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【小さく始める】葬儀業のエンゲージメント施策|人材定着率が向上するための実践とは

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人材不足が深刻化する葬儀業界において、社員のエンゲージメント向上は経営の重要なテーマです。

しかし葬儀社では、24時間365日体制での対応に加え、ご遺族対応や式場準備、シフト調整といった業務が重なります。
そのため大規模な制度改革や高額なシステム投資を一度に進めると、管理職や現場スタッフの負担が増えやすく、現実的とはいえないでしょう。

そこで注目されているのが、AIや無料のGoogleツールを活用した「小さく始めるエンゲージメント施策」です。

実際、社内ポータルの導入やAIによる社内報の作成補助、無料のGoogleツールの活用によって、現場の負担が減り、効率的に情報共有や社員の声の見える化ができるようになった事例も出てきました。

本記事では、葬儀業界の特性を踏まえながら、低コストで実践できるエンゲージメント施策を具体的にご紹介します。
大がかりな改革ではなく、今すぐ実行できる「小さな一歩」から始めて、確実に成果を積み重ねる方法をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

もくじ

エンゲージメントとは?葬儀業で施策が注目される背景

葬儀業 エンゲージメント施策が注目される背景

「エンゲージメント」という言葉は近年さまざまな業界で耳にする機会が増えましたが、葬儀業の現場では具体的に何を意味し、なぜ重視されるようになったのでしょうか。

本章ではまず用語そのものの意味を整理したうえで、葬儀業界ならではの事情によって、この取り組みが経営課題として浮上してきた背景を紐解いていきます。

エンゲージメントとエンゲージメント施策の意味

エンゲージメントとは、社員が会社や仕事に対して抱く愛着や信頼、自発的に貢献したいという気持ちを指す言葉です。
単なる「満足度」とは異なり、「会社の方針に共感し、自分の役割を前向きに果たしたい」と感じている状態を意味します。

葬儀業に当てはめると、「故人様を心を込めてお送りしたい」「ご遺族の力になりたい」と社員自身が思いながら働けているかどうか、と言い換えられるでしょう。
エンゲージメントが高い社員は、仕事への意欲や責任感が強く、結果としてご遺族対応の質や定着率にも良い影響を与えます。

そしてエンゲージメント施策とは、社員のエンゲージメントを高めるために会社が行う取り組みの総称です。
具体的には、情報共有の仕組みづくり、社員の声を吸い上げる仕組み、教育研修、評価制度の見直し、感謝を伝え合う文化づくりなどが含まれます。

待遇改善だけでなく、社員が「自分の仕事には意味がある」「会社に大切にされている」と実感できる環境を整えることが、エンゲージメント施策の本質といえるでしょう。

社員のエンゲージメントがどのように決まるのかは、関連記事「【2026年最新】葬儀業界の従業員エンゲージメントを決める4つの要因|人材定着の成功法則」で詳しく解説しています。

葬儀業でエンゲージメント施策が注目される3つの背景

葬儀業界では、少子高齢化による労働人口の減少や、夜間対応・感情労働を伴う業務負担の大きさから、慢性的な人手不足や若手社員の定着難といった課題が深刻化しています。

そのなかで、社員が仕事の意義を実感し、前向きに働き続けられる職場をつくるエンゲージメント施策が、経営戦略上の重要なテーマとして注目を集めるようになりました。

施策が注目される理由には、次のようなものが挙げられます。

  • 労働人口の減少により人材採用が難しくなっている
  • 夜間対応や急な出勤があり、社員の負担が大きくなりやすい
  • 若手社員は給与だけでなく、働きがいや職場環境を重視する傾向がある
  • 定着率が下がると、ご遺族への対応品質にも影響が出やすい
  • 採用費を増やすより、今いる社員が長く働き続けられる職場づくりが重要

ひと昔前であれば、葬儀社はハローワークへの求人掲載や紹介を通じて、一定数の人材を確保しやすい環境にありました。地域に根ざした仕事であることや、安定した需要があることも、採用面での安心材料だったのです。
そのため、若手社員の確保は今ほど難しいものではありませんでした。

しかし近年、若手社員の価値観は大きく変化しています。

昔の若手と今の若手で変わった価値観

昨今の若手社員は、会社の「給与」や「福利厚生」だけでなく、「やりがい」「働きやすさ」「上司や同僚との関係性」も重視する傾向が強まりました。そのため、待遇面を整えるだけでは、人材の確保と定着が難しくなっています。

