「小規模事業者持続化補助金」を葬儀社が活用する方法|対象経費・申請の流れ・採択事例を解説

ホームページのリニューアルや家族葬に特化したチラシの制作など、販促・集客にかかる費用の一部を国が補助してくれる制度があります。
「小規模事業者持続化補助金」は、葬儀社・仏壇店・墓石店をはじめとする小規模事業者が、販路開拓や集客強化に取り組む際の費用を国が支援する制度です。
ただし、近年は採択率が40〜50%台に低下しており、「申請すれば通る」という状況ではなくなっています。採択を勝ち取るためには、制度への正しい理解と、審査員を納得させる事業計画書の策定が欠かせません。
本記事では、葬儀業を営む事業者の方に向けて、補助金の概要・対象経費・申請手順・実際の採択事例までを体系的に解説します。「自社でも使えるか確かめたい」「申請の流れを一通り把握したい」とお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
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もくじ
小規模事業者持続化補助金とは|葬儀社にとっての活用価値

まず「小規模事業者持続化補助金」の基本的な仕組みと、葬儀業において本補助金がどのような位置づけにあるかを整理します。
申請対象となる要件についても合わせて確認しておきましょう。
補助金の仕組みと葬儀業における位置づけ
小規模事業者持続化補助金は、地域の雇用と経済を支える小規模事業者が今後も事業を長く続けられるよう、国が販路開拓や集客活動を支援する制度です。
葬儀業における本補助金の役割を一言で表すなら、「自社の売上を伸ばすための集客・販促活動にかかる費用の一部を国が負担してくれる、使い勝手の良い補助金」といえます。
Web集客のためのLP(ランディングページ)制作から、折り込みチラシの制作・ポスティング費用、終活セミナーの会場レンタル費まで、葬儀社が日常的に必要とする販促費を幅広くカバーしている点が、本補助金の最大の特徴です。
葬儀業が申請対象となる基本要件
葬儀業は産業分類上「商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)」に分類されます。この区分において申請対象となる基本要件は、「常時使用する従業員数が5名以下」であることです。
「常時使用する従業員」の定義には注意が必要です。日々雇い入れられるパートやアルバイトは、条件によってカウントから除外されます。世襲経営やご家族中心で運営されている小規模な葬儀社・仏壇店にとっては、申請ハードルが比較的低く、活用の幅も広い制度に該当します。
補助上限額・補助率と近年の採択率

補助金を活用する前提として、受け取れる金額の上限と補助率、そして近年の採択状況を正確に把握しておくことが重要です。
申請戦略を立てるうえでの基礎情報として確認してください。
枠別の補助上限額と補助率
本補助金は、申請する枠や特例要件を満たすかどうかによって、受け取れる上限額が大きく変わります。主な枠の概要は下表のとおりです。
| 区分 | 補助限度額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠(基本) | 50万円 | 対象経費の2/3 |
| 賃金引上げ特例(上乗せ) | +150万円(合計200万円 | 2/3(赤字事業者は3/4) |
| インボイス特例(上乗せ) | +50万円 | 各区分の補助率に準じる |
| 両特例を同時適用 | +200万円(合計250万円) | 2/3(赤字事業者は3/4) |
賃金引上げ特例は、補助事業の実施期間中に事業場内の最低賃金を申請時より50円以上引き上げた場合に適用される上乗せ措置です。
インボイス特例は、免税事業者からインボイス発行事業者に転換した場合に、上限額に50万円が上乗せされる仕組みです。両特例の要件をともに満たす場合は最大250万円の補助を受けられる可能性があります。
近年の採択率の推移と難化の実態
本補助金の採択率は過去に60%を超えていた時期もありましたが、近年は予算の厳格化や審査基準の引き上げにより、難化傾向が続いています。
| 回次 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第14回(2024年3月発表) | 13,597件 | 8,497件 | 62.5% |
| 第15回(2024年6月発表) | 13,336件 | 5,580件 | 41.8% |
| 第16回(2024年8月発表) | 7,371件 | 2,741件 | 37.2% |
| 第17回(2025年9月発表) | 23,365件 | 11,928件 | 51.0% |
第16回では過去最低水準の37.2%を記録しましたが、直近の第17回では約半数が採択される水準まで回復しています。とはいえ、依然として「2社に1社は落ちる」厳しい状況に変わりはありません。
葬儀業特有の商圏分析や大手互助会との差別化を明確に示した、論理的で説得力のある事業計画書の策定が必須となっています。
葬儀社の集客に使える対象経費の種類

