葬儀業界におけるお墓ディレクターとは?|業務内容や資格取得メリットについて解説
新規参入が相次いでいる葬儀業界では、自社のアピールポイントをどこに置くべきか悩まれている葬儀社様も多いようです。
葬祭関連資格としては「葬祭ディレクター」が有名ですが、すでに多くの葬儀社様が有資格者を配置されているため、それだけでは強みになりにくくなっています。
利用者へのアフターフォローとして霊園紹介を行っている、あるいは墓石販売部門を設けられている葬儀社様も多いかと思います。
お墓関連のサービスを提供されている葬儀社様であれば、社内に「お墓ディレクター」の有資格者が存在すれば、優位性が高まる可能性もあります。
そこで本記事では「お墓ディレクター」資格の取得メリットや、取得にかかる費用、給与などについて詳しく紹介します。
すでに「葬儀ディレクター」資格を有している方の、キャリアアップにつながる可能性もありますので、ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
~はじめに~葬儀社で働く葬祭ディレクターのお仕事とは
「お墓ディレクター」について紹介する前に、葬儀業界で勤務するにあたって最もポピュラーな資格「葬祭ディレクター」について解説します。
葬儀会場の手配や設営から、葬儀の司会進行、遺族のアフターフォローまで葬儀に関わるすべてに対応するのが、葬儀ディレクターのお仕事です。
厚生労働省によって認定されている資格「葬祭ディレクター技能審査」がありますが、こちらは国家資格ではないため、取得していなくても、葬祭ディレクターとして働くこと自体は可能です。
しかし資格を取得しておくことで、葬儀業界の関係者や遺族からの信頼度が厚くなるほか、収入などの就労条件が良化する可能性があります。
メリットが豊富であるため、葬儀会社で働くにあたって必須とされる資格です。
葬祭ディレクターの資格内容は、専門知識を問うための学科試験だけでなく「司会進行」や「接遇」など、知識だけでなく実技試験、および実技筆記も含まれます。
1級と2級があり、とくに1級を受験するためには葬祭事業者での実務経験5年以上が必須となります(2級については実務経験2年以上)。
また、葬祭ディレクター2級については「個人葬に関する知識・技能を有していること」を、1級については「個人葬から社葬までの全てのご葬儀に関する知識・技能を有していること」を証明するものとして、それぞれ定義されています。
葬祭ディレクターの資格合格率は1級で約50%程度、2級で約60%と言われており、5年以上もの十分な実務経験がある人でも不合格になる可能性があるほど、その合格難易度はとても高いとされています。
その難易度が示すように、葬祭ディレクターの1級資格を有している人は知識、経験ともにご遺族の希望に対して十二分に応えることができる人物として、業界でも重宝されます。
葬祭ディレクターの仕事において最も重要なのは、遺族の精神的なサポートです。
遺族は悲しみや驚きなどで精神が不安定であることが多いため、遺族や関係者への配慮が欠かせません。
常に相手の気持ちを慎重に思いやるのと同時に、事務的な作業をてきぱきと確実にこなすスキルが必要とされます。
葬祭ディレクターが持つと知識や信用度が増す資格
本記事のテーマである「お墓ディレクター」以外にも、葬儀業界で働く上で役立つ資格が存在します。
さまざまな資格がある中でも、上記に挙げている資格は特に需要が高く「お墓ディレクター」もその一つです。
お墓ディレクターの概要
「お墓ディレクター」とは、お墓の建立を検討されている方へ、お墓の専門家としてお墓づくりのサポートをするお仕事です。
お墓についての相談受付や、使用する石材のアドバイス、お墓の手配やアフターフォローなど、お墓作りについてのあらゆることに対応します。
「お墓のスペシャリスト」として、さまざまなお墓に関する知識をもって遺族にアドバイスを提供することにより、希望に沿ったお墓を購入できるように手助けをすることが「お墓ディレクター」の役割です。
それでは、ここからは資格の詳細について詳しく見ていきましょう。
お墓ディレクター資格発足の経緯
「お墓ディレクター」は、全国でたった4587人(2021年時点)しかおらず、希少性は非常に高いといえるでしょう。
「お墓ディレクター」の資格試験制度は2004年に開始されましたが、それ以前はお墓を作る際に法外な費用を請求したり、高級石材と偽って粗悪品を売りつけたりと、消費者トラブルが多く確認されました。
この状況が問題視された結果、 石材産業の健全な発展を目指す全国組織として2001年に「日本石材産業協会」が発足されました。
お墓に関するトラブル防止や、優良な業者と悪徳業者を明確に区別できるよう、お墓に関する専門知識を備えた人間として、同協会から認定されるのが「お墓ディレクター」です。
お墓ディレクターの資格取得手順
「お墓ディレクター」には1級と2級があり、「日本石材産業協会」が主催する「お墓ディレクター検定試験」に合格することにより資格取得が可能です。