「この会社で働き続けたい」と感じてもらうためには、仕事の意義を実感できる環境や、相談しやすい人間関係づくりも欠かせません。

このような状況下で、既存社員の満足度向上と生産性向上を同時に実現するエンゲージメント施策は、採用難と離職防止の両方に関わる重要な取り組みとして位置づけられているのです。

葬儀業でエンゲージメント施策を「小さく始める」べき理由

葬儀業 エンゲージメント施策の現状と小さく始める重要性

葬儀業でエンゲージメント施策を進める際、いきなり大規模に展開するのではなく、小さく始めることが現場の負担を抑えながら継続しやすい仕組みづくりにつながります。

ここでは、その理由を2つに整理して解説していきます。

理由(1)24時間365日体制で現場の追加負担を抑える必要がある

葬儀業でエンゲージメント施策を小さく始めるべき1つ目の理由は、24時間体制で動く現場に、これ以上の負担をかけられないからです。

そもそも葬儀社は、ご逝去の連絡や搬送、打ち合わせ、通夜・葬儀の準備などに対応する場面が多く、少人数で現場を回している会社も少なくありません。

そういった日々の業務負荷が大きい状況で、高額なシステム導入や大規模な人事制度改革を行えば、管理職や現場スタッフの負担はさらに増えてしまうでしょう。
新しい仕組みを覚える時間、運用するための入力作業、関係者との調整など、本来の業務以外の負担が一気にのしかかってしまいます。

だからこそ、現場が無理なく取り入れられる規模感で始めることが、施策を定着させる唯一の現実的な選択肢となります。
最初から完璧を目指すのではなく、状況に合わせて少しずつ広げていく姿勢が、結果として大きな成果につながっていくのです。

理由(2)低コストで始められる選択肢が揃っているから

2つ目の理由は、大規模な投資をしなくても効果を出せる選択肢が、すでに身近に揃っているからです。

多くの葬儀社経営者は「エンゲージメント施策は費用がかかる」と考えがちですが、実際には少ない予算で大きな効果を得ることが可能です。
特にChatGPTClaudeGeminiといった生成AIと無料のGoogleツールを組み合わせれば、月額数千円レベルの低コストな仕組みで取り組みをスタートできます。

また、Googleフォームを使えば、スマートフォンからアクセスできる社員アンケートが無料で作成可能です。Googleスプレッドシートで回答結果を自動で集計できるため、担当者の手作業を大幅に減らせます。

それらの集計データにAIを組み合わせれば、自由記述の要約、社内報の作成、引き継ぎメモの整理なども短時間で進められます。
担当者が一つひとつ内容を読み込み、ゼロから文章を作成する負担も抑えられるはずです。

このように、低コストで実現できる選択肢がすでに揃っているからこそ、無理に大きな投資をせず、まずは小さい範囲で始めることが重要となります。

社員向けエンゲージメント施策|AIと無料ツールで始める

葬儀業 エンゲージメント施策 社員向け:社内ポータルと社報活用法

本章では、社員向けの取り組みとして、AIと無料のGoogleツールを活用した社内ポータル、社内報、感動エピソード共有の方法を解説していきます。

葬儀社では現場が24時間稼働であり、情報共有が少し遅れるだけでスタッフの不安や負担につながるケースも多いです。

そこで有効なのが、Googleサイト、Googleフォーム、Googleスプレッドシート、GoogleドライブといったGoogleツールと、生成AIを組み合わせた低コスト施策です。
高額な専用システムを導入しなくても、月額数千円程度、または無料の範囲から始められる手軽さが魅力でしょう。

以下3点について実務に落とし込みやすい形でご紹介します。

(1)Googleツールを使って情報共有を整える簡易ポータルサイトの活用
(2)AIを使ったA4用紙1枚から始める社内報の作り方
(3)Googleフォームを使った感謝の声や好事例を共有する仕組み

社員向け施策(1)Googleサイトで作る社内向け簡易ポータル 

社員同士が同じ時間に顔を合わせにくい職場環境で、申し送り事項や案件の進捗をスムーズに行うためには、Googleサイトを使った簡易的なポータルの作成が有効です。

Googleサイトは、専門知識がなくても社内向けのページを作成できる無料ツールで、わずか数時間程度で運用を始められます。
くわえて、スマートフォンから閲覧できるため、休憩時間や出勤前に必要な情報をスムーズに確認しやすい点も特徴です。