本補助金の対象経費は8区分に分かれており、葬儀社の集客施策に直結する費用が幅広く認められています。全8区分のうち、実務での活用が想定される主な経費区分を下表に整理しました。
| 経費区分 | 葬儀社での主な活用例 |
|---|---|
| 広報費 | 家族葬・事前相談を周知するためのチラシ作成・ポスティング費用、野立看板の設置、Web広告出稿費 |
| ウェブサイト関連費 | 自社ホームページのリニューアル、スマートフォン対応化、LP(ランディングページ)制作費 |
| 機械装置等費 | プロジェクションマッピング祭壇用機材、特殊な保冷庫など、新サービス提供に必要な専用設備 |
| 借料 | 終活セミナー・相続対策相談会を開催する際の会場レンタル費 |
ウェブサイト関連費については、ウェブサイト関連費のみでの申請は認められておらず、全体経費の4分の1以内という上限規定も設けられています。ホームページのリニューアルを軸に申請を検討している場合は、他の経費区分との組み合わせを前提に計画を立てることが重要です。
申請から補助金受取までの流れ|6つのステップで理解する

日々の葬儀施行やご遺族対応でお忙しい経営者にとって、スケジュールを逆算して動くことは非常に重要です。本補助金の申請は以下の6つのステップで進みます。
なお、以下のスケジュール目安は過去の公募実績に基づくものです。公募回によって変動するため、申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください。
ステップ(1)gBizIDプライムアカウントの取得
申請はオンライン(Jグランツ)のみで受け付けているため、申請に先立ち「gBizID(ジービズアイディー)プライムアカウント」を取得しておく必要があります。取得には方法によって数日〜1週間程度かかる場合があるため、他の準備と並行してできるだけ早めに着手してください。
gBizIDとは
gBizIDは、デジタル庁が運営する法人・個人事業主向けの共通認証システムです。
一度取得すれば、補助金申請のほか、社会保険の電子申請、税務関連の手続きなど、複数の行政サービスをワンアカウントで利用できます。補助金申請に必要なのは「プライム」のみです。もう一方の「エントリー」はオンラインで即時発行できますが、補助金申請には利用できません。

なお、プライムを取得した後は、社内の実務担当者向けに「GビズIDメンバー」というサブアカウントを発行できます。代表者に代わって担当スタッフが申請業務を行う場合に活用できる仕組みです。
取得方法はマイナンバーカードの有無で2通りに分かれます。
| 申請方法 | 必要なもの | 発行までの目安 |
|---|---|---|
| オンライン申請 | マイナンバーカード+NFC対応スマートフォン | 最短即日 |
| 書類郵送申請 | 印刷した申請書(実印押印)+印鑑証明書 | 約1週間 |
gBizIDプライムの取得手順
①gBizID公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/top/)にアクセスする
②「GビズIDアカウントの作成をはじめる」ボタンをクリックする


③「プライムアカウントを申請する」をクリックする

④事前チェックで「申請者の区分(法人代表者または個人事業主)」を選択する

⑤「マイナンバーカードの有無」を選択する。ここでオンライン申請または書類郵送申請に分岐します

ステップ(2)自社の課題整理と事業計画書の策定
GビズIDの取得と並行して、申請締切の約1.5か月前を目安に事業計画書の策定を進めます。
自社の強みと地域のニーズを分析し、所定のフォーマットに従って計画書を執筆します。たとえば「直葬の問い合わせが増えているが、温かみのある小規模家族葬を提案したい」といった自社ならではの視点を、論理的な計画書として言語化することが求められます。
この段階での具体性が、採択の可否を大きく左右します。
ステップ(3)商工会・商工会議所での面談と事業支援計画書の発行
作成した計画書を管轄の商工会・商工会議所へ持ち込み、指導・助言を受けます。
内容が妥当と判断されれば、申請に必須となる「事業支援計画書(様式4)」が発行されます。発行依頼の締切は申請締切より早く設定されているため、遅くとも申請締切の2〜3週間前には相談に行くことが重要です。
ステップ(4)電子申請システム「Jグランツ」からの本申請

