
オウンドメディアの種類
オウンドメディアは、広義(こうぎ)で以下の媒体(ばいたい)を表すことが多くあります。
- 紙のパンフレット
- 自社のウェブサイト
- ブログ
- 採用サイト
- コーポレートサイト
- ソーシャルメディア(SNS)
- オンラインマガジン
なお、オウンドメディアの狭義(きょうぎ)の定義は「自社の公式ホームページとは別で運用するWebマガジンやブログ」として認知されています。
オウンドメディアの特徴
オウンドメディア最大の特徴は、お客様に対して自由かつ一貫性のある発信ができる点です。
それだけでなく、継続的な運用により客観的な信頼性と専門性の構築が可能です。
葬儀業界においては特に重要であり、オウンドメディアを通じて専門知識を提供することで、業界内での信頼や専門性を高めやすくできます。
ただしオウンドメディアは、即効性に乏しいことも覚えておかなければなりません。
結果をすぐに出すのは困難ですが、粘り強く運用することで業界内での競争力を高め、新しいお客様の獲得などさまざまな成果が期待できます。
なぜ葬儀社や墓石、仏壇会社にもオウンドメディアが必要なのか
葬儀関連事業者様にとってオウンドメディアが必要な理由は「お客様との接点をつくりやすい」ことと「他社との差別化を実現するため」の2点です。
以下で詳細をご紹介いたします。
お客様との接点をつくりやすい
オウンドメディアは、お客様との接点を生み出すために有効な媒体です。
特に、オウンドメディアに掲載されたお役立ち記事を通すことで、自社の会社名や葬祭サービスを認知されやすくなります。
たとえば、葬儀社が「葬儀のマナー」「宗教宗派別、参列者の焼香の方法」「供物の選び方」などといった葬祭に関連する現場視点でのお役立ち記事を提供すれば、これから葬儀に参列するために調べものをしている方々との接点を生み出しやすくなります。
またオウンドメディアを上手に運用すれば、お客様の連絡先情報も入手でき、ニュースレターなどを介した直接的な対話や情報提供も可能です。
他社との差別化がしやすい
オウンドメディアが葬儀社や墓石、仏壇会社にとって必要なもう1つの理由は、他社との差別化がしやすい点です。
他社と同じ商品やサービスを提供していても、自社の強みやユニークな特徴をオウンドメディアを通じて伝えられれば、競合他社との差別化を図るうえで有効です。
これにより、お客様にとって自社が他社と異なる選択肢であることを認識させることができ、競争の優位性を築ける可能性が高まります。
異業種で展開されるオウンドメディアの事例
オウンドメディアは以下のように幅広い目的に役立つため、異業種でも多く展開されています。
- 認知拡大
- リード獲得
- 自社のブランディング
- 採用力アップ
ここでは異業種におけるオウンドメディアの展開事例をご紹介いたします。
事例を通じて、異なる業界でのオウンドメディア活用がどのように成果を上げているのか、詳しく見てみましょう。
【展開事例1】自社の認知拡大
オウンドメディアは企業が自身の強みや専門知識を共有できるため、狙う顧客層に対する認知拡大と信頼構築に有効です。
コラム記事やお役立ち記事、ブログ記事を通した情報提供と後述するブランディングを組み合わせれば、効果的な認知拡大が期待できます。
特に「認知の拡大」におけるオウンドメディアの展開事例として挙げられるのが、株式会社ニチイ学館様が運営するオウンドメディア「ニチイの介護サイト」でしょう。
オウンドメディアのテーマは「介護の知りたいことが見つかる」です。
介護を必要とする家族向けから高齢者向けまで基礎知識や健康法など、事例を交えながら幅広い情報を提供しています。
介護に関する情報を求める人々に対して有益な情報を提供することで、自社の認知度を高めながら、ユーザーとの信頼関係を築いていることがわかります。
【展開事例2】リード獲得
オウンドメディアはリードの獲得に不可欠な媒体です。
リードとは、メールマガジン登録などにより新しい顧客や見込み客の情報を集めるプロセスを指します。
狙った顧客層に有用な情報を提供し、興味を引くことで新規顧客の名簿を獲得します。
リード獲得を中心としたオウンドメディアの展開事例には、株式会社マネーフォワード様の「Money Forward Bizpedia」が挙げられます。
お役立ち記事だけでなく、インタビュー記事など多彩なコンテンツとリンクの設定により、訪問者が求める情報を提供し、新たなリードを獲得する手助けをしています。
同メディアに会員登録することで、業務効率化などに関する多くの資料がダウンロード可能となります。
こうした手法をとれば、自社が提供しているサービスに対して関心を持っているユーザー層の情報が獲得できるため、集客につながりやすい効率的な情報発信が期待できます。
オウンドメディアに掲載されている記事などのコンテンツを通じてお客様との信頼を築き、関心を引きつけるオウンドメディア戦略は、リード獲得の第一歩として非常に効果的です。
