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京都府の葬儀における作法としきたり

京都府の葬儀における作法しきたり

古(いにしえ)の都である京都府は長く政治や文化の中心であったことから、京都府独特のしきたりが少なくありません。
葬儀にまつわる習慣も他地域とは異なる点が多々あるため、特に東日本から京都府の葬儀に参列された場合は、慣習の違いに驚くことも多いようです。

そこで今回は、京都府の葬儀に関する作法やしきたり、特徴的な風習について紹介します。
葬儀社様にとって、知っておいても損はない知識となりますので、ぜひ最後までご覧ください。

古くから伝わる京都の葬送文化

伏見稲荷

長いあいだ日本の中心として隆盛を誇った京都府には、数多くの歴史的建造物が現存しており、古の姿を今に留めています。
伝統的な文化や習俗も大切に受け継がれており、葬送にまつわるしきたりも古くから続いているものが少なくありません。

「逆縁(ぎゃくえん)の不幸」では親が火葬場に同行しない

「逆縁(ぎゃくえん)の不幸」とは、子供が親よりも先に亡くなることで、最大の親不孝とされています。

京都府の与謝野町周辺地域では「逆縁(ぎゃくえん)の不幸」の場合、親は火葬場に同行しないというしきたりが残されています。
こういった風習は、かつて日本全国で行われていましたが、今では京都府を含む一部地域に残されているのみとなっています。

昔は、妻が先立った場合に夫が火葬場に同行するのは問題ないが、夫に先立たれた妻が火葬場に同行するのは避けるべきとされていました。

再婚も珍しくない現在の日本では考えられませんが、かつては夫の火葬に妻が同行することは、再婚宣言と捉えられ非難された時代もあったようです。

故人が愛用した茶碗を割る

茶碗割り

京都府の葬儀では、生前に故人が愛用した茶碗を割ることがあります。
この風習には「あなたの食事はありませんので、迷わず成仏してください」という意味があるようです。

かつては日本各地で広く行われていた習慣ですが、現在では近隣地域に対する騒音への配慮などから行われることも少なくなっています。

今では京都府でも都市部では少なくなっているようで、行う場合は周りに飛び散らないよう茶碗を紙袋などに入れてから割るようです。

出棺時には送り火を焚く

京都府の一部地域では、葬儀の際の出棺時に「送り火」として藁や紙を燃やす風習が残されています。
出棺後はすぐに蓋をかぶせて火を消し、周りから煙が見えないようにしますが、これは故人に戻る家を見失わせるためとされているようです。

この風習も茶碗割りと同様に、故人の成仏を願う遺族の思いが込められた葬送習慣です。

霊柩車での移動にも配慮が必要

京都府の葬儀では、出棺後に霊柩車が出発する際に、南または西に向けて車を出すのが作法とされているようです。
また火葬場に向かう道中も、鳥居をくぐってはならないといった決まりごとがあります。

出で立ちの膳(いでたちのぜん)

出で立ち膳

京都府の舞鶴市など一部地域では、出棺前に「出で立ちの膳(いでたちのぜん)」が振る舞われることがあります。
「出で立ちの膳」では、しょうゆベースのだし汁に賽の目(さいのめ:小さな四角形)切りにした豆腐を入れた椀を頂くのが一般的です。

そのため京都府では、普段の料理に賽の目に切った豆腐を使うのを、忌み嫌う傾向があります。

忌日法要前日の「お逮夜(おたいや)」

京都府では忌日法要前日の夜に「お逮夜(おたいや)」と呼ばれる儀式を行う習慣があります。

もともと仏式の供養では、死後7日ごとに四十九日忌まで忌日法要を行っていましたが、現在では初七日と四十九日の法要のみというケースが多くなっています。
かつては二日間かけて「お逮夜(おたいや)」と忌日法要の両方を行っていましたが、今ではどちらか一方だけ行うのが一般的です。

東北地方では、通夜のことを「お逮夜(おたいや)」と呼ぶ地域がありますが、同じ名称でも内容は大きく異なるため注意が必要です。

近畿地方の他県でも見られる葬儀のしきたり

京都府で行われる葬送習慣の中には、近畿地方の他県と共通するものや、似通ったものが少なくありません。
近畿地方は全般的に、天子様(天皇陛下)御所への思いが強い地域であることも、理由の一つでしょう。

小さな骨壺

京都府を含めた近畿地方では、火葬後の遺骨の主要な部分だけを収骨する「部分収骨」が主流となっています。
そのため利用する骨壷も5寸(口径:約15㎝)ほどと小さいことから、関東地方からの参列者に驚かれることも多いようです。

収骨後に残った遺骨は、そのまま火葬場に残して帰るのが通例となっているのも、関東地方の方にとっては不思議に感じる点かもしれません。

収骨の際は違い箸(ちがいばし)