実際の運用では、Googleスプレッドシートで「申し送り管理表」を作り、そのリンクをポータルに貼ります。
スタッフが日付、式場名、担当者、注意事項、未対応の作業などを入力していけば、管理職は各現場の状況を一覧で確認できるようになるはずです。

社内共有で確認したい情報

また、祭壇配置や花の種類などはスマートフォンで撮影してGoogleドライブに保存し、ポータル経由で見られるようにしておくと、引き継ぎの精度も上がります。
言葉だけでは伝わりにくい設営状況も、写真があれば次の担当者が把握しやすいからです。

さらに生成AIを活用すれば、申し送り業務そのものを効率化できます。
長い申し送り内容を「重要事項」「次の担当者が確認すべきこと」「未対応事項」に要約させたり、ご遺族との打ち合わせ録音を文字起こしして引き継ぎメモを自動作成したりすれば、担当者の負担を抑えながら情報の精度を保てるでしょう。

加えて、ポータルのURLをQRコード化し、各部署や休憩室に掲示しておくと、スタッフがスマートフォンから簡単にアクセスできるため、出勤前や休憩時間に最新の申し送りを確認できる環境が整います。

運用するうえで重要なのは、情報の更新を義務化しすぎないことです。
「気づいたことがあれば投稿する」「次の担当者に伝えたいことを残す」という自発的な文化を育てることが大切です。

Googleサイトを利用した社内ポータルの作成については、関連記事「葬儀業界DX化の第一歩!Googleサイトで作る社内ポータル【完全ガイド】」をお読みください。

社員向け施策(2)AIで負担を抑える社内報の作成

社内報は今も昔も、社員同士の顔が見える関係をつくるうえで有効な取り組みです。

特に葬儀社では、夜勤、日勤、式場担当、事務担当など、働く時間や場所が異なる社員同士で、互いの仕事を知る機会が限られています。
そういった情報格差や、現場の工夫が共有されない状況を防ぐためにも、社内報の活用は効果的です。

ただし社内報は作成の手間が大きいと続きません。
担当者が毎月ゼロから構成を考え、原稿を作り、掲載内容を整理する運用では、通常業務の負担が増えてしまうからです。

だからこそAIを使って、作成時間と原稿作成の工数を大幅に減らすことが重要となります。Googleフォームで現場の声や感謝のエピソードを集め、AIで見出しや本文のたたき台を作れば、担当者は内容確認と表現調整に集中できるでしょう。

具体的には、Googleフォームで次のような項目を入れた簡単なアンケートを作成し、社員から回答を集めます。

  • 今月よかった取り組み
  • ご遺族からいただいた感謝の声
  • 現場で学んだこと
  • 助かった同僚の行動
  • 来月に共有したい予定

回収した回答は、Googleスプレッドシートに自動で集計されます。
集まった現場の声や感謝のエピソードを生成AIのテキストボックス(チャット入力欄)に貼り付け、「社内報の本文のたたき台を1,000文字で作成して」と指示すれば、担当者の負担を抑えたまま質の高い社内報を作成できるはずです。

その際、AIが作った文章をそのまま使うのではなく、会社の言葉づかいや実際の状況に合わせて整えるようにしてください。

また、完成した社内報を休憩室へ掲示し、Googleドライブへ保存しておけば、出勤日や勤務時間が異なる社員も内容を確認できるようになり、現場の一体感づくりにもつながるでしょう。

社員向け施策(3)Googleフォーム×AIによる感動エピソードの収集と共有

葬儀業で働く社員にとって、ご遺族から感謝の言葉をいただいた経験や、故人様を大切にお送りできた実感は、日々の仕事への誇りにつながるものです。

こうした感動エピソードを社内で共有する仕組みをつくれば、社員は「自分たちの仕事には意味がある」と感じやすくなるでしょう。

少ない予算で始める場合は、GoogleフォームとAIを組み合わせる方法が有効です。

ありがとうストーリー投稿から社内共有までの流れ

まず、Googleフォームで「ありがとうストーリー投稿フォーム」を作成します。
投稿項目は、「ご遺族からいただいた感謝の声」「印象に残った対応」「同僚の助かった行動」「他の現場でも活かせる学び」などにするとよいでしょう。

