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岐阜県の葬儀における作法としきたり

岐阜県 作法 しきたり

日本列島のほぼ中央に位置し「日本のへそ」とも呼ばれる岐阜県は、3000m級の山々に囲まれた飛騨(ひだ)地方と、濃尾(のうび)平野を中心とした美濃(みの)地方に分けられます。
山間部と平野部では気候風土も異なるため、文化や習慣にも地域ごとに違いがみられるようです。

そこで今回は、岐阜県の地域ごとに異なる葬送習慣について、詳しく紹介いたします。
地元葬儀社様が情報発信する際の参考にしていただければ幸いです。

岐阜県の葬送習慣がエリアごとに異なる理由

飛騨高山

 

岐阜県を流れる揖斐川(いびがわ)や長良川・木曽川・飛騨川などが入り組んでいるため、小さな集落が点在する状態が続きました。
こういった事情から、かつては集落間の往来も容易ではなく文化的な交流も少なかったため、葬送習慣もエリアごとに異なる状態が継続しているようです。

岐阜県は7県に接しており各集落は交流のある地域も異なるため、他県からの文化的影響も集落ごとに受けている点も原因の一つでしょう。
県北部西部は北陸地方、県南東部は関西地方との関係性が強く、県南東部の東農(とうのう)地方は愛知県と古くから交流があるため、葬送習慣にも共通点がみられます。

東濃(とうのう)地域独特の葬送習慣

同じ岐阜県内でも、特に恵那(えな)市や中津川市などの東濃地方は、火葬のタイミングも異なるなど独自の葬送習慣をもちます。

おめでた葬礼と撒き銭(まきせん)

五円玉

「おめでた葬礼」と聞くと故人の死を祝うような不謹慎な印象を受けるかもしれませんが、決してふざけた風習ではありません。
東濃地方では80歳以上の天寿を全うした方が亡くなった際に、長寿を祝う意味で「おめでた葬礼」を行います。

「おめでた葬礼」では、葬列の先頭に立つ方が目の粗い「花籠(はなかご)」と呼ばれる籠に小銭のおひねりを入れて、四辻で籠を振っておひねりを撒く「撒き銭(まきせん)」が行われます。
「撒き銭」は故人と関わりのない方でも拾うことが可能で、長寿にあやかる縁起物として持ち帰るのがしきたりです。

また「撒き銭」は、財産を皆に施す(ほどこす)ことで故人の功徳(くどく)を積み、浄土での扱いをよくしてもらうといった意味もある習慣とされています。
しかし火葬が主流の現在では葬列を組むことも少ないため、会葬返礼品に5円玉を添えて渡すケースも少なくありません。

縁側(えんがわ)からの出棺と骨葬(こつそう)

縁側

中津川市周辺の地域では自宅から出棺する際に、玄関ではなく縁側(えんがわ)から出すのが一般的です。
この習慣には、故人と家の「縁を切る」といった意味があるといわれています。

葬儀当日の午前中に出棺された遺体は葬儀前に火葬され、葬儀は遺骨を祭壇に安置して行う「骨葬(こつ葬)」が主流です。
岐阜県の他地域では、葬儀後に荼毘(だび)に付す「後火葬(あとかそう)」が大部分を占め、葬儀前に火葬を行う「前火葬(まえかそう)」は東濃と飛騨地域の一部のみで行われる葬送習慣となっています。

宗教ばなれが深刻な現在でも県民の90%が菩提寺(ぼだいじ)をもつとされる岐阜県では、葬儀も寺院や地域の集会場で営まれるケースが多かったようです。
その際に棺を寺院や集会場に入れるのが大変だったことから、葬儀の前に火葬を行う「骨葬」の習慣が根付いたとされています。

お斎(おとき)には味噌汁に砂糖?