学科試験のみとなりますが、お墓の種類や形、お墓の歴史や文化や石材の種類、加工方法などのお墓自体の知識だけでなく、埋葬についての法律や供養についての知識など、幅広いジャンルで出題されます。
1級の受験条件として、お墓に関する実務経験(アルバイトを除く)3年以上が必須であり、実際にお墓に関する仕事に就いた経験がない場合は、そもそも受験ができません。
一方、2級の受験については実務期間は問われませんが、お墓に関する仕事に就いていることが必須となります。
試験の難易度は、1級と2級で大きく異なります。1級はその受験資格の厳しさや、合格率がわずか25.04%と、その数字が示す通りかなりレベルの高い知識を求められます。
そのため十分な実務経験を積むだけでなく、その上でしっかりと勉強して受験に臨まなくては突破するのは厳しいようです。
ちなみに1級の受験内容は正誤判定問題が30問、多肢選択問題が20問(マークシート)、記述式の問題(100字~200字程度)が出題されます。
2級の受験内容は正誤判定問題が50問、多肢選択問題が50問(マークシート)です。
記述式の問題があるぶん、2級に比べて1級の難易度が跳ね上がります。
お墓ディレクターの資格取得費用
「お墓ディレクター」の受験費用は30,500円となっており、1級、2級ともに変わりません。
しかしながら、日本石材産業協会の会員や会員企業の従業員・全建石会員は、受験費用が18,500円になるといった特典があります。
試験合格を目指す場合は、それに加えて日本石材産業協会が推奨するテキストや問題集の購入費用もかかります。
現在、日本石材産業協会の公式サイトで紹介、推奨されているテキストは下記の通りです。
(引用元:https://www.japan-stone.org/ohaka/text.html)
- ・「お墓の教科書 改訂2020年版」― 17,600円(税抜16,000円)※石産協会員価格 9,900円(税抜9,000円)
- ・模擬問題集2021年度版 ― 2,200円(税抜2,000円)
- ・過去検定問題集2015年版 ー 1,100円(税抜1,000円)
なお、所属する会社によっては資格取得のための補助金を出してくれるケースもあるため、資格取得を決めたら、まずは就業先に受験する意思があることを報告してみるのもオススメです。
お墓ディレクターの資格取得メリット
現在の日本は超高齢化社会であるため、お墓を建てる方の数は増加すると見込まれており、「お墓ディレクター」の存在感が増す可能性が高いでしょう。
「お墓ディレクター」は国家資格ではないため、資格がなくとも働くことは可能です。しかしお墓ディレクターがいる事業所は「お墓ディレクターのマーク」を表示して、しっかりと専門家が在籍していることを示すことができます。
近年では、ホームページにて「お墓ディレクター」の有資格者が在籍していることを前面に押し出して、アピールしているお墓の販売業者も少なくないようです。
「お墓ディレクターのマーク」表示は、お墓のことで悩んでいる方にとっては、業者を選ぶ際の一つの重要な判断基準となります。
最近では会社側が社員にお墓ディレクターの資格取得を推進しているケースも増えており、有資格者の有無によって他社と差別化したいといった意図が見受けられます。
顧客からの信頼感があるということは、それだけ葬儀業界において就職する際には有利になるということです。
また、就業先によっては、昇進が見込めたり、追加でボーナスが支給されるなど、勤務条件を優遇してくれる企業もあるようです。
お墓ディレクターの資格に関連するお仕事(求人)・給与
「お墓ディレクター」の給与については、勤務先によってことなるものの、おおむね月収20~25万円が相場とされており、資格の有無によって10万円ほど月額に差が出るケースもあるようです。
「お墓ディレクター」の勤務先としては、主に墓石業や霊園業が中心になります。
「お墓ディレクター」の関連する業種としては、墓石加工業や採石・輸入業などの墓石自体に関するものや、出版・webメディア運営などの広告、小売りに関連する業務まで多岐にわたります。
お墓の相談を受けた際には、率先して対応し、適切にアドバイスをしてあげることも求められます。
お墓の専門知識はもちろん必要ですが、それ以外にも事務的な作業も多く発生するため、事務スキルを身に着けることも必要になります。
まとめ
今回は「お墓ディレクター」の資格の取得方法や取得メリットなどについて解説しました。
「お墓ディレクター」の資格取得については、業務経験が必須であるといった受験条件や、合格率の低さを考えると取得難易度は高いです。
しかしながらその難しさゆえに、有資格者が在籍していることは葬儀者様にとって大きなアピールポイントになります。
まだまだ「お墓ディレクター」の認知度は低いですが、今後の葬儀業界において資格取得の有益性は高いでしょう。
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