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大阪府の葬儀における作法としきたり

大阪府の葬儀における作法としきたり

西日本最多の人口総数 883万7,685人(2020年10月現在*)を誇る大阪府は、京都府と並び近畿地方を代表する大都市です。
武家文化以上に公家文化の影響が強く、商人の町として栄えた大阪の文化習俗は関東地方と大きく異なります。

葬儀における作法やしきたりも京都府や奈良県との共通点が多い一方、東日本とは正反対というケースも少なくありません。

そこで今回は大阪府の葬送習慣について、東日本の文化と比較しながら紹介します。

*参照元:令和2年国勢調査 大阪府の人口及び世帯数(確定値)について

関東地方と関西地方における葬送文化の相違

古代から長きにわたり、日本の首都は近畿地方に置かれていたため、西日本が文化の中心で東日本は田舎として扱われていました。
そのため明治時代に入って日本の首都が東京に移っても、近畿地方の方にとって「都」は京都という思いが強く、東日本の文化に流されることなく伝統を守り続けてきたようです。

こういった事情から、東日本と西日本では今でも葬送習慣が大きく異なります。

収骨方法と骨壺の大きさ

収骨

火葬が主流になって以降、関東地方ではすべての焼骨を骨壷に納める「全収骨(ぜんしゅうこつ)」が通例となっています。
しかし関西地方では遺骨の一部のみを骨壷に納める「部分収骨(ぶぶんしゅうこつ)」が主流で、喉仏(のどぼとけ)など主要な部分以外は火葬場に残すのが一般的です。

そのため関東地方の骨壷は7~8寸(1寸は約3cm)のものを利用するのに対し、関西地方では3~5寸と小さめです。

関東地方と関西地方で収骨方法に違いが発生した背景には、明治時代に行われた神仏分離政策があります。
神道国家を目指した明治政府は、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の一環として神道式の埋葬(まいそう:土葬)を推進し、明治6年に「火葬禁止令」を発布しました。

しかし人口が集中する東京市(現在の東京都)など都市部を中心に、土葬用の埋葬地が不足したため「火葬禁止令」は明治8年に廃止されました。
結果的に火葬が再開された訳ですが、その際に焼骨はすべて持ち帰るよう政府から通達が出され、関東地方では厳格に守られたようです。

しかし関西地方では墓地に隣接した火葬施設が多かったため、骨壷に納めることなく直接お墓に納骨するケースが多かったため、通達はあまり厳格に守られませんでした。
さらに関西地方では、遺骨の一部を信仰する宗派の本山に納める「本山納骨(ほんざんのうこつ)」の習慣があったため、小さな骨壺に遺骨の一部を納めるようになったようです。

こういった事情から、関東地方と関西地方の収骨方法に違いが生まれたとされています。

「全部収骨」を行う地域と「部分収骨」の地域の境目は中部地方の愛知県あたりとされており、両方の習慣が混在している状況です。
そのため、名古屋市の火葬場では「全部収骨」を希望する場合、事前に職員に伝えるよう要請されています。

参照元:名古屋市八事斎場の詳細ページ

通夜振る舞い(つやぶるまい)

通夜式後に、喪家から僧侶や参列者に振る舞われる食事を「通夜振る舞い(つやぶるまい)」といいます。
関東地方では、特段の事情がない限り参加するのが一般的で、式に参列した方は一口だけでも箸をつけるのが作法とされています。

しかし関西地方では、そもそも「通夜振る舞い」の習慣が一般的ではなく、通夜式後に食事をする場合でも参加するのは近親者のみです。
一般弔問客は、お焼香を済ますと式場を後にするのが通例となっています。

「友引」についての考え方

市松人形

日本では全国的に「友引」に弔い(とむらい)の儀式を行うのを忌避(きひ)する傾向があり、火葬場も「友引」に休みを取る地域が少なくありません。
しかし大阪府をはじめとした近畿地方の火葬場は、元旦を除いて休まない地域が多く、もちろん「友引」でも稼働しています。

もともと「友引」は日の吉兆を占う六曜に由来する言葉ですので、本来は仏教とは無関係です。
正しくは「共引」と書いて、勝負がつかない引き分けの日を意味していたのですが、いつしか「友引」と書くようになったようです。

「友引」という文字の印象から「故人が友を引っ張ってしまう」と考えられ、弔いを行うには縁起が悪い日として、定着してしまったとされています。

近畿地方でも「友引」の葬儀は敬遠されがちですが、亡くなってから時間をおいてまで避けることはせず、早めの火葬を優先しているようです。
しかし「友引」に葬儀を行う際は、故人が友を連れて行かないように、身代わりの人形を副葬品として棺に納める習慣があります。

こういった身代わり人形は「友人形」「友引人形」と呼ばれていますが、大阪府では市松人形(いちまつにんぎょう)を用いることもあり「いちま人形」「いちまさん」などと呼ぶ地域もあるようです。