投稿された内容は、Googleスプレッドシートに自動で集計されます。
それを、前述した社内報と同様に生成AIのテキストボックス(チャット入力欄)に貼り付け、「社内報やポータルに掲載する文章として300文字で整理して」と指示すれば、担当者は短時間で紹介文のたたき台を作成できます。

また、同僚の優れた対応や気遣いを投稿できる「グッドジョブカード」として活用することもできます。
「感謝したい社員」「助かった行動」「その対応から学べること」を入力できるようにしておけば、社員同士が自然に認め合うきっかけになるでしょう。

作成したエピソードは、月1回程度の「ありがとうストーリー」として、社内報やポータルに掲載すれば、スタッフはスマートフォンから簡単に確認できます。

なお、ご遺族や故人様に関する内容を掲載する際は、個人が特定される情報を必ず削除してください。感謝の声を大切に扱いながら、社員の誇りと一体感を高めていくことが、サービス品質の向上にもつながります。

マネジメント層向けエンゲージメント施策|現場に届く3つの実践方法

ここでいうマネジメント層とは、経営者・役員・部長クラスといった経営層と、式場長・ホール長・支店長・チーフといった現場管理職の両方を指します。

経営層は会社全体の方向性を示し、現場管理職は経営方針を現場へ落とし込みながら、スタッフの育成やシフト管理を担う立場です。
両者がそれぞれの役割を果たしてはじめて、経営層の想いが現場へ届き、現場の声が経営判断へ反映される流れが生まれます。

本章では、忙しい現場でも実施しやすい次の3つの取り組みについて解説していきます。

(1)月15分程度のプチ研修で現場力を高める方法
(2)経営層メルマガで理念と現場をつなぐ仕組み
(3)ベテラン社員の知識を次世代に引き継ぐ低コストな研修設計

マネジメント層向け施策(1)月15分のプチ研修で現場力を高める

葬儀業界の多忙な現場で効果的なのが、シフト交代時の15分間ほどを活用した「プチ研修」です。毎回1つのテーマに絞り、「今日覚えてほしいこと」を明確にして実施します。

一例として、「真宗大谷派の焼香作法」「クレーム対応時の第一声」「ご遺族の心情理解のポイント」などが挙げられるでしょう。
実務に直結する内容を5分ほどで説明し、残り10分ほどで質疑応答や体験談の共有を行うのがおすすめです。

重要なのは、受講者に「教える立場」も経験してもらうことです。
教える側になると、社員は自分の知識を整理し、相手に分かりやすく伝える必要が出てきます。その過程で本人の理解も深まり、現場での判断力や説明力も高まりやすくなるでしょう。

実施したプチ研修の様子はスマートフォンで撮影し、Googleドライブに保存しておけば、欠席した社員も後から確認できます。
動画のタイトルは「焼香作法」「受付対応」「ご遺族への声かけ」など、内容が分かる名前にしておくと便利です。

余裕があればもう少し踏み込んで、文字起こしAIを活用した研修内容のテキスト化も有効です。それを生成AIに要約させれば、研修レポートとしての記録も残せます。

プチ研修は、知識を増やすだけの施策ではありません。
社員が互いに学び合う場をつくることで、現場の連携力を高めることにもつながるのです。

マネジメント層向け施策(2)経営層メルマガで理念と現場をつなぐ

経営層の想いや会社の方向性を現場へ伝える方法として、定期的なメルマガ配信が有効です。

葬儀社では担当現場が分かれるため、経営陣の考えが十分に届きにくい場合もあるでしょう。
だからこそ週1回、5行程度の短いメッセージを全社員に配信し、会社が大切にしている考え方を継続して伝えることが重要となります。

内容は「今週の振り返り」「来週の重点項目」「経営者からのメッセージ」の3つに絞ると作成しやすく、15分以内で書き上げられるはずです。
長く書きすぎないことが継続のポイントといえるでしょう。

特に効果が大きいのは、スタッフの頑張りを具体的に伝える内容です。
「昨日の〇〇さんのご遺族対応が丁寧で、感謝の言葉をいただきました」といった形で実際の行動を紹介すれば、社員は自分たちの仕事が経営層に見てもらえていると感じやすくなります。
あわせて業界動向や会社の業績にも触れれば、日々の業務と経営方針を結びつけて捉えられるでしょう。