【展開事例3】ブランディング
ブランディングとは、企業やブランドのイメージを築くプロセスを指します。
オウンドメディアは企業のブランディングの一環として、自社の情報や価値を伝えるツールとしても活用が可能です。
例えば、チーズタルト専門店のBAKEが運営するオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」が挙げられます。
「お菓子のスタートアップ」企業が運営する「THE BAKE MAGAZINE」では、先駆者のインタビューなどを通じて独自性を際立たせているほか、業界全体に焦点を当てたコンテンツ発信を通じて自社ブランディングを成功させています。
【展開事例4】採用力の向上
オウンドメディア上で自社文化や働き方を世間一般に伝えたり、従業員の声を通じて魅力的な職場をアピールしたりすることで、自社における採用力の向上も可能です。
株式会社メルカリが運営するオウンドメディア「メルカン」は、オウンドメディアを採用に活用している事例として認知されています。
メルカリ社内の魅力や文化を記事で伝えることで、リファラル採用(従業員が自分の友人や知人を会社に推薦し、その人を採用する仕組み)を増加させているようです。
社員へのインタビューや社内の様子についての情報を記事にすることにより、採用後のミスマッチを防ぐだけでなく、社員の友人や知人にメルカリへの興味を喚起し、リファラル採用の増加に貢献しています。
葬儀社がおこなうオウンドメディアの展開事例
葬儀業界におけるオウンドメディア展開の実例については、同業他社である葬儀社様も興味のあるところでしょう。
葬儀業界におけるオウンドメディア事例として多く見られるのが、お役立ち記事などの記事コンテンツによる展開です。
以下より詳しくご紹介いたします。
【展開事例1.】株式会社家族葬のファミーユ様「クリアン」
株式会社家族葬のファミーユ様が運営するオウンドメディア「クリアン」は、心と絆をテーマに、家族葬に焦点を当て終活と葬儀に関する情報を提供する、典型的なオウンドメディアを構築しています。
お役立ち記事の他、タレントや有名人のインタビューなど、読者の心に響くコンテンツを提供している点にも注目です。
家族葬を通じて家族の絆や人との絆を強調し、終活と葬儀についての価値ある情報を提供することで、業界内で差別化を図っているのでしょう。
【展開事例2】東京博善株式会社様「ひとたび」
東京博善株式会社様のオウンドメディア「ひとたび」も、葬儀業界におけるオウンドメディアの活用事例の1つです。
「ひとたび」というタイトル名の通り、人生の最後の旅路をほうふつとさせるコンセプトで、終活から葬儀後の手続き、国際的な葬儀文化まで幅広いコンテンツを提供しています。
また、有名人のインタビューやシニア向けの生き方アドバイスなどが組み込まれており、有名人のファンや老後の生活を豊かにしたいと考える層など幅広い読者層を対象にしています。
訪問者に葬儀に関する知識を提供するだけではなく、「ひとたび」を通じてメールマガジンへの登録を促す導線がある点に注目です。
この導線によりリードを獲得し、自社を利用する可能性がある新規の見込み客の獲得に貢献しているようです。
【展開事例3】むすびす株式会社様「終活メディア」
むすびす株式会社様が運営する「終活メディア」では、動画と専門家のコラボレーションを駆使し、葬儀に限らずお金、介護、相続など幅広い情報を提供しています。
コンテンツでは独自の調査データを提供しているそうで、客観的な信頼性を高めていることがわかります。
また、葬儀資料請求ページや電話番号の掲載することでリード獲得として活用し、新規の見込み客獲得施策を行っているようです。
その他、コーポレートサイトや採用サイトをオウンドメディア内にも掲載することで自社の管理する各ページと連携し、メディアを効果的に運用しています。
【展開事例4】株式会社ユニクエスト様「小さなお葬式の知恵袋」
Q&A形式のオウンドメディアは、個人のお悩みや聞きづらい疑問を専門家に気軽に相談し解決できる場所として活用できます。
「小さなお葬式の知恵袋」は、葬儀社が提供するオウンドメディアの中でも珍しいQ&A形式の手法を採用したメディアです。
「小さなお葬式の知恵袋」では葬儀だけでなく、供養の方法、相続、保険など、幅広いライフエンディング分野の疑問に対し、専門家による解決策を受けられます。
さらに葬儀を経験した一般の方からの回答で実体験に基づいた情報も得られるため、多くの方が共に問題を解決できるコミュニティとしても機能しているようです。
葬儀社のオウンドメディア展開方法
オウンドメディアを上手く展開させるには、最初に戦略を明確に定め、自社で展開するか外部に委託するかを考えることが肝心です。
ここでは、葬儀社様がオウンドメディアを運営するために必要な事項と、自社展開と委託の2つの選択肢について詳しく説明いたします。