お香典に用いる水引の色

黄白水引

全国的にお香典は白黒水引の不祝儀袋に入れて持参するのが一般的ですが、近畿地方では黄白水引を用いることもあります。

かつて京都に御所が置かれていた時代、禁裏への献上品には玉虫色(紫がかった濃緑色)の水引を掛けるのが習わしでした。
玉虫色は遠目に見ると黒と見分けがつきにくかったため、庶民の仏事に黒を用いるのは畏れ多いとの考えから、京都を中心に喪を表す黄色が用いられるようになったといわれています。

大阪府でも、かつては葬儀のお香典に黄白水引を用いていたようですが、近年では黒白を用いる方も増えているようです。
ただし四十九日の法要(満中陰法要)では、今でも黄白水引を利用する方が少なくありません。

葬儀式場の装飾

樒

関東地方の葬儀では花輪や生花を飾ることが多いですが、大阪府をはじめとした関西地方では樒(しきみ)を飾るのが一般的です。
樒は葉や枝から強い芳香を放つもくれん科の常緑樹で、花や実は毒を持つため通常は葬儀社が準備を行います。

関西地方では供花と同様に樒を遺族に贈る習慣があり、葬儀の式場内が多くの緑で占められる光景も珍しくありません。
樒の強い香りには、死臭や死の穢れを祓う力があると信じられているため、仏壇やお墓に供えられることも多く「仏前草(ぶつぜんそう)」の別名をもちます。

大阪府特有の葬儀にまつわるしきたり

大阪府の葬送習慣は基本的に関西地方で共通のものが多いですが、特に大阪府で多くみられる習慣もあります。
ただし地域によってしきたりは異なるようですので、事前に確認しておいた方が無難です。

香典辞退するケースが大半を占める

大阪府内でも大阪市や堺市などの都市部を中心に、香典を辞退するケースが多くなっているようです。
都市部では葬儀の小規模化・簡素化が進んでおり、家族葬が主流になっているのも要因の1つかもしれません。

紙樒(かみしきみ)・板樒(いたしきみ)

板樒

かつて大阪府の葬儀では、式場入り口に高くそびえたつような門樒(かどしきみ)を飾るのが通例となっていました。
しかし樒の強い香りが近隣住民の迷惑になることも多く、式場入り口に場所をとることから、近年では樒の絵を描いた板を式場入り口に飾る「板樒(いたしきみ)」も増えているようです。

また東大阪市など一部地域では、供花の代わりに「紙樒(かみしきみ)」を送るようです。
多くの門樒が贈られた場合、式場に全部は飾り切れないため考案された習慣のようで、受付で費用を納めると氏名の書かれた紙が式場内に張り出されます。

本山納骨

大阪府では遺骨を分骨して宗派の本山に納める「本山納骨(ほんざんのうこつ)」を行う方も多いため、火葬の際に骨壷を2つ用意するケースがあります。
1~2寸(1寸は約3cm)の骨壷には「本山納骨」用に本骨(ほんこつ)として喉仏(のどぼとけ)だけを納め、3~5寸ほどの骨壷に「胴骨(どうぼね)」を納めてお墓に納骨するケースが多いようです。

大阪府に今も残る伝統的な葬送習慣

近畿地方の葬儀にまつわるしきたりには、合理的な考えにもとづくものも少なくありませんが、伝統的なしきたりも受け継がれています。
商人の町らしく、効率的な考えと縁起を担ぐ信心深さが同居しているのが、大阪における葬送習慣の特徴かもしれません。

放生(ほうじょう)

放生

大阪府の葬儀では、一度とらえた鳥や魚を解き放つ「放生(ほうじょう)」を行うことがあります。
「放生」は、殺生を戒める仏教の考えにもとづいた儀式「放生会(ほうじょうえ)」が由来とされる葬送習慣です。

捕まえた生き物を殺さずに解放する行いが、故人の功徳を積むことにつながるとされており、故人の追善供養の一環として日本各地で行われています。

三角形の高野豆腐

大阪府では葬儀後に「仕上げ」と呼ばれる会食を行う習慣がありますが、料理に使われる高野豆腐は三角形に切られています。
通常は四角形の高野豆腐を、わざわざ三角形に切るのは「逆さ事(さかさごと)」の1種といわれています。

日本では死を穢れとして捉える神道由来の考えから、死穢(しえ)を日常から切り離すために、物事を通常とは異なる方法で行う「逆さ事」が取り入れられてきました。
故人に死装束を着せる際に、袷(あわせ)を通常とは逆の「左前(ひだりまえ)」にしたり、納棺後の遺体に着物を上下逆に掛けたりするのも「逆さ事」です。

お浄めは身体にかけるだけでなく踏む

お浄め塩

通夜・葬儀に参列した方が帰宅した際に、死の穢れを家に持ち込まないよう塩でお浄めをする習慣があります。
一般的には身体に塩を振りかけますが、大阪府ではさらに塩を踏んでから家に入る風習があります。

かつては遺体の保存技術も未熟だったことから、足の裏を消毒する意味もあったようです。
そう考えると、科学的根拠のある行為といえるかもしれません。

おわりに

葬儀社様ホームページのコラムとしてこのような記事の掲載をおこなっておくと、喪主様・ご遺族様・ご参列の方々も分かりやすく、興味を持たれる内容かもしれません。

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