なお、メルマガへの返信は必須にしないほうが現場の負担は少なくなります。
返信を義務化すると、忙しい社員ほど「読まなければならない」「返さなければならない」と感じてしまうからです。

そのかわり、Googleフォームで意見や質問を送れる窓口を別に用意しておきましょう。
匿名でも記名でも投稿できるようにしておけば、経営層は現場の不安や疑問を把握しやすくなり、一方通行で終わらない対話の流れが生まれます。

マネジメント層向け施策(3)ペアリング制度で知識を次世代へ継承する

葬儀業界では、ベテラン社員が長年培ってきた知識や判断力を、若手へどう引き継ぐかが重要な課題となっています。
宗派ごとの作法、ご遺族への声かけ、式場ごとの段取りなどは、どうしてもマニュアルだけでは伝わらないからです。

そこで有効なのが、ベテラン1名に対して若手2〜3名を組み合わせる「師匠と弟子」のようなペアリング制度です。

ベテラン知識を社内ライブラリー化する流れ

月1回30分程度の時間を設け、現場で困った場面や実際の対応例をもとに知識を共有していきます。
またベテラン社員が説明した内容をスマートフォンで撮影もしくは録音し、Googleドライブに保存すれば、誰でも後からベテランの知見を確認できるようになるでしょう。

さらに、生成AIやAI文字起こしツールで要点を整理すれば、社内ライブラリーとしても活用できます。

そして、知識継承を促進するうえで欠かせないのは、教える側の貢献も見える化することです。
指導実績を社内報で紹介したり、人事評価に反映したりすれば、ベテランが意欲的に若手育成へ関わり続けられる仕組みになるでしょう。

エンゲージメント施策の導入事例から学ぶ成功の要因

導入事例に学ぶ:成功する葬儀業エンゲージメント施策の特徴

AIや無料のGoogleツールの活用方法は、理論だけでは現場に落とし込むイメージが湧きにくい場合もあるでしょう。

本章では、社内ポータル導入により劇的な改善を実現したA葬儀社、メルマガ配信で組織の結束力を高めたB葬儀社の具体的な取り組み、そして失敗事例から得られる貴重な教訓について詳しくご紹介します。

成功要因(1)社内ポータルで情報共有ミスを防いだ

ここでは、AIと無料のGoogleツールを活用し、情報共有を改善したA葬儀社の事例をご紹介します。

埼玉県で従業員15名の家族経営を行うA葬儀社では、シフト間の申し送り不足により、月に数件の確認ミスが発生していました。
祭壇の花の種類、式場設営の注意点、ご遺族からの特別な要望などが一部の担当者にしか共有されず、現場スタッフの不安や確認作業が増えていたのです。

そこでA葬儀社はGoogleサイトで簡易的なポータルを作成しました。
「今日の申し送り」「写真付き設営記録」「ご遺族の特別要望」「明日の準備チェック項目」の4項目を1つの画面で整備し、現場からスマートフォンで確認できるようにしたのです。

そして、最新情報を共有するために、Googleスプレッドシートに申し送り事項を入力していきました。
その後は祭壇配置や花の種類はスマートフォンで撮影し、Googleドライブに保存するようにしたのです。

さらに長い申し送りは生成AIで「重要事項」「未対応事項」「次の担当者が確認すること」に要約し、ポータルへ掲載しました。

その結果、必要な情報を誰でも短時間で確認できるようになり、祭壇の設営ミスが減り、ご遺族対応での正確性も増しました。
ポータルを情報共有の入口として整備したことで、誰でも必要な情報にアクセスし、申し送りや設営内容を確認できるようになったのです。

社内ポータルを実装してから情報共有に関するミスは減少し、現場の心理的な負担も軽くなったといいます。
導入から数ヶ月後には、情報共有に関するトラブルがゼロとなり、お客様満足度も大幅に向上しました。

成功要因(2)経営層メルマガで現場との距離を縮めた

神奈川県のB葬儀社は、従業員25名規模の葬儀社です。

同社では若手の離職が続き、特に入社1年以内の定着が課題になっていました。
採用しても早い段階で退職してしまうため、採用コストや教育にかけた時間が経営上の負担になっていたのです。

そこで経営者が始めたのが、週1回の全社員向けメルマガ配信でした。
記載する内容は5行程度に絞り、「今週頑張ってくれた社員への感謝」「来週の重点案件」「経営者が大切にしている考え方」などを短く伝える形にしたのです。

