葬祭ディレクターとあわせて持ちたい|終活アドバイザー資格の取得方法やメリット・年収を解説

終活はテレビやニュース、50代以上をターゲットとしたWEBメディアでも多く取り扱われるようになり、高齢者の間でひそかなブームになっています。
一方で、「終活といっても何から始めていいかわからない」という声も散見されます。
葬儀社様におかれましても、お客様の要望に一貫して応えるために、終活に関する資格の取得が必要になる可能性もあります。
今回ご紹介する「終活アドバイザー」認定資格も、葬儀業界だけでなく、高齢者と関わる各業界内でも需要が高まっている職種とのことです。
他の業界に後れを取らないためにも、葬儀業界に所属する方は取得を検討することで、新しい付加価値を得られます。
そこで今回は、終活アドバイザーについて、概要や資格取得方法、メリット、年収についてご紹介いたします。
似たような資格として登場する「終活ライフケアプランプランナー」や「終活カウンセラー」の違いについてもわかりやすくご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
葬儀社が終活アドバイザーを在籍させるメリット
葬儀社従業員が取得すべき資格として代表的なのは「葬祭ディレクター」でしょう。
しかし現在では、ほとんどの葬儀社様が「葬祭ディレクター」を在籍させているため、他社との差別化を図るうえで、効果は限定的になりつつあります。
また、葬儀の施行以外にさまざまなアフターサービスを用意している葬儀社様も増えていることから、関連資格の所有者を在籍させておけば、優位性を高められるでしょう。
そういった意味で「葬祭ディレクター」があわせ持ちたい資格には以下のようなものがあります。
- 終活ライフケアプランナー
- 終活アドバイザー(今回ご紹介)
- 終活カウンセラー
- 終活コーディネーター
- グリーフケア資格
- 終活士
- 遺品整理士
- 海洋散骨ディレクター
- 海洋散骨アドバイザー
終活アドバイザーとは?
「終活アドバイザー®」とは、自分自身や家族のために、自分の人生の終わりに向けて必要な手続きや準備をするアドバイザー(助言者)です。
終活アドバイザーは、葬儀や遺言、介護、保険、医療、遺品整理など、終末期に高齢者に降りかかる問題に関する専門知識を持ち、相談者へ適切なアドバイスを提供できます。
相談者の必要時には、各分野の専門家の方々と協力して相談内容に関する支援や解決の手伝いをするだけでなく、手続きに同行してサポートします。
認定試験を行う協会について

終活アドバイザーは、NPO法人ら・し・さが運営する終活カウンセラー協会が管轄・実施している認定試験です。
主宰団体のNPO法人ら・し・さは、
人生後半期を「その人らしく」過ごすためのお手伝いをする、終活の専門家集団
として活動しています。
終活アドバイザー認定資格の実行・運営を行うほか、「終活」に関するイベントの開催や執筆・調査等で、終活にまつわる情報発信やノウハウの提供を行ってるようです。
さらにNPO法人ら・し・さでは、オリジナルエンディングノート『ら・し・さノート®』などを出版することで、紙に書くことの大切さも伝えています。
なお、「終活アドバイザー®」や『ら・し・さノート®』にある「®」マークは、商標登録済みマークです。
「終活アドバイザー」という名称や『ら・し・さノート®』を商標登録することで、NPO法人ら・し・さ独自のブランドを示し、競合他社との差別化を図っていることがわかります。
葬儀業界にとって、自社への顧客吸引力を増加させるために「商標登録」が重要事項として挙げられています。
詳しくは『葬儀社は商標登録するべき?商標登録済み代表的な葬儀関連会社も紹介』という記事を参考にしてみてください。
終活アドバイザーと終活ライフケアプランプランナー、終活カウンセラーの違い
「終活アドバイザー」を調べていると、似たような名称として「終活ライフケアプランナー」と「終活カウンセラー」が出てきます。
特に「終活ライフケアプランプランナー」と「終活カウンセラー」は業務面も重なることが多くあるため、混乱してしまいがちです。
3つの認定資格は主に、受講期間や認定資格取得後の資格更新に関するルールや期限などが異なります。
以下に情報をまとめましたので、参考にしてみてください。
終活アドバイザー | 終活カウンセラー | 終活ライフケアプランプランナー | |
認定協会 | 特定非営利活動法人 ら・し・さ | 一般社団法人 終活カウンセラー協会® | 一般財団法人 日本能力開発推進協会 |
主眼 | ・人生後半期の過ごし方や年金、介護、医療、住まい、終末のあり方などの悩みを抱える高齢者に寄り添い、悩みを解決する良き相談相手となる | ・終活に関する抽象的な「悩み」の解決に必要となる専門家の見極め ・必要に応じて、相談者と専門家をつなげる橋渡し的な存在 ・高齢者の方のお困りごと案内人 |