構築前に定めるべき事項
オウンドメディアを構築する前に着実に定めるべき事項が存在します。
- オウンドメディアのコンセプト設計
- オウンドメディアのターゲットを決定する
- オウンドメディアの明確な目的設定
- 自社運用か外部委託かの決定
特に、オウンドメディアのコンセプト設計や目的設定は、運営基盤を築く重要なステップです。
この工程でオウンドメディアの方向性が定まらないと、自社が狙う顧客層に情報が届かないだけではなく、お客様が求めている情報とは異なる内容を発信することになってしまいます。
多くあるオウンドメディアの展開事例として多く見られるのが、お客様の悩みや質問の解決方法をブログ形式で伝えることで、さりげない接点を築くという手法です。
その他、実際の社員や経営者が発信する「中の人ブログ」は、ブランディングに有効であるほか、SEO対策や認知度向上、集客・採用活動にも寄与します。
ブログのほか、自社の情報を多様なメディアを通じて発信し、リアルタイムでのやり取りに重きを置いた「SNS」をオウンドメディアとして運用することも可能です。
自社でオウンドメディアの展開をおこなう場合
自社でオウンドメディアを展開する際は、WordPressなどのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を利用し、葬祭に知見のある自社スタッフがブログを書くことが推奨されます。
WordPressを使えば、かかる費用はドメイン代とサーバー代のみで済みます。
ただし、自社でオウンドメディアを展開する場合は、構築や継続的な運用、効果測定のために専任スタッフを確保しなければなりません。
費用や人件費を最小限に抑えられるという点で自社展開は魅力的ですが、オウンドメディアの自社運用を成功させるには、努力と長い時間が必要です。
時間をかけてじっくり自社でノウハウを構築したい葬儀社様や、オウンドメディア専任スタッフを置ける葬儀社様にはおすすめできますが、現場での実務が多く人材を割けない葬儀社様では、対応が難しいかもしれません。
委託でおこなう場合
オウンドメディアを運営したいものの、現場での実務に追われて手が付けられない場合や、オウンドメディアの自社展開に自信がないという葬儀関連事業者様におすすめなのが、外部に委託する方法です。
外部の業者に全て委託すれば、オウンドメディア構築から記事や投稿などのコンテンツ作成まで代行してくれますし、一部委託するだけでも自社に不足している業務を任せられます。
以下のポイントに気を付けながら、複数の業者に見積を依頼してみましょう。
- 葬儀業界あるいは近い業界での制作実績はあるか
- 葬儀業界への理解はあるか
- 費用は想定内か
- SEO対策の知見があるか
- 自社のコンセプトに沿ったデザインにしてくれるか
- 自社の求めるサービス内容(全て委託or一部委託)を提供してくれるか
オウンドメディアの全てを委託する場合
オウンドメディアの展開に知見がない場合は、費用はある程度かかりますが制作業者に全てを委託することがおすすめです。
外部の専門業者にオウンドメディアの運営を依頼することで、効果的なオウンドメディア構築や高品質なコンテンツの提供が期待できます。
一部を委託する場合
既に自社内にオウンドメディア専任の人材を確保できる場合や、ノウハウを保有するスタッフがいる場合、オウンドメディア展開の一部を代行してもらうことも可能です。
例えば、自社内でSEOの知識が不足している場合はSEOの専門家をアドバイザーとして迎えることで、検索エンジンでの露出向上がきたいできます。
どの部分を外部に任せ、どの部分を内部で管理するかを明確に決めるたうえで、見積を依頼しましょう。
オウンドメディア代行サービス業者4選
葬儀関連業者様ごとにオウンドメディアへの対応状況は異なるかと存じます。
代表的な委託先業者を以下にご紹介いたしますので、自社が必要とするオウンドメディアサービスを展開しているかどうかの参考にしてみてください。
1.株式会社リファイド様
株式会社リファイド様は、大手企業でのオウンドメディア対応実績をもち、ニュース記事とコラム記事を組み合わせたオウンドメディアの展開を得意としています。
新しくオウンドメディアの展開を検討している葬儀関連事業者様をはじめ、すでに展開済みのオウンドメディアを改善したいという場合にもおすすめです。
会社概要 |
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事業概要・取扱内容 |
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特徴・強み |
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公式サイト | |
タイトル | オウンドメディア運営・記事制作代行専門|株式会社リファイド |