必要書類一式を申請締切までにJグランツにアップロードして申請を完了させます。Jグランツとは、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システムです。
書類に不備があると不採択につながるため、公募要領の記載内容と照合しながら提出前に必ず確認してください。
ステップ(5)採択発表・見積提出・交付決定
審査結果は申請から約2〜3か月後に公表されます。採択後は速やかに経費の妥当性を証明する見積書等(相見積含む)を事務局へ提出します。
その後、事務局の審査を経て「交付決定通知書」が届きます。発注・契約・支出を開始できるのは交付決定日以降です。交付決定前に支払った経費は一切補助対象外となるため、この点は特に注意が必要です。
ステップ(6)事業実施・実績報告と補助金の入金
交付決定後、計画通りにチラシ作成や改修工事を行い、業者への支払いを済ませます。
支出の証拠となる見積書・発注書・請求書・領収書はすべて保管し、支払いは原則として銀行振込で行う必要があります。事業完了後は、領収書や実施写真などをまとめた「実績報告書」を事務局へ提出します。内容確認が完了すると、補助金が指定口座に振り込まれます。
本補助金は「後払い方式」であるため、事業実施中は自社で費用を立て替える必要がある点を念頭に置いて資金計画を立ててください。なお、補助事業終了から1年後に事業効果の報告書提出義務があります。
葬儀社が採択された事業の傾向と活用事例

本記事の作成にあたり、商工会地区・商工会議所地区それぞれの公式採択者一覧(第17回公募分)から、社名や事業内容に葬儀関連のキーワードを含む事業者を抽出しました。
採択率51.0%という厳しい審査を通過した葬儀関連事業者の採択事業名のうち、代表的な4件を以下に紹介します。
出典:小規模事業者持続化補助金 第17回採択者一覧(商工会地区・商工会議所地区)

活用事例(1)家族葬のPRで新規顧客を開拓
埼玉県・滋賀県・福岡県など複数の事業者が「家族葬」を軸にした顧客開拓を事業名に掲げています。
「家族葬をやっている」という事実を伝えるのではなく、「家族葬を必要としている層に届ける」という目的が明確に示されている点が評価のポイントです。チラシ・ポスティング・Web広告など手段はさまざまですが、ターゲットを絞り込んで訴求内容を設計していることが共通しています。
活用事例(2)低価格プランの商圏内チラシ配布で新規顧客を獲得
東京都の事業者による申請事例です。
「低価格帯葬儀」という具体的なサービスラインを明示したうえで、「商圏内」という地理的な範囲まで絞り込んでいます。どのエリアのどの層に向けた取り組みかが一読して伝わる事業であり、計画の実現可能性が高いと審査員に判断されやすい構成です。
活用事例(3)葬儀プランの改定とパンフレット作製・HP改修で受注力強化
東京都の事業者による申請事例です。
「受注力強化」という経営課題を軸に、プランの見直しとツール整備をセットで取り組む計画です。ホームページ改修だけでは採択されにくいウェブサイト関連費の上限規定(全体経費の4分の1以内)を意識し、パンフレット作成(広報費)と組み合わせることで対象経費のバランスを取っている点も参考になります。
活用事例(4)家族葬専門式場の新規展開によるエリア拡大
埼玉県・静岡県の事業者が申請した事例です。
新たな式場開設という設備投資に伴う地域集客強化を目的とした申請で、「なぜその地域に新設するのか」「どのような需要があるのか」という商圏分析が事業計画書の核になるため、地域の葬儀需要データや競合状況の把握が採択のカギとなります。
採択事例から見える「採択される計画書」の共通点
4つのパターンに共通しているのは、「チラシを作りたい」「ホームページを直したい」という手段の説明ではなく、「誰に・何を・どのエリアで届けるか」という経営上の目的が事業名の段階から明確に示されている点です。
審査員が評価するのは補助金の使い道そのものではなく、その取り組みが自社の地域でどのような意義を持つかという計画の論理性です。「この事業者がこの地域でこのサービスを展開することに意義がある」と審査員に納得させられるかどうかが、採否を分ける最大のポイントといえます。
まとめ|持続化補助金を葬儀社の「次の一手」に活かすために

小規模事業者持続化補助金は、葬儀社・仏壇店・墓石店が集客・販路開拓の費用を国の支援で賄える、実用性の高い制度です。
通常枠で最大50万円、特例を組み合わせると最大250万円が受給でき、Web広告・LP制作・チラシ制作・終活サロンの設備費など、日々の集客に直結する経費に充てられます。
一方、近年の採択率は40〜50%台に低下しており、「申請すれば通る」という時代ではありません。採択を勝ち取るためには、地域の需要変化を踏まえた商圏分析と、自社の強みを明確に示した事業計画書の策定が不可欠です。
採択事例から見えるように、「誰に・何を・どのように届けるか」が事業名の段階から伝わる計画書が、厳しい審査を通過しています。
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