・「終活」に関して熟知し、終活の有効性を伝えることで、必要なサポート・アドバイスを行えるスキルを証明する ・人生の最良の終わりを提案しサポートできる終活のスペシャリスト |
講座受講先 | ユーキャンの通信講座 | ・級ごとにオンラインor通学(講座・受験)
・2級は自宅で受講&受験可能 |
通信教育講座のキャリカレ |
学ぶ内容 | ・終活アドバイザーに必要な知識、スキル ・エンディングノートの書き方 |
・終活の基本知識全般 ・エンディングノートの書き方 ・介護保険と介護サービス ・保険 ・年金 ・相続 ・お葬式、供養 ・終活の正しい理解と教えるための講座(認定終活講師) |
・終活の基本知識全般 ・終末期ケアと死生観 ・終活ライフケアプランナーの活動方法 ・エンディングノート付属 |
受講期間 | ・4カ月 ※受講開始から8カ月まで指導 |
・2級:約6時間の講習後筆記試験 ・1級:事前レポート提出、講習2日(試験込) ・終活カウンセラー協会認定終活講師養成講座:講習5日間(1日6~7時間程度)、試験1日30分程度 |
・最短3カ月 |
有効期限・更新・協会入会など | ・合格後、終活カウンセラー協会認定講師として認定、3年以内に任意入会 (入会金:4,000円、年会費6,000円) |
・2級以降に協会に入会可能 ・初年度は2級受験費用内に年会費込み、2年目より有料(5,000円) |
・なし |
合格ライン | 得点率60%以上 | 記載なし | 得点率70%以上 (テキストを見ながら受験可能) |
難易度 | 中程度 | 級ごとに難易度が上がる | 低い |
再受験 | △ ※受講期間中 |
△ ※返金不可、再受験 |
○ ※講座修了後1年以内 |
出典:終活ライフケアプランナー養成講座(終活の資格)|通信教育講座・資格のキャリカレ
終活カウンセラーとは|一般社団法人 終活カウンセラー協会
理事長ご挨拶 | 終活アドバイザー協会
終活アドバイザーの業務内容
終活アドバイザーの主な業務内容は、以下の通りです。
- エンディングノートのアドバイス
- 終活で困る人の相談相手
- 専門家への紹介やコーディネート
- 自治体窓口などへの同行や手続きの手伝い
- スムーズな引き継ぎの手伝い
お客様が持つ終活に関する不安を取り除き、適切な場所へ導くことにより、今の生活を楽しめるように支援することに注力していることがわかります。
中でも「終活アドバイザー」ならではの業務内容が、「自治体窓口への同行や手続きの手伝い」ではないでしょうか。
「終活ライフケアプランプランナー」や「終活カウンセラー」では言及のない項目です。
終活アドバイザーの資格を取得することで得られるメリット
「終活アドバイザー協会」の公式ホームページ上で言及されている資格取得後のメリットは以下の通りです。
- 協会からの認定証、会員証の発行
- 会員誌の購読ができる
- NPO法人ら・し・さオリジナルの『ら・し・さノート®』の特別価格での購入
- 各種セミナー等への優待料金または無料でのご参加
- 会員用ホームページの閲覧
- 認知度アップツールの購入
- 終活アドバイザー協会ホームページに氏名を掲載
- 各地で行われている会員同士の交流(サークル:終アド)
前提として、終活アドバイザー認定試験に合格しないと正式な認定証を発行してもらえないため、終活アドバイザー協会への入会により受けられるメリットが多くあります。
終活アドバイザーの資格取得方法
終活アドバイザーの資格を取得するためには、終活ライフケアプランプランナーと同じく、終活アドバイザー協会の指定教育機関で教材を購入し、期限内に受講・修了試験に合格する必要があります。
認定試験だけは受けられませんので注意しましょう。
以下に詳しく説明いたします。
受験資格・申し込みについて
終活アドバイザー検定を受ける前に、指定校である株式会社ユーキャン様の通信講座の受講が必要です。
その分、国内在住者であれば年齢問わず誰でも受講できます。
講座はすべて通信講座で、自身のタイミングやペースでの学習が可能です。
通信講座の内容について

標準学習期間は4カ月で設定されていますが、受講開始から8カ月まで指導してくれるそうです。
NPO法人ら・し・さが執筆・監修した終活アドバイザー講座を構成する講座をご紹介いたします。
- 終活の分野に関するメインテキスト3冊
- 副教材:要点チェック問題集、ら・し・さノート®(エンディングノート)、ガイドブック 他
教材では、終活を検討している方に対して、その人にあうアドバイスができるような終活に関する幅広い知識と、エンディングノートの上手な活用法を学べます。