ディスクリプション | 業歴10年以上のオウンドメディア運営・記事制作代行専門のリファイド。ニュース記事とコラム記事のハイブリッドコンテンツマーケティングで、検索からソーシャル・参照元サイトまで、安定した流入の確保をご支援します。「集めるオウンドメディア」から「集まるオウンドメディア」に。コンテンツマーケティング・オウンドメディア運営・記事制作代行なら、リファイドにお任せください。 |
2.バズ部(株式会社ルーシー)様
オウンドメディア代行業界内では名前が知られている『バズ部』を運営する株式会社ルーシー様。
社内にオウンドメディアを運営する人材が確保できず、運営を断念している場合でも、バズ部にサイト制作から記事執筆まで丸ごと委託でき、オウンドメディアでの圧倒的な集客を実現できるようです。
会社名 | 株式会社ルーシー(バズ部) |
会社概要 |
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事業概要・取扱内容 |
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特徴・強み |
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公式サイト | |
タイトル | オウンドメディア立ち上げサービス – バズ部 |
3.株式会社スマートメディア様
株式会社スマートメディアは、葬儀業界に対するオウンドメディア展開実績を持つWebコンテンツマーケティングを網羅するスペシャリスト集団です。
SEOとSNSの集客で、生活者に「見られる」オウンドメディアの構築・運営を一気通貫で担ってくれるだけでなく、葬儀業界への展開実績があるため、安心して依頼できそうです。
会社概要 |
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事業概要・取扱内容 |
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特徴・強み |
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公式サイト | |
タイトル | 株式会社スマートメディア |
ディスクリプション | スマートメディアはオウンドメディアのプロ集団です。月間1.5億PVのメディア運用ノウハウを元に、戦略/構築/運用まで一気通貫で支援します。また、750社以上に導入されたCMS(Clipkit)の開発提供しております。 |
4株式会社ダブルアップ様
株式会社ダブルアップ様では、オウンドメディアの構築・デザインをはじめ、月ごとの運用・システムサポートを展開しています。
必要に応じてランクに応じたブログ記事の制作代行もつけられるため、社内で不足している人材を必要に応じて代行してもらえるでしょう。
会社概要 |
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事業概要・取扱内容 |
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特徴・強み |
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公式サイト | https://www.wup.co.jp/ |
タイトル | WEBシステム・デザインの株式会社ダブルアップ(東京、大阪) | ダブルアップ(東京、大阪)の営業種目は、ウェブ関連システム(システム、営業支援、ウェブ受注システム)、デザイン・動画・スマホアプリなど。 |
ディスクリプション | ダブルアップ(東京、大阪)の営業種目は、ウェブ関連システム(システム、営業支援、ウェブ受注システム)、デザイン・動画・スマホアプリなど。 |
まとめ
今回は、葬儀関連業界の皆様向けに、オウンドメディアの概要と展開事例、展開方法についてご紹介いたしました。
自社の戦略や経営方針に合わせた情報コンテンツを、柔軟に発信できるオウンドメディアの有用性が、ご理解いただけたかと存じます。
オウンドメディアは葬儀業界においても情報発信を通じたお客様との深い関係の構築に欠かせないツールです。
自社でできることと外部の協力を組み合わせ、効果的なオウンドメディア戦略の構築をおすすめします。
なお『葬儀屋.jp』でも、葬儀関連業界様向けのオウンドメディア制作を承っております。
葬儀業界でトップクラスの制作・運用実績を誇っており、ブログ型のオウンドメディアのほか、SNSを使ったオウンドメディア戦略も対応可能です。
>>葬儀屋.jpの詳しいサービス内容はこちらから
葬儀業務における言語化しづらい部分などもわかりやすくお伝えできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。