さらに最後にはGoogleフォームのURLを添え、社員が匿名で意見や質問を送れるようにしました。

当初は社員からの大きな反応がありませんでした。
しかし3ヶ月ほど経つと「メルマガを読んでいます」という声が出始め、数ヶ月後には自発的な情報提供や改善提案も増え、職場の雰囲気に変化が見られるようになったのです。

そして配信開始から1年後には、若手の定着に改善の兆しが見え始めました。
それまで早期に退職しがちだった社員が定着しやすくなり、明らかに離職率が低下したのです。

匿名の投稿窓口からは、現在「社長の考えが分かるようになった」「匿名で意見を出せるので安心できる」という声も寄せられています。

B葬儀社ではメルマガとGoogleフォームを組み合わせることで、経営層と現場の距離を縮め、より風通しの良い組織づくりにつなげることに成功しました。

失敗事例から見える「継続できる施策」の条件

成功例がある一方で、エンゲージメント施策が失敗に終わるケースもあります。
よくある原因は、最初からあれこれやりすぎてしまい、現場が会社側の動きについていけなくなることです。

ある葬儀社では、社内報、研修、アンケート、面談、情報共有ツールを一度に始めようとしました。
しかし担当者の作業量が増え、現場スタッフも「何を見ればよいのか」「どこに意見を出せばよいのか」が分からない状態になってしまったのです。

また現場の声を反映するための簡易的な仕組みやフローを作れなかったことも、つまずきの要因でした。
Googleフォームなどで意見を集める窓口を用意していなかったため、社員の不満や要望が経営層まで届きにくくなっていたのです。

そして見落とされがちなのが、施策の目的や使い方を全社員に周知できていないケースです。
誰でも簡単に確認・投稿できるような仕組みにしなかった結果、一部の社員だけが利用する形となり、せっかく始めた取り組みも定着せず、現場に浸透しない施策倒れになってしまうのです。

エンゲージメント施策が失敗する原因

こういった事態を回避し、現場に根付くエンゲージメント施策を成功させるためには、小さな取り組みを少しずつ実施し、PDCAサイクルを回すことが大切でしょう。

明確な目的を定めず、経営者サイドで一方的に進めてしまうと、現場に「また新しい取り組みが増えた」と受け止められてしまうことも少なくありません。

そういったすれ違いを避けるためにも、現場の声を集め、改善し、全社員に共有する流れをつくることが重要です。
社員全員で職場環境を改善する前向きな意識を育てていけば、真に定着する仕組みを継続できるはずです。

葬儀業でエンゲージメント施策を定着させる3つの効果測定

効果測定と継続改善のための実践的手法

エンゲージメント施策は、始めて終わりではありません。
現場に合っているか、社員の負担になっていないか、情報共有や離職防止に役立っているかを定期的に確認することが重要です。

本章では、GoogleフォームやGoogleスプレッドシートを使った効果測定の方法、3ヶ月ごとに振り返る改善プロセス、施策が現場に根付いた後の発展方法について解説していきます。

効果測定(1)定量・定性指標で施策効果を見える化する

エンゲージメント施策を継続するためには、数字と社員の声の両方で効果を確認することが重要です。
数字で測れるものを定量指標、社員の声や感覚のように数字に表れにくいものを定性指標と呼びます。両方をセットで見ることで、施策の実態を多面的に把握できるようになるでしょう。 

まず定量指標としては、次の表のように「何を確認するのか」と「どの変化を見るのか」をセットで設定しておきましょう。

指標 確認する内容 見るべき変化
離職率 社員が定着しているか 退職者数が減っているか
月間トラブル件数 業務上のミスが減っているか 申し送りミスや確認漏れが減っているか
研修参加率 学びの機会が活用されているか プチ研修への参加者が増えているか
社内ポータルの閲覧数 情報共有の仕組みが使われているか 閲覧回数や利用者数が増えているか
ご遺族からのクレーム件数 対応品質が安定しているか クレームや指摘が減っているか

たとえばポータルを導入した場合は、シフト間の申し送りミス件数や、設営確認のやり直し件数を記録すると効果が分かりやすくなるでしょう。

一方の定性指標は、月1回のGoogleフォームによる簡単な社員アンケートで把握するのが効果的です。
「職場の雰囲気」「仕事へのやりがい」「チームワーク」「情報共有のしやすさ」などを5段階で回答してもらえば、数字には表れない社員の気持ちや職場の空気感をとらえやすくなります。