葬儀の際に僧侶や参列者に振る舞われる食事を「お斎(おとき)」と呼びますが、東濃地方では「お斎」の際に味噌汁に砂糖をいれた汁物が出されます。
かつて甘いものが貴重だった時代に、皆をもてなすために始まった習慣のようです。

岐阜県の葬儀の特徴

かつて多くの小藩に分かれ、藩ごとに異なる周辺諸藩と結びついていた岐阜県は、周辺地域から影響を受けた葬送習慣が残る地域です。

通夜に持ち寄る「お淋し(おさびし)」

饅頭

岐阜県では故人の親族が通夜に参列する際に、夜を徹して故人に付き添う遺族が淋しくないように、お菓子などを持ち寄る「お淋し(おさびし)」という習慣があります。
こういった習慣は東海地方で今も広く行われており、お隣の愛知県や三重県では「夜伽見舞い(よとぎみまい)」や「お淋し見舞い」などと呼ばれているようです。

葬式組

岐阜県では近隣住民の相互扶助組織(そうごふじょそしき)である「隣組(となりぐみ)」や「組仲間」が、今も機能しています。
組内で不幸があれば「隣組」が積極的に手伝い、地域によっては「隣組」が葬儀を取り仕切るケースもあるようです。

こういった手伝いの方々に対して、喪家(もけ)はお赤飯などの「総斎(そうとき)」と呼ばれる軽食を振る舞います。
また葬儀後には精進落とし(しょうじんおとし)として「勘定酒(かんじょうざけ)」と呼ばれる食事を提供する地域もあるようです。

部分収骨(ぶぶんしゅうこつ)

岐阜県のほとんどの火葬場では「部分収骨(ぶぶんしゅうこつ)」が通例とされています。
亡くなった方の99.9%以上が火葬される日本ですが、火葬後の収骨に関する習慣は東日本と西日本で大きく異なります。
東日本では焼骨の全てを骨壷に納める「全部収骨(ぜんぶしゅうこつ)」が一般的ですが、西日本では遺骨の一部のみを骨壷に納める「部分収骨」が主流です。

この「全部収骨」と「部分収骨」の境目は、長野県・山梨県・岐阜県あたりとされており、長野県・山梨では「全部収骨」が主流なのに対し、岐阜県では「部分収骨」が一般的です。
日本海側の石川県や富山県では県内の北部と南部で「全部収骨」と「部分収骨」に分かれ、太平洋に面する愛知県では「全部収骨」と「部分収骨」の地域が混在しています。

神式と仏式が混ざった葬儀

神葬祭

日本では明治時代に「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」運動が断行され、各地の寺院の取り壊しなどが行われましたが、岐阜県の東濃地域では非常に厳しく行われました。
そのため岐阜県の東白川村には、現在でも仏教寺院が存在しません。

東濃地域では寺院のほとんどが取り壊されたため、神式の葬儀が多くなっているようです。
しかし正式な神式の葬送儀礼「神葬祭(しんそうさい)」とは異なり、神式と仏式が入り混じった独自の形式で行われます。

香典返しはビール券

岐阜県では葬儀場の受付で香典と引き換えに香典返しが渡される「即日返し」が一般的ですが、恵那市周辺では香典返しにはビール券が定番となっているようです。
岐阜県が隣接する富山県や石川県などの北陸地方でも、香典返しに商品券やビール券を利用する習慣があります。

ビール券や商品券は当然ながら葬儀社様の利益にならないので、当該地域の葬儀社様もお茶やお菓子にシフトしたいようですが、地域に根付いた習慣の変更はなかなか難しいようです。

ごく最近まで土葬が行われていた地域も

現在の日本は、火葬率99.9%以上と世界一の火葬大国となっていますが、ごく一部の地域では現在でも「土葬」が行われています。
岐阜県中濃地方の関市板取地区でも、ごく最近まで火葬せずに遺体を埋葬(まいそう)する「土葬」が行われていました。

桶型の棺に遺体を納めて共同墓地の土中に埋め、墓石ではなく杉や檜(ひのき)の墓標を立てる習わしだったようです。
村落内で不幸があると、住民総出で棺桶(かんおけ)作りから墓穴掘りまで行っていました。
平成に入ってからも「土葬」文化が残されていたようですが、近年ではほとんど行われていないようです。

まとめ

葬儀社さんのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

ホームページ制作をおこなった後はお問合せをおこなっていただくべく、集客をおこないますが、このような記事・コラムをきっかけにご連絡をいただくこともあるかもしれません。

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