違い箸

京都府では、火葬後の収骨の際に竹と木で作られた素材が異なる箸を、それぞれ一本ずつ使用するのがしきたりとなっています。
こういった習慣は「違え箸(ちがいばし・たがえばし)」と呼ばれ、死穢(しえ)を避けるための「逆さ事(さかさごと)」の1種です。

「逆さ事」とは、普段とは異なる方法で物事を行うことで、死の穢れ(けがれ)を日常から切り離すための行為を指します。
着物の袷(あわせ)を通常とは逆にする「左前(ひだりまえ)」や、屏風(びょうぶ)を上下逆にする「逆さ屏風(さかさびょうぶ)」など、各地にさまざまな「逆さ事」の習慣が残されているようです。

友引には友人形

こけし

全国的に「友引」の弔事は縁起が悪いとされているため、火葬場が休みの地域も多いようですが、京都府では「友引」でも火葬場が開場しています。
「友引」に葬儀を営む場合、京都府では故人が周りの方を連れて行かないように、棺に「友人形」を入れる風習があります。

「友人形」は、人型の木板に目鼻を書きこんだだけの簡素なものから、こけしに近い形状のものまであるようです。
大阪府や奈良県も「友引」に火葬場が稼働しており、京都府と同様に人形を副葬品にする習慣があり「友人形」「友引人形」などと呼ばれています。

大阪府の一部地域では市松人形(いちまつにんぎょう)を利用することもあり、こういった地域では「いちま人形」「いちまさん」などと呼ばれることもあるようです。

生花ではなく樒(しきみ)を飾る

樒

葬儀式場には白を中心とした生花を飾るのが一般的ですが、京都府を含めた近畿地方では「樒(しきみ)」を飾るのが通例となっています。
他地域から近畿地方の葬儀に参加された方は、式場が緑一色で寂しく感じるかもしれません。

樒はもくれん科の常緑樹で、葉や樹皮からは強い香りを発し、さらに実には毒があります。
常緑樹は寒い時期でも枯れることがないことから、仏様の永遠性を象徴する植物とされているようです。

かつて土葬が主流だった時代は、埋葬した遺体を野犬などの動物が掘り返すのを避けるため、強い香りを放ち実や花に毒を持つ「樒」が墓地に植えられました。

また強い香りが死臭を浄め魔を祓うと信じられていたため、遺体を安置する際の枕元にも飾られたことから別名「仏前草」とも呼ばれています。

不祝儀には黄白水引

黄白の水引

通夜・葬儀に持参するお香典には、白黒または双銀水引の不祝儀袋を利用するのが一般的ですが、京都府では黄白の水引を用います。

かつて宮中への献上品には、玉虫色(紫がかった濃緑色)の水引を掛けるしきたりがありました。
遠目で見ると玉虫色は黒と見分けがつきにくく、庶民が弔事に使用するのは畏れ多い(おそれおおい)という考えから、喪を表す黄色を用いるようになったといわれています。

武家文化よりも公家文化が身近な京都らしいしきたりですが、同じ近畿地方の大阪府や奈良県でも黄白の水引を弔事に利用する習慣がみられます。
ただし京都府以外では、忌日法要や年忌法要には利用するものの、通夜・葬儀では黒白が主流となっているようです。

京都府における葬儀マナー

現在では都市部を中心に地域住民の関係性が希薄化傾向にありますが、京都では近所付き合いが盛んとされています。
そのため葬儀の際に近隣住民が関わることも多く、町内会への配慮も重要です。

通夜式への参列は平服で

現在では通夜式に喪服を着用して参列される方も珍しくありませんが、かつては平服で駆けつけるのがマナーとされていました。
通夜式に喪服で参列するのは、故人が亡くなるのを待ち構えていたようで失礼という理屈だったようです。

こういった考えを持つ方も最近では少なくなっていますが、京都府郊外の地域では一般的なマナーとして今も守られています。

指名焼香(しめいしょうこう)

指名焼香

かつて葬儀は近隣住民が総出で手伝うのが当然で、町内会長などが葬儀委員長を務めて、さまざまな手配を行っていました。
こういった習慣は今では少なくなっていますが、京都府の葬儀では町内会長が近隣住民を代表して、一般弔問客に先立ってお焼香に立つケースがあるようです。

葬儀の司会者が式中に指名して行うため、こういった習慣を「指名焼香(しめいしょうこう)」と呼びます。

しかし近年では、京都市などの都市部で小規模な家族葬が浸透していることから、行われることも少なくなっているようです。

会葬返礼品は商品券

会葬返礼品というと、お菓子やお茶などが一般的ですが、京都市では商品券やQUOカードを用いるケースが多いようです。

会葬返礼品を含め、相手方に金額が分かるものを贈るのはマナー違反とする地域が多く、商品券を利用するのは京都府内でも京都市周辺地域に限られます。
作法に厳しい印象のある京都で、会葬返礼品(京都では粗供養とも呼ばれる)にQUOカードを利用するのは、少し不思議な感じがします。

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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