これらの数値や声をGoogleスプレッドシートで月次管理し、グラフ化していきましょう。
全社員が改善の変化を確認できるようになることで、自社の取り組みへの納得感が高まり、継続しやすい仕組みにつながるはずです。

効果測定(2)3ヶ月サイクルで振り返りと改善を回す

エンゲージメント施策は、3ヶ月サイクルで振り返りと改善を行うと継続しやすくなります。

エンゲージメント施策は3カ月サイクルで改善

基本の流れは、第1月目に「現状把握と課題の明確化」を行い、第2月目に「施策の試行と効果測定」を進め、第3月目に「改善と次期計画の策定」を行うかたちです。

たとえばGoogleフォームで振り返りアンケートを実施し、「うまくいったこと」「改善が必要なこと」「新たに取り組みたいこと」を事前に集めておきましょう。
そうすることで、短時間でも現場スタッフや管理職の意見を収集・整理しやすくなります。

集まった回答は、Googleスプレッドシートに自動で集計されます。
それを生成AIに読み込ませ、「不満が多い項目」「改善要望の傾向」「原因として考えられること」を質問して整理すれば、客観的に職場の課題をあぶり出しやすくなるでしょう。

こうした振り返りを継続し、成功した取り組みは社内ポータルや社内報で共有していきます。
他部署でも応用できるノウハウとして蓄積していくことで、改善の再現性が高まるはずです。

このサイクルを続ければ、エンゲージメント施策は一時的な取り組みではなく、現場に根付く仕組みになります。
その結果、社員が意見を出しやすく、変化に強い組織をつくりやすくなるでしょう。

効果測定(3)規模拡大や外部支援を検討するタイミングを見極める

エンゲージメント施策が軌道に乗り、一定の成果が見えてきた段階では、次のステップを検討することも重要です。

ただし最初から大規模なシステム導入や外部研修へ進む必要はありません。
まずは、これまで実施してきた社内ポータル、社内報、メルマガ、月15分のプチ研修などが、無理なく継続できる体制づくりが優先となるでしょう。

規模拡大を検討する目安は、3つ程度の取り組みが数ヶ月以上継続できており、自社だけでは解決しにくい課題が明確になったときです。

たとえばポータルを複数拠点で使えるように整備したい場合や、管理職向け研修を体系化し、業務自動化ツールなどを使って資料作成や振り返りを自動化したい場合などは、専門業者の支援も視野に入れて検討すべきでしょう。

ただし外部支援を入れる場合も、自社の文化に合うことと、現場が続けられる形に調整できることが前提となります。
仮に一定の効果があったとしても、高額な仕組みを入れれば費用対効果が悪化してしまうこともあるでしょう。

また現場の実情に合った柔軟な運用ができない場合や、独自の業務フローを無理に変えてしまうと、定着しない失敗につながりかねません。
そのため外部支援を活用する際も、「現場が使いやすいか」「少ない負担で続けられるか」という点には注意してください。

まとめ|低コストで始めるエンゲージメント施策が人材定着の鍵

小さく始めるエンゲージメント施策まとめ

葬儀業界におけるAIや無料のGoogleツールを使った「小さく始めるエンゲージメント施策」は、大がかりな制度改革や高額なシステム導入を前提にしない、現場に根付きやすい取り組みです。

葬儀社では24時間体制での対応、ご遺族に寄り添う精神的な負担、少人数運営による業務の偏りなど、業界特有の難しさがあります。
そのため最初から多くの施策を一度に進めれば、かえって管理職や現場スタッフの負担が増えるおそれもあるでしょう。

そういった施策倒れを避けるためにも、まずは低コストで小さく始められる仕組みを導入することが大切です。たとえば、次のような取り組みは少ない予算でも実践できる施策です。

  • Googleサイトを使ったポータルで申し送りを共有する
  • Googleフォームで現場の声を集める
  • AIで社内報のたたき台を作る
  • 月15分のプチ研修を行う

そして取り組みを進めるうえで重要なのは、「完璧を求めず、まず始めること」「現場の声を聞きながら柔軟に改善すること」「小さな成功体験を積み重ねること」の3つです。

最新のAIや無料のGoogleツールを活用しながら、低コストでコンパクトに始める小さな変化が、やがて大きな職場改善につながっていきます。

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