その他、課題添削3回や1日3問まで可能な質問サービスもあり、初学者でも終活についてイチから学べる仕組みです。
試験について
教材に含まれる第4回目の添削課題が、終活アドバイザー講座の修了試験をかねた「終活アドバイザー検定試験」です。
第3回目の添削課題が完了した後、期間内であれば検定試験にチャレンジできます。
教材と同様、通信テストなので、自宅で受験が可能です。
設問はマークシート式。
全ての問題の合計点数が60%以上で合格です。
ここで合格すると、晴れて終活アドバイザーの有資格者となります。
また、万が一合格水準に満たなかったとしても、講座期間内であれば何度でもチャレンジ可能です。
認定証について

終活アドバイザー検定試験の合格者は、終活アドバイザー協会に登録できますが、協会に登録しないと「終活アドバイザー」としての付加価値が得られない点に注意しましょう。
正規の認定証や会員証は、協会に登録しないと発行してもらえません。
入会金は4,000円、以降、年会費が6,000円発生します。
会員登録は任意ではあるものの、付加価値を付けたいのであれば、講座終了日(合格日)に登録することがおすすめです。
なお現時点では、合格日から3年以内であれば特例入会もできます。
後から登録をする場合は、あらかじめ協会規約を確認しましょう。
資格取得費用について
「終活アドバイザー協会の終活アドバイザー」として活躍するための資格取得費用は、講座受講と終活アドバイザー協会登録費用の2つが必要です。
- 講座費用:3万5,000円 (税込み・送料は株式会社ユーキャンが負担、分割払い対応)
- 協会登録費:入会金4,000円、年会費6,000円
- 取得までの合計:4万5,000円
終活アドバイザーの年収について【求人時の目安】
終活アドバイザーの年収は葬祭ディレクター資格と掛け合わせられる点から、年収180万円~600万円前後と幅広いです。
残念ながら2023年現在、「終活アドバイザー協会の終活アドバイザー」としての職種は見当たりません。
さらに、終活アドバイザー協会は仕事の紹介はしてくれないことも覚えておかなければなりません。
協会の運営目的は、あくまで終活の普及とステータス向上、会員資質の向上がメインになっています。
終活カウンセラー認定者の活動自体も、規約や会員倫理規定さえ守っていれば、各会員に任せているのが現状です。
終活アドバイザー認定資格を取得する際は、以下の点を考慮したうえで受験する必要があるでしょう。
- 「終活アドバイザー協会の終活アドバイザー」という職業が存在しない
- 協会は仕事のあっせんは行っておらず、会員が自ら探さなければならない
- 終活カウンセラー資格はあくまで葬儀業界で働く方々の付加価値的存在であること
なお、勤務場所によっては、待遇面において無資格者よりも有利になる可能性があるため、葬儀業界での働き方次第では取得をしておくと有利かもしれません。
求人する場合
葬儀社様が終活カウンセラー資格取得者を求人する場合は、歓迎スキルや必須スキルの1つとして、本有資格者を歓迎する文言を沿えると求職者からも分かりやすいため、おすすめです。
終活カウンセラーは、高齢者の関わる業界の方々からも好まれる傾向にある認定資格であるため、他業界からの求人もしやすくなります。
終活カウンセラー有資格者に対しての手当や待遇などアピールする場合は、その旨も明確に記載することで、求職者も幅広く募れるでしょう。
終活アドバイザーと組み合わせられる資格
上記でも述べた通り、終活アドバイザーと相性が良いのは「葬祭ディレクター(1~2級)」です。
その他、以下の経験や資格がある方は有利だといえます。
- 各種教員免許の取得経験者(都道府県)
- 語学関連資格(TOEIC、TOEFLなど、民間検定)
- 歴史能力検定 日本史各級(民間検定)
- FP(ファイナンシャルプランナー、民間検定)
最後に
今回は、NPO法人ら・し・さが運営・主宰する「終活アドバイザー」認定資格についてご紹介いたしました。
「終活アドバイザー」資格は、通信講座のユーキャンを通して講座・検定を受験出来るため、自宅で気軽に受験できます。。
「終活アドバイザー」認定資格は、葬儀社様やスタッフに付加価値をつけやすい資格なのではないでしょうか。
一方で、活躍する条件として終活アドバイザー協会への所属が必須となります。
資格を取ったからといって、仕事がもらえるわけではないようですので、その点は検討の余地があるでしょう。
本記事が、現在葬儀社などに従事していて、終活に関する資格取得を検討している方の参考になれば幸いです。
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